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2008年10月26日 (日)

「ICHI」 想像していたよりオーソドックス

本作いくつかの点で興味がある点がありました。
まずは綾瀬はるかさん(おいおい)。
「僕の彼女はサイボーグ」を観た時にかわいい人だなあと思ったのですが、その彼女が時代劇で女座頭市というキャスティングが意外性があって、どのようになるのだろうというのが興味がありました。
あとは曽利文彦監督が久しぶりの実写で、それも時代劇をどのように撮るのかという興味。
曽利監督作品では「ピンポン」でCGを上手に取り入れた演出が新鮮でした。
その後フルCGアニメの作品を作っていますが、その中で手に入れたノウハウを時代劇に持ち込んだときに新しい映像を観ることができるのではないかと思ったわけです。
特に殺陣などではいろいろできるのではないかなと思っていました。

さて蓋を開けてみると、思いのほかオーソドックスな作りでかえってびっくりしました。
まずストーリーはそれほどヒネリはありません。
これはつまらないということではなく、最初の設定から順当に積み上げられた正攻法のシナリオであるということです。
市が女性であるということ、刀を抜けない侍、宿場町で対決する二つの勢力などの設定から導きだされる全うなストーリーだと思います。
全うなので、その分、驚きはありません。
観賞前に期待していた新しい時代劇の映像ですが、これはそれほど新しさを感じませんでした。
スローを巧みに取り入れているとは思いますが、驚くというほどでもなく。
CGを使いこなすことができる曽利監督ならではの、もう少し新しい映像を見たかったような気がします。
特にいただけなかったのがキャスティング。
外しているキャスティングではないのですが、あまりに俳優に対しての役柄が今までのイメージ通りのため、その後そのキャラクターがどう動くかというのが想像できてしまうのです。
中村獅童さんとか竹内力さん、窪塚洋介さんの役柄は、彼らそれぞれが今まで演じてきたキャラクターとかなりかぶっているために新鮮味がありません。
それしかできない役者さんではないので、もう少し違った使い方ができたように思います。
逆にキャラクターが先にできているのならば、毛色の違う役者さんをはめてみるという勇気も必要だったのではないでしょうか。

伝統ある時代劇という題材だったからか、全体的に既存のイメージに囚われすぎているのではないかと思いました。
もうすこし若い世代ならではの時代劇というのを表現できるのではないかと感じました。

ええっとあと綾瀬はるかさんは、文句なくかわいらしかったです。
これが収穫でしょうか(笑)。

綾瀬はるかさん主演「僕の彼女はサイボーグ」の記事はこちら→
曽利文彦監督作品「ベクシル -2077 日本鎖国-」の記事はこちら→
香取慎吾さん主演「座頭市 THE LAST」の記事はこちら→

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コメント

ノルウェーまだ〜むさん、こんばんは!

本作観た後に雑誌などで曽利監督のインタビューを読みましたが、王道の時代劇を目指したとのことでした。
それだったら技術をもっている曽利監督ではなく、他の方でもいいのではと思ってしまいました。
そういうことで、もともとオーソドックスなものを志向していたようなので、キャスティングもあまり変化球なものにしなかったのかもしれません。
それが成功しているような気はしませんが。

投稿: はらやん(管理人) | 2008年11月15日 (土) 17時20分

はらやんさん、こんにちは☆
なるほどおっしゃる通り、キャスティングが普通すぎますよね。
どこか漫画的な違和感を感じていたのですが、役柄が「お約束」すぎて、確かにヒネリがありませんでした。
中村獅童なんて演技もわざとらしくて、「一度道を踏み外すと、もう戻って来れないんだ。」みたいなことを言った時、ちょっと笑っちゃいました。
実感・・・だったり?
悪役多いですよね。

投稿: ノルウェーまだ~む | 2008年11月15日 (土) 17時13分

シムウナさん、こんにちは!

綾瀬はるかさんは悪くなかったですよね。
とはいえそれを活かしきれていたかというと、そうは言えないような気がしました。
スローの多様で殺陣はリズムが失われていた気がしましたし。
一瞬で勝負がつく居合いというのがもう少し表れていたらと思いました。

投稿: はらやん(管理人) | 2008年11月 3日 (月) 05時58分

TBありがとうございました。
綾瀬はるかの殺陣さばきはなかなかさまに
なっている気がしました。
顔のアップやロングショット、吹替えで
ごまかすことなく頑張っていました。
この年代の女優では一歩抜き出た存在に
思いました。

今度、訪れた際には、
【評価ポイント】~と
ブログの記事の最後に、☆5つがあり
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もし、見た映画があったらぽちっとお願いします!!

投稿: シムウナ | 2008年11月 3日 (月) 00時48分

ノラネコさん、こんにちは!

確かにがっかりしましたね。
新しい時代劇を見せてくれるかと思っていたのですが・・・。
ノラネコさんも書かれていましたが、キャラクターが今までのステレオタイプのものをそのままはめたという感じがしました。
もうすこしきちんと物語を作って欲しいところですよね。

投稿: はらやん(管理人) | 2008年11月 1日 (土) 06時31分

最近では一番のガッカリ作品でした。
座頭市をこんなにつまらなく作るなんて。
仰るようにキャラが全く生かされておらず、みんなプログラムで動くゲームキャラの様。
結果的に一つ一つの描写がうそ臭い物になってしまっていました。
綾瀬はるかの女座頭市は画的には格好良いだけに、もったいなかったです。

投稿: ノラネコ | 2008年10月31日 (金) 23時48分

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