「少林少女」 「量産」の弊害
「少林サッカー」のチャウ・シンチーがエグゼクティブ・プロデューサーということで公開を心待ちにしてました。
「少林サッカー」は大好きでDVDで何度も何度も観ましたもん。
監督はエンターテイメントでは定評のある本広監督ですし、主演は実力のある柴崎コウさんですし、期待度はかなり高まっていました。
しかーし。
まったくおもしろくなかったぞ、がっかりだー。
まずは脚本があまりに工夫が無さ過ぎです。
何度も劇場で見せられた予告の内容以上のものはありません。
数分のダイジェストでほとんど説明できてしまう映画って、それでいいのかなあ?
「少林サッカー」のおもしろさというのは、「少林拳」と「サッカー」の意外な組み合わせによって生み出されるマンガチックで大げさなアクションシーンであり、主人公シンの「少林バカ」っぷりだったわけだったと思うのですが、曲がりなりにもその後継である作品ならばそのあたりは押さえてほしいところでした。
「少林サッカー」は登場するキャラクターが変な奴らばかりだったところが魅力だったと思いますが、本作に出てくるキャラクターは、極めてステレオタイプで工夫がありません。
チームメイトも師匠も、そして敵も、どこかで見たような感じでとてもあっさり味。
これではよくあるただの青春ドラマです。
主人公凛に反発していたラクロスのチームメイトもあっさり仲良くなっちゃいますし、ドラマ的な盛り上がりがほとんど感じられません。
「少林サッカー」はコメディとしてもおもしろいですが、終盤に向けてのドラマの高揚感みたいなものがとてもあったと思います。
アクションシーンも悪くはなかったと思いますが、とはいえとても良かったとは言いがたいかと思います。
今となっては使い古された感のあるワイヤーとCGによるアクションで、新鮮味はありません。
「少林サッカー」では漫画のような大げさなシーンを、きっちりとCGなどで真面目に映像にしているところが「ありえねー」感じがでていたと思いますが、そこまでの踏み込みも本作にはありません。
また、ラクロスを題材に扱っていますが、少林拳を使ったラクロスの試合の様子がエンディングのタイトルロールのバックだけっていうのもいかがなものでしょう?
うまくストーリーの中で消化できなかったのでしょうか。
それだったらそういう題材など選ばなければいいのに。
本作は「総監督システム」を採用したということで、各シーンは助監督がかなり自由に撮っているらしいです。
だからでしょうか、全体から監督のスタイルというようなものを感じることもありませんでした。
しっかりと職人が作り上げたシングルモルトではなく、二級品をブレンドして作ったウィスキーといった感じ。
でも有名な職人が監修しているから、その人の名前で売ってしまう。
そういえば日本酒にも二級酒というのがありました。
まさにそんな感じ。
監督の名前というのも既に「ブランド化」しているように思える中で、そのブランド力を使い、たくさん客が入る作品を、たくさん作っていく仕組みとして「総監督システム」というものを採用したのはないでしょうか。
一人の監督が丁寧に作品を作っていけば、その数には限りがあります。
でも「総監督システム」ならば「量産」は可能です。
フジテレビ×ROBOTというタッグは、ある種の成功の方程式を持っているように思えます。
ただこの成功というのは、観客の動員という視点からのものであり、作品の質の視点ではないように感じます。
ウケそうな題材の選び方、大量かつ巧妙な宣伝により、ある程度客を呼べる仕組みができているのでしょう。
でも成功が見えているからか、最近は彼らの作品の質はそれほど高くないように思えます。
客が入ればいいと思っているのかもしれませんが、質が高くなければ次第に客は離れます。
「量産」による質の低下は、今までも先ほど例に挙げたお酒の世界ではあったこと。
映画という分野でもそのようなことが起こり始めているのでしょうか。
「量産」は決して悪いことではありません。
「おいしいもの」をたくさんの人に食べて飲んでもらえるならその方がいいに違いない。
でもそれは「おいしいもの」でなくてはいけないと思います。
三池崇史監督や堤幸彦監督のように多作な監督もいらっしゃいます。
けれども彼らは「量産」している作品に、しっかりと彼ら自身の個性、刻印を刻み込んでいます。
でも本作はあきらかに「量産」による質の低下が感じられます。
そのあたりを制作者にはきちんと認識して欲しいところです。
日本酒やウィスキーから人が離れてしまったということと同じことを、映画でも起こさないようにしてほしいです。
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+++ちょいあらすじ... [続きを読む]
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b≪少林少女≫★/b
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いやー、もうbfont color=red size=3なんか痛々しい作品/font/bでしたよ。。
うーん、間違い無く駄作でしょう。いやもう言葉を失うぐらい..... [続きを読む]
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☆「少林少女」
監督:本広克行
出演:柴咲コウ、仲村トオル、キティ・チャン、ティン・カイマン、ラム・ジーチョン、岡村隆史、江口洋介
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受信: 2008年6月 2日 (月) 23時10分
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よくこんな、バラエティ番組のパ... [続きを読む]
受信: 2008年10月12日 (日) 22時36分
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コメント
ケントさん、こんばんは!
