「神様のパズル」 宇宙創世のヒミツ
人はどうして存在しているのだろう。
世界はどうしてこのようにあるのだろう。
人は世界は、あるべくしてそうあるのか、それとも単なる偶然でそうあるのか。
その答えを追求することというのは、すべての学問の究極の目標であるような気がします。
物理学、数学、哲学、宗教学・・・、劇中で基一(市原隼人さん)も語っていますが、理系も文系の学問も冒頭の問いの答えを探す営みなのでしょう。
僕は興味を持った本を読み散らかす乱読派なのですが、理解は仕切れないのに、宇宙創世や量子学や哲学、宗教などの本も読んだりするのが好きだったりします。
世界の始まり、究極の状態とは何か、それぞれの分野でアプローチは違うにせよ実は同じようなことを目指しているようなところがなんだかおもしろくてワクワクしてしまうんですよね。
物理学というカタいネタを三池監督が撮るということで、どのように料理するか興味があって初日に行ってきてしまいました。
劇中で基一が解説していたビックバン以前に起こったとされるインフレーション理論の説明はとってもわかりやすかったですね。
何度か本で読んだことはあるのですが、「対称性の破れ」などはわかったようなわからないような・・・という感じだったので、すっきりしました。
このあたりをとってもわかりやすく脚本で説明されていましたが、ずいぶん勉強されたのでしょうね・・・。
ベートーヴェンの「運命」でインフレーション理論を説明するあたりはなかなかのアイデアです。
宇宙というのは何でも対でできている・・・。
「物質」と「反物質」、「光」と「影」、「男」と「女」・・・。
そういえば道教の考えの根幹の「陰陽」なども対ですね。
基一が「うさんくさい」と評した「マルチユニバース」という物理学の考え方の一つも、SF小説やファンタジーなどでみられるパラレルワールドと似ていておもしろい。
異世界というのは古来からの物語ではいくつも取り上げられていて、それを物理学で「マルチユニバース」として真面目に取り上げられているんですよね。
古来からの哲学・宗教・文学・音楽などと最先端の物理学(その他の科学も)はやはり同じところを見ているような気がします。
理性で考える前に、人は古来から宇宙につい意識せずとも感じてきたのかもと思ったりして。
なんだか不思議・・・。
物理学の理論というのはあまり映画向きでないようなテーマのような気がしたので、よく作ったなあという感じがします。
映画としておもしろかったと言われれば、なかなか厳しかったと言わざるをえないですね。
でも三池崇監督だから堅苦しいテーマを、エンターテイメントの映画として観れるところまで持ってこれたような気がします。
他の監督だったらただの科学解説ビデオになってたかもしれません。
市原さんは「ネガティブハッピー・チェーンソーエッジ」の流れを汲むようなウザい感じのキャラがなんとくなく定着気味なのでしょうか。
サラカ役の谷村美月さんはいつもと違い、クールな役回り。
こちらは新境地といったところなのでしょうね。
この映画を観て、ひとつ「世界創世」の話で、小説ですがある作品を思い出しました。
先日亡くなったアーサー・C・クラークの「90億の神の御名」という作品です。
ずいぶん前の作品でとても短い短編ですが、とてもおもしろい。
お話はというと。
チベットの僧たちが神々の名をコンピューターで記すという作業をしている。
90億の神の名を記せば世界創世の秘密がわかるのだという。
コンピューターがそれを成し遂げたとき何が起こるのか・・・。
ご興味ある方は是非。
三池崇史監督作品「スキヤキ・ウェスタン ジャンゴ」の記事はこちら→
三池崇史監督作品「龍が如く<劇場版>」の記事はこちら→
三池崇史監督作品「クローズZERO」の記事はこちら→
市原隼人さん主演「ネガティブハッピー・チェーンソーエッジ」の記事はこちら→
市原隼人さん主演「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」の記事はこちら→

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2008年。映画「神様のパズル」製作委員会/角川春樹事務所。
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この映画を見るのは一種の賭けのようなもので、ダメでもともとだ、どうせダメな映画だろうが、他の映画よりちょっと気にはなるので... [続きを読む]
受信: 2008年6月 8日 (日) 07時18分
