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2008年10月 4日 (土)

本 「折り返し点 1997〜2008」

こちらは宮崎駿監督の「もののけ姫」から「崖の上のポニョ」に至るまでの期間の対談やインタビュー、エッセイなどをまとめたものです。
特に「もののけ姫」の頃は、全体の半分くらいを占めていますね。

宮崎駿監督はブログでも何度か書いていますが、「カリオストロの城」とか「コナン」の頃から好きでした。
これぞアニメーションという感じでキャラクターが動き回り、そして物語はポジティブで、観ていて心地よい、そういった感じでした。
それが「ナウシカ」を観た時、ちょっと意外な気分になったのを覚えています。
「なんだ、幸せになれない気分で終わってしまった」
という印象で、どうも「ナウシカ」は好きになれませんでした。
実はその後何回も「ナウシカ」を観ているうちにこの作品のことは好きになっていきます。
どうも僕は以前のイメージで宮崎駿監督という人をみていて、彼が考えていることにやっと追いつけた時その作品のことを好きになっていくようです。
同じことは「もののけ姫」でも起こります。
これも観たときは「なんか違う・・・」と思いました。
けれどこれも何度も観るうちに作品のいいたいことがなんとなくわかってくるんですよね。
どうも宮崎駿感という人は、世間の人よりも一歩も二歩も先を考えているような気がします。
実際今回ご紹介している本でも「以前の作品と同じことはしない」「期待を裏切るようにしている」と語っています。
ジブリ作品というと、環境にやさしい、人にやさしいというブランドイメージをなんだかみんな思っているように思えます(僕はちょっと違いますが)。
監督ご本人もこれはちょっと違うと思っているようです。
今でこそエコという考え方が一般的になってきましたが、「もののけ姫」公開当時はさほどではなかったと思います。
現在のエコというのは、自然を守れということを声高に言いますが、じゃあ人は今の便利な生活を捨てられるのかということについてあまりきちんと話ができていないような気がします。
環境破壊というけれど、人の歴史といういうか文明というのは自然を切り開いて作ってきたものです。
今の僕たちが大自然と思う山の木々にしても実はほとんどが植樹されたものだったりするわけです。
ありのままの自然などというものは実は意外なほどに少ない。
極端な自然崇拝論とか文明否定論というのは人間の営みというのを本質的に理解していないような論議なのです。
最近はそのようなことも言われるようになってきましたが、この本で宮崎駿監督は「もののけ姫」に関するインタビューの中でそのような趣旨のことをお話ししています。
そういう視点で「もののけ姫」を観てみると確かにそのようなメッセージは汲み取れ、いかに宮崎駿感という方が、物事の先を見ていたかということがわかります。
監督の作品は公開当時はいつも賛否両論がわかれます。
けれど次第にその内容は理解されていく。
だんだんと監督のものの見方に、世間が追いついていくんでしょうね。
やはり凄い人だと思います。

ひとつ宮崎駿がお話ししていた言葉を引用させていただきます。
「映画と言うものは、作品としての価値が真空の中に存在しているんじゃない。どういう人間とどういう状態のときに出会うかによって意味は変わるんです。それはその映画のもっている星であって、どういう瞬間に出会うかは受け手の運なんです。」
これは日頃、僕がぼんやりと考えていることをはっきりと言っていただいたような気がしました。
僕が書いているこちらの記事は、評論と呼べるものではないと思っています。
どちらかというとある映画に出会って、そのとき自分がどのように感じたか、どのようにメッセージを受け取ったかということを書いているつもりです。
宮崎監督がおっしゃるように出会う時の状態で意味は変わります。
悩んでいる時に見るのと、はつらつな時に見るのでは同じ映画でも受け止め方は違う。
それはそれでいいと思うんですよね。
客観的は作品の分析ではなく、その時自分がどのように感じたか、そしてどうしてそう思うようになったのかということをここでは書いていきたいと思っています。

宮崎駿監督作品「崖の上のポニョ」の記事はこちら→

「折り返し点 1997〜2008」宮崎駿著 岩波書店 ハードカバー ISBN978-4-00-022394-2

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コメント

真紅さん、こんばんは!

この10年くらいの宮崎監督の作品は公開前にやたら話題になり、公開されると何か違うと言われたりしていましたよね。
今回のポニョもそんなところありますが。
でもこちらの本の中での宮崎監督のお話ししたことを読んでいると、僕らよりも一歩先のことを考えてらっしゃるのですよね。
僕らの期待は過去の作品からくるもので、監督は未来の作品のことを見ているのでしょう。
今後も作品を作り続けてほしいですよね。

「エミール・ハーシュがJBに見えた件」、ようやく賛同していただける方がいました(笑)。
特にほおひげが伸びているとき・・・似ていると思うんです。
レオ似とおっしゃる方は多いですよね。
僕も他の方のブログ読んで、確かにそうだなと思いました。

投稿: はらやん(管理人) | 2008年10月 5日 (日) 19時57分

はらやんさん、こんにちは。『おくりびと』にTBありがとうございました。
何故か映画記事にはTBできないのですが、こちらにTBさせていただきます。
(『イントゥ・ザ・ワイルド』などもトライしてみたのですが・・・、残念)

さて。私も小学生のときにリアルタイムで『未来少年コナン』を観ていた「宮崎駿<刷り込み>世代」です。
だから宮崎監督に対しては、「お父さん」くらいの思い入れがあります。
『ポニョ』に関しても、「宮崎駿、老いたり!」みたいな批評を散見しましたが、私はそんな風には思いませんでした。
娘は、父親に対しては甘いんでしょうかね(笑)。
次回作も、頑張って作って欲しいですね。引退なんて言わずに。

ところで「エミール・ハーシュがJBに見えた」件ですが、私も思いましたよ!
メガネをかけている顔が似てると思いました。彼はレオ時々JBですね。
ではでは、また。

投稿: 真紅 | 2008年10月 5日 (日) 13時32分

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 最新作『崖の上のポニョ』が大ヒット中、世界の巨匠・宮崎駿の12年間に渡る 思想の軌跡。この12年間は『もののけ姫』、『千と千尋の神隠し... [続きを読む]

受信: 2008年10月 5日 (日) 13時22分

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