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2008年6月29日 (日)

本 「「複雑系」とは何か」

「複雑系」とか「カオス理論」などという言葉をはじめて聞いたのは、マイクル・クライトンの「ジュラシック・パーク」の中だったと思います。
小説の中では完璧なシステムはありえないというようなことを、数学者マルコムが「カオス理論」などの話をして説明をしていたと記憶しています。
もともと自然科学というものは、目の前に広がる自然・世界をいかに単純な方法で説明しうるかということを考えてきた学問と言えるでしょう。
その中心にあるのは機械論的な考え方です。
世界の捉え方を細分化し、一つの法則を見つけ出す。
そしてそれらの法則を積み上げていき、世界を説明しようとする。
ここにあるのはパーツを積み上げていけば、全体の仕組みは説明できるという機械論的な捉え方です。
けれども実際の物事はそうはいかない。
細分化された法則というのは、実は近似値であり、そこには多少なりともずれが生じています。
そのずれは仕組みが大きくなるにつれ、指数的に大きくなっていき、予想もつかない振る舞いをするようになります。
つまり単純に積み上げても設計図のようには全体は動かないのです。
個のパーツの動きはその上位の部分に影響を与える。
また上位の構造は個のパーツに影響を与える。
これらは全体として複雑な動きをする系となっています。
これを個々に分解する機械論的な捉え方ではなく、複雑なまま取り扱うという考え方が「複雑系」の考え方と言っていいのかと思います。
この「複雑系」の考え方は、生物学、物理学、経済学さまざまな分野に応用できるようです。
個人的には、物事を考えるときはマクロ的視点・ミクロ的視点を両方もつのが大事だと普段から思っていたので、この「複雑系」の考え方というのはとてもしっくりきていています。
この本が出版されたのは十年以上前なので、今はもっと「複雑系」の研究は進んでいるのでしょうね。
その研究からはどのように世界は見えるのでしょうか。

「「複雑系」とは何か」吉永良正著 講談社 新書 ISBN4-06-149328-0

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