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2008年5月31日 (土)

「シルク」 水墨画と印象派

この映画を観た女性の方の感想が聞きたい。
女性にとってこの映画は、納得できるものなのだろうか、感動できるものなのだろうか。
キーラ・ナイトレイ演じるエレーヌの、エルヴェへの献身的ともいえる愛は感じなくもないのだけど、それは女性から観て共感できるものなのかと思ってしまいました。
エルヴェの行動は、仕事に入れ込み、そして外で自分だけの愛を見つけ、そして帰るところとしても妻の愛を持っているという、男からすれば(苦労はあるにせよ)夢のような生活だと言えるかと思いますが、その生き方は、ちょっと僕からみると身勝手な感じがしました。
たぶんエルヴェは妻も愛していただろうし、日本で出会った少女(芦田星さん)にも惹かれてしまったのだろうし、二人を同時に愛するということはないとは言いませんが、果たしてこの作品を観て女性はラブストーリーとして感動するのかなあと思いました。

映像、特に風景は綺麗に撮れていて、これはスクリーンで観たかったなと思いました。
日本のシーンは雪景色が多かったせいか、墨で描かれる水墨画のように端正で美しい。
水墨画のような画だけではなく、少女の所作などからもピンと張ったような静謐さを感じます。
また厳しい自然の中での人々の暮らしの様子には、自然と共に生きる日本人の生活文化が現れていたように思います。
それに対してフランスのシーン、特にエレーヌの庭の映像は淡い色合いで印象派の絵画のようでした。
映画の中でちらりとエレーヌ自身が書いている手描きの庭の図面がでていましたが、このような西洋の庭は、幾何学的なデザインで設計されています。
西洋の庭は人工的なデザインの中に植物等を配置しているわけで、これが自然に積極的に働きかけていく西洋の思想を反映していて、日本のパートと非常に対照的に描かれていました。
そもそも印象派は日本画の影響を受けているわけで、タイトルにある絹の元となる繭をつくる蚕の卵が日本からヨーロッパへ運ばれていったように、文化が東西の間を伝わっていったことを感じさせます。
水墨画的な日本パートの美しさ、そして印象派的なフランスパートの美しさは、エルヴェが惹かれた日本とフランスの二人の女性それぞれの美しさを表しているような気もします。

日本とフランスの文化を絵画的に描いた映像はなかなか良かったと思いますが、ラブストーリーとしては(特に女性に)共感性があるのだろうかと変な心配をしてしまった映画でありました。

日本と外国が絹の売買を決めた条約を結ぶシーンがありますが、背景にあった紋は、徳川家の葵の紋ではなく、豊臣家の桔梗でしたね。
これはご愛嬌。

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