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2008年4月29日 (火)

本 「天使」

先日読んだ同じ作者の「雲雀」の元となった小説です。
「雲雀」は中編集でしたが、こちらは一本のジェルジュを主人公とした長編。
「雲雀」は本作で登場するキャラクターのそれぞれの話、前日談、後日談をお話にしたものだったんですね。
読む順としたら、こちらを先の方が良いのかもしれません。

佐藤亜紀さんの文章というのは何か取っ付きにくさを感じます。
細かいところまで説明したりということはないので、読者にも文章の間を読むという力が必要とされるように思えます。
だからといって薄っぺらい印象かというとそうでもなく、文章から浮かび上がってくるイメージは息づかいまでを感じるような感じがします。
リアルな情景が浮かんでくるというのはなく、その人物の心象風景が浮かんでくる感じというか・・・。
うまく言い表せないんですけれども。
この作品には人の心を読むことができるジェルジュら能力者が主要な登場人物です。
彼らが感じる世界というのを、一般の人々は感じることができません。
同じ感覚をもっていないのですから、同じように感じることができないのはあたりまえです。
彼らが感じている世界というのを文章に定着しようとすると、佐藤亜紀さんの書かれている文章のようになるのかもしれないと、ふと思いました。

「天使」佐藤亜紀著 文藝春秋 文庫 ISBN978-4-16-764703-6

佐藤亜紀さん作品「雲雀」の記事はこちら→

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