「西の魔女が死んだ」 あるがままを認める
世の中が複雑になっているのでしょうか。
それとも人が複雑に考えるようになってしまったのでしょうか。
大人だけでなく、子供までもいろいろなことを考え、気にしなくてはいけなくなっているのが、今。
様々なしがらみに日々気を使いながら生活していて、いつしかとてもとても窮屈に感じてしまう。
たぶん多かれ少なかれ誰しも感じたことがあるでしょう。
中学校に入ってから登校拒否になってしまった、女の子まい。
彼女はとても繊細で感受性が高く、かつ物事をしっかりと考えることができる頭を持った子。
でも頭がいいからこそ、とてもいろんなことを考えて、気にして、そしてある時、生きていくことそして死ぬことが怖くなって身動きができなくなったのでしょう。
そんなまいは、母親方のおばあちゃんの元を訪れます。
おばあちゃんのことを「魔女」と密かにまいは呼んでいます。
そんなおばあちゃんと暮らす生活の中で、まいは生きることということを学んでいきます。
このおばあちゃんがとてもいい。
彼女はたとえ相手が子供であっても、しっかりと相手の話を聞き、子供がわかるように丁寧に答えてくれる。
大人目線で上から話すということはありません。
子供が手伝えば、ありがとうと言ってくれる。
褒めてくれる。
信じてくれる。
でも間違ったことをしたら、やさしく諭すように教えてくれる。
彼女は子供をあるがままにとらえ、その存在を肯定してくれているのです。
彼女はすべてのものをあるがままにとらえ、認めています。
自然のことも、人のこともあるがままに。
たぶん、人も生活も本来はシンプルなもの。
それを複雑に考えすぎ、人は袋小路のようなものに陥ってしまうのかもしれません。
まいは頭の良い子だから、いじめられて転校することがとても卑怯なことだと思います。
自分が変われないからいけないのだと感じます。
でもおばあちゃんは自分が楽に生きられる場所を選ぶのに後ろめたいことはないと言います。
彼女が言っているのは、自分自身で自分のことを認めてあげなさいといことなのでしょう。
自分のこともあるがままに受け入れ、そして自分の意志で決める。
自分で決めるためには、まずは自分自身を認めなくてはいけないのですよね。
たぶんそれが生きること。
まいはそのことを、西の魔女の元での「魔女修行」の中で学べたのだと思います。
おばあちゃんは、亡くなるときまいにあるメッセージを残します。
死んだらどうなるのか、自分がなくなってしまうのが怖いというのは、僕も同じくらいの時、夜に考えてしまい怖くて眠れなくなったことがあります。
当然残されたメッセージは魂が残したというようなことではないと思いますが、怖いと言って泣いていたまいのことずっとおばあちゃんは忘れずにいてくれて、死ぬときまでも彼女は孫のことを考えて怖い思いをさせたくないと思ったのでしょう。
そんなおばあちゃんの想いが伝わってきて、泣けてきました。
上品で、やさしくて、包容力のあるおばあちゃんをサチ・パーカーが好演。
彼女以外はないと思えるほどの適役でした。
原作小説「西の魔女が死んだ」の記事はこちら→

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----これって鈴木香歩原作、
100万部を超えるベストセラーの
映画化だよね。
シャーリー・マクレーンの娘が出ているんでしょ。
「うん。サチ・パーカーね。
2歳から12歳まで日本に住んでいたというだけあって、
その言葉は流暢。
でも、それも含めて感心したのは、
この映画は、よく聞く“完全映画化”という言葉を
そのまま当てはめたような作品だっていうこと。
実は観ていて
これはもしかして原作を一行も改変していないのじゃないかと
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後で本をめくり直して
それは、大いなる... [続きを読む]
受信: 2008年7月 5日 (土) 16時38分
» 西の魔女が死んだ [ネタバレ映画館]
木村祐一さん、指がナメクジに見えた瞬間が大好き!・・・わいの? [続きを読む]
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おばあちゃん、大好き! [続きを読む]
受信: 2008年7月 6日 (日) 00時50分
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【 西の魔女が死んだ】2008年6月21日(土)公開
監督 : 長崎俊一
... [続きを読む]
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受信: 2008年7月 6日 (日) 14時37分
» 西の魔女が死んだ [いい加減社長の映画日記]
普通だとあんまり観ようと思わない作品なんですが。
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「UCとしまえん」は、日曜の夜9時過ぎだと、人はさすがに少ない?
