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2008年3月30日 (日)

本 「オルタード・カーボン」

時は27世紀、人間の意識は完全にデジタルコピーをすることが可能になっている。
つまりコンピュータのデータのようにバックアップをすることができ、他の肉体(オルタード・カーボン)にダウンロードすることによって、別の人間の肉体をまとうことができる。
その時代は死は本当の死(リアル・デス)ではなくなり、バックアップデータを使えば永遠に生きることができる。
リアル・デスはバックアップデータすべてが消え去った時なのだ。

フィリップ・K・ディック賞をとっただけあって、ディックのような雰囲気が全編にただよっている。
というよりも映画「ブレードランナー」の影響を強く受けている作品だ。
そもそも「ブレードランナー」はディックの世界観に加え、ハードボイルドの要素を加えている作品になっていて、主人公の性格などにはかなりそのような印象を受ける。
そしてディックやハードボイルドの影響を受けつつ、「ニューロマンサー」などのサイバーパンク群が成立したのだが、本作はそれらの世界観も受け継いでいる。
本作品「オルタード・カーボン」はディック、ハードボイルド、「ブレードランナー」、サイバーパンクといった流れを受け継いだ正当の系譜と言っていいかもしれない。
作者のリチャード・モーガンはこれが処女作ということだが、そうは思えないほどに作品に密度があり、27世紀という時代に現実化している新技術のギミックなどのアイデアもふんだんにあるためにかなり読み応えがある。
サイバーパンクなどのSF作品群が好きな人にはお勧めです。
映像化してもおもしろいかなと思っていたら、ワーナーが映画化権をとったようですね。

「オルタード・カーボン」リチャード・モーガン著 アスペクト ハードカバー ISBN4-7572-1129-5

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