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2008年5月25日 (日)

「ダイ・ハード」 ガテン系ヒーロー

先日「ダイ・ハード3」の記事を書いたので、久しぶりに今日は「ダイ・ハード」を観賞しました。
やっぱり1作目はおもしろいですね!
初見のインパクトから二度目以降の観賞ではどうしても落ちるものですが、本作は何度観てもいいなあ。
やっぱりシナリオ、そしてジョン・マクレーンというキャラクターが良いのでしょう。
1作目やシリーズ全体に関する思い入れについては「4.0」の記事のところで書いていたので、こちらでは別の視点で。

本作で登場したジョン・マクレーンは、それまでのスタローンやシュワルツェネッガーが演じていたマッチョ系のアクション・ヒーローとは一味違っていた印象があります。
スタローンやシュワルツェネッガーのマッチョ系ヒーローは、一般人とは種類が違うように思えるほどの鋼の肉体と揺るぎない心を持ち、絶対傷つかなさそうに見えます。
まさに彼らは完全無欠のヒーローで、物語の中で、彼らは圧倒的な強さを誇り、まさに勧善懲悪で悪党を叩きのめします。
その辺りがわかりやすく、爽快感があるために、マッチョ系ヒーローはウケたのだと思います。
けれどもジョン・マクレーンは、彼らとは異なり、傷ついてしまうヒーローとして描かれています。
白かったランニングシャツは血と埃で真っ黒になっていく。
裸足で走り回ったために、足の裏は血で真っ赤になる。
タフネスではありますが、彼は傷つく。
また彼が戦うのは、たまたま巻き込まれたからであり、愛する妻のためです。
世界の平和とか、国のためではない。
家族のために戦うヒーローなのです。
傷つきながらも、身近な人のために、肉体と頭をできうる限り使って戦う男。
彼のことはガテン系ヒーローと呼んでいいでしょう。
マッチョ系ヒーローが一般の人間からはかけ離れた存在であるのに対し、ガテン系ヒーローはずっと身近で共感性があります。
映画で描かれているシチュエーションは一般的にはありえませんが、家族のために必死にがんばる姿はなにか自分にも実感できる新しいヒーローに見えたのではないでしょうか。
ジョン・マクレーンの相手となるのが、アラン・リックマン演じるハンス・グルーバーですが、彼はマクレーンとは好対照でインテリの風情。
こぎれいなスーツを着こなしナカトミビルに乗り込んでくる様は、それまでのアクション映画の敵役とはこれまた違うイメージがありました。
インテリで冷酷なところが、マクレーンのキャラクターを際立たせることにもつながり、このキャラクター造形も新しかったような気がします。
「ダイ・ハード」以降、インテリな敵役というのがかなり出てきましたが、やはりハンスは際立っていますね。

「ダイ・ハード」のあとアクション映画では、90年代に「マトリックス」でスマート系ヒーローという方向性が登場します。
アクション映画のヒーロー像というのも時代性を受けて変化しているんでしょうね。
そのあたり考察してみるとおもしろいかもしれません。

「ダイ・ハード3」の記事はこちら→
「ダイ・ハード4.0」の記事はこちら→

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