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原作は読んでますが、話題になった当時ではなく映画化が決まった直後あたりからです。というのもこの本が世に出て話題になったときは、ガチガチの物理系小説だと思ったのでパスしたんです。でも映画化されるならたぶん観に行くだろうから、それなら難解な用語とか頭に入って....... [続きを読む]
受信: 2008年6月 8日 (日) 11時33分
» 映画 「神様のパズル」 [ようこそMr.G]
映画 「神様のパズル」 を観ました。 [続きを読む]
受信: 2008年6月 8日 (日) 12時08分
» 「神様のパズル」舞台挨拶試写会 [アートの片隅で]
「神様のパズル」の舞台挨拶試写会に行って来ました。
当初舞台挨拶は告知されていなかったのですが、開場が渋谷TOEIという事もあり、もしかして何かあるかもと期待していたのですが、案の定上映前に「上映後に素敵なゲストがいらしゃっています」とのアナウンスがありました。
会場の女性達は一斉に「キャー」という黄色い歓声、、、しかし誰が来るのやら、、、友人とは「出たがりの角川春樹だったりして、、、」などと話していたら、本当にそうでした(▽この映画が観たくなった
参考になった
つまらなか...... [続きを読む]
受信: 2008年6月 8日 (日) 15時52分
» 寿司食いねぇ?!~「神様のパズル」~ [ペパーミントの魔術師]
なんていうか。 ワタシやっぱ市原くんが好きかも。(え) ヘタレをやらせたら右にでるもんがいないって 毎回めちゃくちゃ言うてるんですが(爆) 今年流行の バカなんだけどぉ~なんかいいのよね~の 部類に入るのかもしれない。 ・・・キャ~~~ゴメンナサ~~イ。 神様のパ..... [続きを読む]
受信: 2008年6月10日 (火) 00時42分
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好奇心を,ほどほどに爆発させよう。
[続きを読む]
受信: 2008年6月10日 (火) 11時44分
» 【神様のパズル】 [日々のつぶやき]
監督:三池崇史
出演:市原隼人、谷村美月、松本莉緒、石田ゆり子、黄川田将也
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大切な3つの袋とは、堪忍袋、給料袋、そして・・・ほら、男にとって大切な・・・ [続きを読む]
受信: 2008年6月14日 (土) 08時48分
» 神様のパズル [そーれりぽーと]
何の前知識も無く、ポスターだけを見て『神様のパズル』を観てきました。
★★★★
おっと、見逃すところだった。
こんなに毎週映画館に足を運んでるのに、劇場予告編を見た記憶が無いダークホース中のダークホース。
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ここから、天才の憂鬱と単純青年の化学反応の末に大事件が起こる。
小難しい天体物理学を、市原隼... [続きを読む]
受信: 2008年6月14日 (土) 13時53分
» 神様のパズル [空想俳人日記]
神様に 物理的音楽と 寿司ネタを
おお神様。私はいったい、何処から来たんでしょうか。そんなことを笑い飛ばさせてくれながらも、頭の体操を十分にさせてくれた映画、それが「神様のパズル」ですかな。角川氏、なかなかやるじゃん、こういうのをもっとプロデュースしなさ... [続きを読む]
受信: 2008年6月16日 (月) 05時30分
» 神様のパズル☆独り言 [黒猫のうたた寝]
三池さんだけど、今回あんまり破たん系なキャラは登場しません。あえて、それ系というなら市原くんなんだけど^^;『神様のパズル』観てきました。どんな話か、まったくの認識なし(笑)いきなり物理は^^;;;やっばい、、、苦手分野だよって寝ちゃおうかなっとも思ってし... [続きを読む]
受信: 2008年6月16日 (月) 23時34分
» 【2008-134】神様のパズル [ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!!]
人気ブログランキングの順位は?
宇宙の謎に挑む二人
落ちこぼれロッカーが
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心を溶かす
ロックと物理で宇宙をつくれ!