「西の魔女が死んだ」は、中くらいのスクリーンで10人くらい。
ま、仕方ないか^^;
【ストーリー】
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何かの試写会で予告を見てから、見たい見たいと思っていた映画『西の魔女が死んだ』をYahoo!!のネット試写会(おうちで上映会)で観ることができました。 [続きを読む]
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■中学に進んでまもない夏の初めに、学校へ行けなくなったまいは、森で暮らす”西の魔女”のもとで過ごすことに。西の魔女とはまいのママのママ。英国人である大好きなおばあちゃんから、「早寝早起き、食... [続きを読む]
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[続きを読む]
受信: 2008年7月 8日 (火) 21時58分
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「おばあちゃん、大好き」 「I Know」
初夏。学校に行けなくなった中学生のまい(高橋真悠)は、山の家で一人暮らしを
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受信: 2008年7月 9日 (水) 21時50分
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登校拒否になってしまった少女の魔女修行。それはおばぁちゃんの愛を学ぶことなのでした・・。 [続きを読む]
受信: 2008年7月10日 (木) 21時59分
» 西の魔女が死んだ [ルナのシネマ缶]
原作は100万部の
ロングセラーらしいのですが、
未読だったので、
内容はまったく知らずに観ました。
とてもとても素敵なお話で
すごく良かったです。
子供の頃の思いと、これからの生き方を
改めて考えさせられました。
中学生になったばかりのまい(高橋真悠)は、登校拒否になり、
母親(りょう)の勧めで、田舎のおばあちゃん(サチ・パーカー)のもとで、
しばらく過ごすことになる。
日本に長年住むイギリス人のおばあちゃんは、魔女の血筋を引いて
いるらしいのだが、まいはおばあちゃんが... [続きを読む]
受信: 2008年7月13日 (日) 23時31分
» 西の魔女が死んだ [★試写会中毒★]
満 足 度:★★★★★★★★
(★×10=満点)
監 督:長崎俊一
キャスト:サチ・パーカー
高橋真悠
りょう
大森南朋
高橋克実
木村祐一、他
■内容■
中学生になったばかりの... [続きを読む]
受信: 2008年7月14日 (月) 20時58分
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yahooでオンライン試写会・・・久しぶりに当選しました。まぁ、当選者数、今回多いからかもしれませんが(笑)『西の魔女が死んだ』劇場の予告で観て魔女(祖母)を演じるサチ・パーカーの風情にちょっと惹かれるものがあったので画面は小さいながら、早く観られることがラッキ... [続きを読む]
受信: 2008年7月14日 (月) 22時50分
» 映画 「西の魔女が死んだ」 [ようこそMr.G]
映画 「西の魔女が死んだ」 を観ました。 [続きを読む]
受信: 2008年7月21日 (月) 18時46分
» 映画 「西の魔女が死んだ」 [After the Pleistocene]
「おばあちゃんは、なぜ私が不登校になったのか、その理由を訊かないの?」中学生になったばかりのまいは尋ねる。どうも母親も先生も、彼女にこのことをまともに質問していないようだ。元イギリス人の教師で地元の理科の先生と結婚をして、いまは信州の山の中で一人暮らしをしている祖母にとってこの孫は可愛くてしょうがないが、物事はまず自分で考え、自分で決めなさいと絶えずまいに言って聞かせるのだった。
おばあちゃんは魔女の血を引く家系であることを隠さない。預かったまいの希望で彼女に魔女修行を授ける。「まず規則正しい... [続きを読む]
受信: 2008年7月27日 (日) 11時28分
» ■ 西の魔女が死んだ(2008) [MoonDreamWorks]
【西の魔女が死んだ】2008年6月21日(土)公開監督 : 長崎俊一出演 : サチ・パーカー/高橋真悠/りょう 他観たい度 : ★★ → 観賞後の評価 ★★★☆原作 : 梨木香歩『西の魔女が死んだ』(新潮文庫刊) 「西の魔女が死んだ(2008)」監督は、長崎俊一。主演...... [続きを読む]
受信: 2008年7月27日 (日) 21時40分
» 満足度ランキング1位 西の魔女が死んだ を観てきました。 [よしなしごと]
