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2008年9月 7日 (日)

本 「発想法 -創造性開発のために-」

著者の川喜田二郎氏はKJ法の発案者です。
KJ法というのは川喜田氏が本業である民俗学のフィールドワークを通じて作り上げた情報の整理の仕方とそれに基づく発想法です。
最近のグループワークなどの方法論は元々はKJ法などをベースに開発されているような気もします。
この著書ではKJ法のテクニックというよりは、その方法を通じて人がどのようにものを考えるかということをまとめています。
本著は初版が1967年(僕が生まれる前!)ですから、古典といってもいいかもしれませんが、この考え方はまだまだ使えます。
僕は会社に入って数年くらいの時にKJ法の研修を受けましたが、そのときの印象は目からウロコといった感じがしました。
僕の仕事はデザインですが、デザイン系の人間はどちらかというと感覚的に決めてしまったり、逆に事務方の人間は理屈っぽく説明をもとめたりということがあり、どうもそのあたりのデザインの課題の出し方、コンセプトの作り方の方法論を求めていたところでもありました。
そのときにKJ法を知って、一度体験してみたら自分の求めていたような方法であることがわかりました。
このメソッドはまずは知り得る情報を小さな単位に切り分け、それらを近しいもので感覚的にまとめてタイトルをつけ、そしてその分類をさらに近しいものをまとめという繰り返しを行います。
これらの作業によって空間的な図のようなものが出来上がります。
この感覚的にまとめあげたあとに、なぜこれらを同じくくりにしたのかということを考えます。
そしてそれを説明するために簡単な文章にまとめてみます。
矛盾点があれば図に戻り、また文章に戻りといった作業をします。
そうすると今まで見えなかった思考の流れみたいな何かがあります。
それが課題であったり、物事の本質だったりするわけです。
KJ法はグループワークでも使えますし、僕はときおり一人でも簡単にやります。
本著ではその単位とまとめあげの道具として、分類をするために小さな紙片とのりを用意と書いてありますが、最近であればポストイットなどの付箋紙を使ったりするのが便利でしょう。
あとコンピューターを使ってエクセルなどでテキストボックスなどを使ってやることもできます。
文章にまとめあげる作業は普通にワープロソフトでもいいですが、パワーポイントなどのプレゼンツールなども有効だと思います。
この方法は物事を俯瞰的に空間的に眺める視点(個々の情報の関係性を見る視点)、そしてそれを論理立てて繋げていく視点というのを何度も繰り返します。
会社の仕事だといきなり企画書や説明資料を作るのはなかなか難しい。
これはある流れを作らなくてはいけないからです。
簡単な内容であれば問題なくできるかと思いますが、複雑であればあるほどこれは難しい。
文章ははじまりがあって終わりがあるリニアな構造ですが、人間の思考というのはリニアであるかというとそういうものではありません。
KJ法の作業で分かるように基本的にはそれは図的なノンリニアなものであるわけです。
ただこれをノンリニアなまま人に説明するのは難しいため、リニアな構造に整理するのです。
これはベテランであれば無意識的に慣れでできるかもしれませんが、KJ法のようなものを身につけているとそれが容易になります。
これは仕事以外のところにも活かせる技術だと思います。
こちらのブログの記事なども難しいテーマで自分が感じたものをうまく文章に書けないときは、簡単にノートに図で書いてみたりします。
そうするとなんとなく自分の思考みたいなものがわかってくるのですよね。
企画などどのようにやっていいかよくわからないと思っている方、この本を読んで、KJ法を一度試してみるのをお薦めいたします。

「発想法 -創造性開発のために-」川喜田二郎著 中央公論 新書 ISBN4-12-100136-2

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