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2008年3月 2日 (日)

本 「チーム・バチスタの栄光」

原作の上巻を読んで、映画観て、それからまた原作の下巻を読んで、というとても変則的な読み方をしてしまいました。
あまりこういう読み方はしませんが、小説と映画の違いはよくわかりますね。

<ネタばれあり・犯人に触れます>

最も異なるところは主人公田口が男性か女性かというところですが、これは置いておきます。
小説も、映画も事件は二段階で解決するのは変わりません(仔細は異なりますが、大きくはその原因もトリックも同じ)。
一段階目は執刀医である桐生が緑内障を患っているのにも関わらず、鳴海の声を手がかりに手術を行ったということを明らかになるところ。
そして第二段階目は麻酔医氷室の犯罪だということがわかるところ。
けれども映画と小説ではその比重の置き方が異なる感じがしました。
映画では先日の記事で書いたように、一段階目の桐生、鳴海の行為の方に焦点が合っています。
意志としての義務感、使命をもちながらも、また自尊心、傲慢さというのを捨てられなかったエリートの医師の姿というのがテーマになっていたように感じました。
そのため二段階目の氷室の犯罪はどちらかというと付け足した感があったように思えました。
逆に小説では、桐生・鳴海の行為よりも、氷室の犯罪の方に比重があるような感じがしました。
氷室という医師を生んでしまった、大学病院という仕組みの問題、医師不足などの背景から、作者が医師ならではという問題点の意識が感じられます。
またパッシブ・フェーズ、アクティブ・フェーズという対照的な聞き取り方法の使い分けと、田口・白鳥コンビの対照性がわかりやすいのも小説の方だったと思います。
映画の方の白鳥はただの失礼なヤツに見えないこともない。
とはいえ映画で延々と方法論の説明をさせられても困るので、映画の白鳥はあれはあれで良かったのかもしれません。
映画と小説、どちらが優れているということではなく、同じネタを使いながらも表現方法で伝えること、伝わることが変わるのだなあと改めて思いました。

「チーム・バチスタの栄光<上>」海堂尊著 宝島社 文庫 ISBN978-4-7966-6161-4
「チーム・バチスタの栄光<下>」海堂尊著 宝島社 文庫 ISBN978-4-7966-6163-8

映画「チーム・バチスタの栄光」の記事はこちら→
小説「チーム・バチスタの栄光」に続く第二弾「ナイチンゲールの沈黙」の記事はこちら→
第三弾「ジェネラル・ルージュの凱旋」の記事はこちら→
第四弾「イノセント・ゲリラの祝祭」の記事はこちら→
第五弾「アリアドネの銃弾」の記事はこちら→
海堂尊氏の小説「螺鈿迷宮」の記事はこちら→

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