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2008年7月 6日 (日)

本 「さよならダイノサウルス」

ロバート・J・ソウヤーはいくつかのプロットをうまく組み合わせて、一つの物語にするのがとても長けています。
以前紹介した「イリーガル・エイリアン」では、異星人とのファースト・コンタクトと法廷ミステリーというまったく関係ないようなプロットを見事に組み上げていました。
本作「さよならダイノサウルス」では、恐竜、時間旅行、異星人との接触などなどまたもや関係ないようなプロットが巧みに組み合わされています。
恐竜時代への時間旅行と言えば、映画化もした「雷のような音」(映画のタイトルは「サウンド・オブ・サンダー」)などが有名ですが、そのような昔からいくつもの作品を生み出したありふれたプロットを使いつつも、意外性に満ちた物語をソウヤーは作ってくれます。
白亜紀末期、まさに恐竜が絶滅する時代に赴いた古生物学者二人。
彼らが降り立った地球は、月が二つあり、さらに重力も現在の地球よりも少なかったのだ。
さらに彼らが接触した恐竜には、得体の知れぬゼリー状の物体がとりついているらしく、その物体は知的生命体でとりついた生物をコントロールをできるらしいのだ。
そしてその生物は火星人らしい。
こうやって書くと、こんな物語、SFとは言ってもどうやって収束させるのだと思ってしまいますが、これが見事に最後はまとめられています。
その収束の仕方もハードSF作家らしく理路整然としています(とはいえセンス・オブ・ワンダーもあります)。
現在一般的には恐竜の絶滅の理由は、巨大隕石の激突によるというのがポピュラーですが、この作品の答えはまったく違います。
それがまたまったく想像できない、突拍子もない理由。
けれどもこの作品の中の理屈ではしっかりと辻褄が合っています。
まったく見事。
ソウヤーのたてた恐竜絶滅の理由、作品を読んでぜひお確かめください。

ロバート・J・ソウヤー作品「ターミナル・エクスペリメント」の記事はこちら→
ロバート・J・ソウヤー作品「占星師アフサンの遠見鏡」の記事はこちら→
ロバート・J・ソウヤー作品「イリーガル・エイリアン」の記事はこちら→
ロバート・J・ソウヤー作品「フラッシュフォワード」の記事はこちら→

「さよならダイノサウルス」ロバート・J・ソウヤー著 早川書房 文庫 ISBN4-15-011164-2

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