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2008年10月11日 (土)

「地上5センチの恋心」 分相応の幸せ

フランス映画の邦題というのはいいのが多かったりします。
「あるいは裏切りという名の犬」とか。
英語の映画だと安易にカタカナにしてしまっても、観客はなんとなく意味をわかってくれますが、さすがにフランス語をカタカナにしてもほとんどの人はさっぱりでしょうから、担当の方も頭をひねるんでしょうねえ。
本作も作品の中身を理解したセンスのいい邦題ですよね。
原題は主人公の名前ですから、こちらをカタカナタイトルにしたら誰もわからなかったでしょう。

幸せというのは、なにか叶ったとしてももっと、もっとと際限なく求めてしまうものですよね。
前よりは幸せになれてるはずなのに、幸せになった気がしないというのは、そういう人間の性なのでしょうか。
そうすると、たぶん幸せを感じるというのにはスキルが必要で、昔の人が言うように「足るを知る」ということなのかもしれません。
この程度で十分という、自分にとっての分相応の幸せというのがわかっているというのが、人が幸せになれるコツなのでしょう。
主人公オデットは愛する夫に先立たれ、二人の子供を女手一つで育て、その子供たちもそれぞれ多少問題を抱えていたりします。
親子三人(+居候一人)でこじんまりとしたアパートに住み、日々職場を行き来している毎日。
でもオデットは不幸せそうには見えません。
日々の仕事にもちょっとした満足感を得ることができるし、なにしろ大好きな作家をゆっくりと読んでいる時間に彼女は幸せを感じることができるのです。
その好きな作家バルタザールは、人気作家でありお金もあり、美人の妻をもち(そして愛人もいて)、端から見たら成功者。
けれども彼は幸せを感じることができません。
彼はもっともっと自分が評価されたい、愛して欲しいと思ってしまうのです。
だから心が幸せで満ちることがありません。
その対照的な二人が出会い、バルタザールはオデットから幸せを感じるコツというのを学んでいきます。
幸せというものは空高く手の届かないようなところにあるのではなく、足下の手を伸ばせるような身近なところにあるのかもしれません。
その幸せは気分がちょっとウキウキとするというような小さな幸せかもしれません。
けれども大それた望みがかなわずにいつも落ち込んでいるよりは、そんな小さな幸せの方が人生に満足を与えてくれるのかもしれません。
「足るを知る」「分相応を知る」ということが幸せのコツ。
「地上5センチの・・・」という邦題は、上手くつけたなと思いました。

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コメント

sakuraiさん、こんばんは!

大きな幸せを夢見るというのは若者の特権だけど、年をとるとそんなことそうそうかなわないと気づいてくるものです。
けれど不幸せなるかというとそんなことはなくて、日々の小さな幸せに気づけるかどうかが鍵なんですよね。

投稿: はらやん(管理人) | 2008年12月21日 (日) 22時56分

素敵な映画でしたね。
おばさんをたっぷり、満足させてもらいました。
にこにこっと前向きに生きる。
不幸せなんて思わないで、ちゃんと自分を見ている!というのが、生きるコツみたいな感じもしました。
似たような年代で、他人事とは思えないオデットでしたが、涙まで出てきて、ものすごく素敵な気持ちにしてもらいました。

投稿: sakurai | 2008年12月21日 (日) 09時19分

えいさん、こんばんは!

ヨーロッパの映画はいい邦題が多いですよね。
直訳ではなくて、作品の中身を理解・解釈してつけている邦題にはやはりセンスを感じてしまいます。
配給会社の担当の方は日夜頭を絞っているのでしょうね。
ハリウッド系のアメリカ映画は、単純にカタカナにしただけのものが多くて、こちらは逆にセンスを疑ってしまいます。

投稿: はらやん(管理人) | 2008年11月30日 (日) 17時25分

こんにちは。

なるほど納得。
フランス映画だと
そのままカタカナにはしづらい。
で、このタイトル。
そうか5センチには
分相応という意味が込められていたんですね。
10メートルくらい上にあがっていたような気がしたのに、
なぜ?と思ったら、
いやあ、配給会社これはよく考えました。

投稿: えい | 2008年11月30日 (日) 12時56分

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