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2008年10月26日 (日)

「トゥームレイダー」 天性の存在感

公開時、劇場に観に行った時は特別におもしろいと思ったわけではないのですが(つまらないということでもなかった)、改めて観てみると残っている印象よりはおもしろかった。
ストーリーの中心になる冒険のネタが、惑星直列とか、秘密結社とか、古代の失われた文明等の、トンデモ系だったりするので、これらを大らかに受け止められれば、たぶんこの映画は楽しめます。
それらを「えーっ?」と思ってしまうとダメでしょうね(たぶん初見のときはそうだったのだと思います)。
とは言っても、本作品は脚本がいいとか、演出がいいとかいった類いの映画でもありません。
ただひたすらにアンジェリーナ・ジョリーという女優の存在感を観る作品と言っていいでしょう。
「ウォンテッド」のところでも書きましたが、アンジェリーナ・ジョリーという人はスクリーンの上での他の人とは異なる存在感があります。
そのときは「肉体のある実存在としての存在感」と書きましたが、やはり本作品でもそれは感じます。
その存在感は、彼女の持つ印象的な美貌、そしてアスリートのように引き締まっていながらも女性らしいフォルムを持つフィジカルな見た目によるものだと思います。
また特にアクションシーンで観られるような、男性顔負けの彼女の動きもその存在感に寄与しています。
チャン・ツィイーなども美しい上に動ける女優さんですが、彼女の動きがあくまで女性らしい優美さをベースにしているのに対し、アンジーの動きはもっと男性的です。
本作でも彼女が全速力で走っているシーンが幾度もありますが、大きく手を動かし広いストライドで走る彼女の動きはまるで男性のよう。
けれども荒っぽいのではなく優美さというか、官能さみたいなものを持っているのが、アンジーの特徴でしょう。
本作でそれが感じられるのは、自宅の豪邸で中吊りになりながらのアクションシーンですね。
ここはなかなか見応えがありました。

アンジェリーナ・ジョリーが演じるララ・クロフトが感じる肉体の痛みというのは、何故かリアリティがあり生々しく見えます。
アンジーの持つ独特の生々しさ(いやらしい意味ではなく)があるからこそ、ビデオゲームをベースにしたララという非現実的なキャラクター、荒唐無稽なストーリーであっても、不思議に地に足が着いたように見えるのです。
これはたぶん演技のテクニックとかそういうものではないような気がします。
彼女が持つ、他の人とは異なる輝きを持つ個性というものをスクリーンを通じて感じてしまうような気がします。
そういえば「ベオウルフ」は映像はすべてCGでしたが、アンジーだけは何故か生身の人間のような生々しさを感じました。
そうすると彼女から伝わってくる存在感というものは、単純な見た目によるものではないのかもしれません。
たぶんそれは彼女の些細な仕草、些細な動き(動きはアンジーの演技がキャプチャされている)が、観ている側にリアリティのある存在感を伝えてくるのでしょう。
彼女の存在感というのは天性のものなのかもしれません。

アンジェリーナ・ジョリー出演「ウォンテッド」の記事はこちら→

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コメント

ノルウェーまだ〜むさん、こんにちは!

アンジーは女性ながら、アクションを観ていてもとても実体感があるんですよね。
巧く表現できないですけれど、重さがあるというか。
パンチやキックにしてもきちんと体重がのっている感じですかね。
女性らしい滑らかな動きと重さを持っているので、観ていてもほれぼれします。
今日映画の予告でアンジーの新作「ソルト」の予告をやっていました。
こちらもおもしろそうですよ。

投稿: はらやん(管理人) | 2009年11月28日 (土) 13時51分

はらやんさんご無沙汰しています☆
TBありがとうございました~
なかなか新作でTBできないので、嬉しかったです♪
アンジーは、女性から見てもパーフェクトで、そのスタイルから美貌からそして、嫌味の無い振る舞いがとても好印象です。
はらやんさんのレビューで気が付きましたが、確かに動きが男性的だからなのかもしれないですね。
これでお色気ムンムンだったら、ちょっとパス!になっちゃいますものね。
ゲームのキャラにぴったりの、アンジーなくしては出来なかった映画ですね。

投稿: ノルウェーまだ~む | 2009年11月26日 (木) 02時01分

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