[続きを読む]
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#63704;映画を鑑賞しました。#63893; 2008-42『神様のパズル』(更新:2008/06/17) 評価:★★★★☆ 最近、気になっている谷村美月ちゃんが出演している。 WOWOWの連続ドラマ「パンドラ」に出ていたからだ。 あまり話題になってな..... [続きを読む]
受信: 2008年6月18日 (水) 12時10分
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6月17日(火) 16:30~ チネ2 料金:1300円(川崎の金券屋で前売り購入) パンフレット:800円 『神様のパズル』公式サイト 孤独な天才少女と落ちこぼれロッカーが、宇宙を作る話だと聞いていた。 概ね間違いは無い。勝手に、天才と落ちこぼれが、いがみ合いながら、最後の目標に向かっていく、ほのぼのな映画だと思っていたのだが、ヤシマ作戦みたいな展開を見せて少し驚いた。 天才少女は、皆の嫌いな初代海賊版撲滅運動の黒い涙の谷村美月。(皆の嫌いなは、海賊版撲滅運動にかかる。)「檸檬のころ」で気に... [続きを読む]
受信: 2008年6月18日 (水) 18時56分
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つまらなか...... [続きを読む]
受信: 2008年6月18日 (水) 19時07分
» 『神様のパズル』 @丸の内TOEI [映画な日々。読書な日々。]
双子の弟・喜一が、突然海外旅行へ行ってしまった。残された基一は、弟とは正反対の学力・性格。弟の代返をするためにゼミに出席する基一。ある日、担当教授から、不登校の女子学生・穂瑞沙羅華をゼミに参加させるようにとの無理難題の指令が下った。天才さゆえに大学側も持... [続きを読む]
受信: 2008年6月21日 (土) 00時34分
» [遅ればせながら、映画『神様のパズル』を観た] [『甘噛み^^ 天才バカ板!』]
☆MOVIX昭島での上映終了の日だったので、その最終回に滑り込んだ。
◇ ◇
物語の最後に、孤独で奇矯な天才少女サラカが、主人公に笑顔を見せるだろうことは分かっていた。
そして、あの性格上の無表情から、どうやって笑顔に変化していくのか、とても注目していた。
うまいんだよな、谷村美月(『魍魎の匣』以来)。
・・・主人公との再会に、不安で不安でしょうがないのに、いつもの固い態度でしか挑めない。
しかし、主人公は、いつもと変わらぬ態度で彼女を迎え入れる。
サラカは、やっと安心して、... [続きを読む]
受信: 2008年6月21日 (土) 02時41分
» 宇宙をつくってみようか [CINECHANの映画感想]
153「神様のパズル」(日本)
優秀な双子の弟・喜一が突然海外旅行へ出かける。弟とは正反対の性格、学力の基一は、代返を引き受けることにするが、素粒子物理学ゼミの鳩村教授から不登校の女子学生、穂瑞沙羅華をゼミに参加させてほしいという無理難題を託される。あまりにも天才である穂瑞沙羅華は、大学にも興味が持てずにいた。
仕方なく沙羅華の家を訪れた基一は、彼女と話すうちに不思議なパワーに引き込まれ、つい口走ってしまう。
「宇宙はつくることができるのか?」
翌日沙羅華はゼミに現れる。し...... [続きを読む]
受信: 2008年6月28日 (土) 12時26分
» 神様のパズル [お萌えば遠くに来たもんだ!]
観てきました。
<丸の内TOEI1>
監督:三池崇史
監修:苫米地英人
エグゼクティブプロデューサー:角川春樹
原作:機本伸司 『神様のパズル』(ハルキ文庫刊)
脚本:NAKA雅MURA
ロックミュージシャンを目指しながら寿司屋で働く基一は、双子の弟・喜一の代りに大学の授業に出ることに。代返だけのつもりが、何故かゼミに参加することになって・・・。
うーん。
確かに原作と主人公のキャラが変わりすぎてますが、まあギリギリ「あり」かと。
ちゅうか、市原隼人クンにインテリなイメージを... [続きを読む]
受信: 2008年6月28日 (土) 23時53分
» 神様のパズル [欧風]
29日、八戸フォーラムで「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」を観ました~。
そして2本目に観たのが、[続きを読む]
受信: 2008年7月15日 (火) 18時48分
» 90●神様のパズル [レザボアCATs]
宇宙をバーンと爆破する、よく分かんないパワー溢れる作品つったら、やっぱ三池さん!宇宙創生について、専門用語を縦横無尽に飛び交わせる、ていうムチャをやりながら、一体どこにこの話が集結していくのか、と・・・・... [続きを読む]
受信: 2008年7月26日 (土) 22時53分
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