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受信: 2008年7月28日 (月) 00時18分
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魔女の生活は先日亡くなった ターシャ・テューダー さんの様で。
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受信: 2008年10月 4日 (土) 21時23分
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☆☆☆☆☆ (5段階評価で 5)
7月5日(日) WOWOWのHV放送を録画で鑑賞。 [続きを読む]
受信: 2009年7月19日 (日) 20時07分
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ニシノマジョカラヒガシノマジョヘメッセージ・・・死んだらどうなるの、そうねぇ死んだことがないから分からないわ、静かにハートウォーミングな魂脱出の物語・・・
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受信: 2009年7月19日 (日) 23時46分
» 「西の魔女が死んだ」 [prisoner's BLOG]
西の魔女が死んだ [DVD]角川エンタテインメントこのアイテムの詳細を見る
登校拒否児がハーブや野菜などが栽培されているメルヘンチックな祖母の家に長期滞在して、いわゆるスローライフを過ごす。
むさい隣人の木村祐一が「いい身分じゃ」と憎まれ口を叩くが、ちょっと同意したくなる。
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祖母役のサチ・パーカーが、シャーリー・マクレーンの娘とあとで聞いてびっくり。日本びいきで日本風の名前を... [続きを読む]
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» 西の魔女が死んだ [にわうたぶろぐ]
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[続きを読む]
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魔女修行を通して、まいを社会生活に復帰させようとするおばあちゃん。ニワトリが獣に殺されたり、隣人の不気味な影におびえたりと様々なことを経験して [続きを読む]
受信: 2011年1月 2日 (日) 11時40分
コメント
なななさん、こんにちは!
自分もそうだったりするのですが、なかなかモノごとをシンプルに見ることができなくなっていますよね。
社会が複雑になってしまっているからか・・・。
こういう映画を観るとほっとしてしまいます。
忘れていた感覚を思い出させてもらったというか、そんな感じでした。
投稿: はらやん(管理人) | 2008年7月11日 (金) 18時19分
はらやんさん、こんばんわー。
お気に入りだったご様子で♪
私は原作が好きーっとなってしまったのです、この映画が持つ雰囲気はとっても好きでした。
今はシンプルに生きることがすっかり難しくなってしまいましたよね。
おばあちゃんのものの考え方自体も、とってもシンプルな考え方であり愛であると思うのですが、そんなことすらも難しくなってしまったのをとても感じました。
でもそれと同時にすーっと心に心地よい風を運んでくれました。
投稿: ななな | 2008年7月 8日 (火) 21時57分
悠雅さん、こんにちは!
>自分を認めて受け入れてこそ、自分とは違う他人を認めて受け入れられる
そうなんですよね。
自分も大切にし、相手も大切にする。
それは自然であっても、何に対しても。
たぶんそれができれば人生はとても豊かになるんでしょうね(なかなか自分ではできないですが)。
そんなことをおばあちゃんに教えてもらった気がします。
投稿: はらやん(管理人) | 2008年7月 6日 (日) 09時24分
はらやんさん、こんばんは。
女の子の世界は、子供も大人も基本は同じなんだなぁ…と
どうにも、浮きがちな今(過去も)のわたしを顧みて思うのですが。
自分を認めて受け入れてこそ、
自分とは違う他人を認めて受け入れられるのですね。
「理解できないけど、受け入れる」ということを、
原作の梨木作品で感じることが多いのですが、
その難しいテーマを、13歳の孫を1人の人間として接しながら、
静かに教えてくれたおばあちゃんの存在の素晴らしさ。
わたしも、ただ甘いだけではなく、本当に孫に愛される婆になりたいと願います。
投稿: 悠雅 | 2008年7月 6日 (日) 01時00分