まず脚本がひどかったですよねー。
話がつながっていない、キャラクターも魅力的でない、不満をあげればいくらでもでてきそうです。
こういう映画がヒットということになると、質をないがいしろの傾向が強まって、結果的に邦画もまた苦しくなってきてしまうのではないかと心配です。
投稿: はらやん(管理人) | 2008年5月24日 (土) 22時41分
はらやんさんこんばんは
それにしてもひどい映画でしたね。近年まれに見るほどの不出来なさくひんでした。
脚本と演出が悪いのですかね。
江口洋介と仲村トオルのあの言葉は、本編と全く繋がらなかったけれど、なんか別の映画を作っていて間違えてくっつけちゃったという感じかな。
ほんと質の低下も甚だしいですよね。
投稿: ケント | 2008年5月24日 (土) 21時02分
ひろちゃんさん、こんばんは!
そうですね、監督や脚本家が今まで好きだったカンフー映画の要素を詰め込んで整理をしなかったという感じがします。
作っているほうは楽しいかもしれないですが、観る方のことも考えて欲しいところです。
僕はとっても期待度高かったので、がっかり度も大きかったです。
投稿: はらやん(管理人) | 2008年5月10日 (土) 19時31分
こんばんは^^
もともと期待はしないで、時間の都合上観た
映画だったのですが(笑)、がっかりでした(^_^;)
>「少林サッカー」はコメディとしてもおもしろいですが、終盤に向けてのドラマの高揚感みたいなものがとてもあったと思います。
同感です^^あんなにありえね~~ばからしいことばかり
あったのに、最後はなんか感動しちゃいましたから^^
私はばかばかしいコメディも好きなので
それならそれに徹して欲しいと思いますし、アクションを
売りにするならそれなりの脚本もあると思うんです。
これはいろいろなことを詰め込みすぎて散漫な
映画になってしまっていると思いました。
最近はいい邦画が多かっただけに残念な作品でした(T.T)
投稿: ひろちゃん | 2008年5月 8日 (木) 22時36分
ともやさん、こんにちは!
絵コンテのチェックと編集は本広監督観ているようですが、そういうやり方だそうです。
アメリカではパート監督などありますけれどね。
あちらはもともと分業化が進んでいますから。
製作会社のROBOTはもともとCMの製作で、この10年くらいに映画にシフトしてきた会社です。
なのでこの会社の映画の監督はけっこう若い方が多い。
若いのは悪くないですが、若手の育成というために公開する映画を使うのはいかがなものかと思ってしまいます。
投稿: はらやん(管理人) | 2008年5月 5日 (月) 06時50分
こんにちは、はらやんさん♪
総監督システム…なんですね。
じゃぁ、ほとんど本広監督撮ってないんだ。
道理で本広監督らしさがこれっぽっちも無いと思った。
ラーメンの暖簾分けじゃないんだから、こんなシステムやめて欲しいですよね〜。
投稿: ともや | 2008年5月 4日 (日) 14時26分
ノラネコさん、こんばんは!
シンチーの映画はおもしろかっただけに、がっかり度が大きかったです。
安直な企画での、質を伴わない作品は邦画をまた厳しい状態に持っていってしまうような気がします。
そもそもがテレビ局は本業が別なので、映画への興味はコンテンツのソースとしてであって、映画産業自体には愛を感じていないのかもしれない気もします。
投稿: はらやん(管理人) | 2008年5月 3日 (土) 21時14分
いや~、久々にひどい邦画を観ました。
よせばいいのに、公開日に「カンフーハッスル」をテレビ放送したりしちゃうから、余計にダメさが際立ってしまいました。
シンチーもこんな映画にGO出しちゃだめでしょう。
観客を裏切った点に関しては名前出してる以上は彼も同罪です。
でも、酒好きとしてちょっとだけ言わせていただくと、嘗ての日本酒等級は特級と二級で税率が三倍近く違ったので、いいお酒でもあえて二級登録にして値段を抑えていた小さな蔵もあるので、等級は必ずしも内容を反映していませんでした。
映画の場合はB級はB級ですけどね。
あ、これはF級(落第)ですね。
投稿: ノラネコ | 2008年5月 1日 (木) 01時22分