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2008年7月 6日 (日)

本 「アンフェアな月」

雪平夏見刑事が主人公の刑事ドラマ「アンフェア」の原作小説である「推理小説」の続編です。
ドラマは原作のキャラクターと最初事件だけは同じですが、その後の展開は独自に進み、映画にて決着がついています。
本作は原作小説の続編になります。
読んでみると雪平というキャラクターは原作の方がよりクールで、より不器用な生き方をしているように思えます。
娘もドラマよりは年が上の設定なのか、お互いに相容れぬところもあって、うまくいっていません。
そのあたりハードボイルド小説のようなところもありますね。
今回の事件はまだ3ヶ月にも満たない乳児の誘拐事件。
ミステリーなので種明かしはできませんが、やはり一筋縄ではいかない事件になっています。
後半になるにつれ、事件の真相が明らかになっていくところはやはりページを早く繰りたくなります。
しかし、前作の「推理小説」もそうでしたが、本作も事件の真相はとても後味が悪い。
小説自体がというよりも、このような事件が起こりうるかもしれないという今という時代というのはやはりなにか正しくないような気がしてしまいます。
このシリーズの扱っている事件は、とても現代というものを反映しているという気がします。
その犯人像はとても自意識が高いというのが、共通点。
まずは自分、自分が大事。
そしてその自分は、世間に不当に評価されている。
そうした肥大化した自意識によって、何かをしたら他者がどうなるかということまで頭が回らない。
なにか根本的に想像力が欠如しているように感じます。
これは小説の中に限っていることではなく、実際に最近起きるいくつかの事件にも何か同じようなものを感じてしまいます。
そういう意味で現代の人間に巣食う闇の部分にスポットをあてているこのシリーズ、今後も注目したいと思います。

刑事 雪平夏見 シリーズ第一作「推理小説」の記事はこちら→
刑事 雪平夏見 シリーズ第三作「殺していい命」の記事はこちら→

「アンフェアな月」秦建日子著 河出書房 文庫 ISBN978-4-309-40904-7

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