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2008年3月18日 (火)

本 「NEXT -ネクスト-」

「ジュラシック・パーク」のマイクル・クライトンの最新作です。
いつも最先端の科学をテーマに取り上げる、マイクル・クライトンですが、今回は遺伝子研究になります。
「ジュラシック・パーク」以降のマイクル・クライトンの作品ではあるパターンがあるように思えます。
とりあげるのは最先端のテクノロジーや社会問題。
けれどもマイクルはその表層的なテクノロジー賛美や、正しい社会問題に批判をする構成にしています。
テクノロジーには良い面もあれば、危険な面もある。
この本のテーマであれば遺伝子研究は遺伝子治療などいままで救うことができなかった命を救うという
面もあれば、遺伝子特許など本来学究の徒であるはずの大学の利権主義への警笛などの側面も描きます。
また社会問題で、その問題性ゆえに正しい側と無批判に思われる環境保護団体(「恐怖の存在」)や女性(「ディスクロージャー」)などに対しても、無批判にはできないという考え方を提出します。
これは、マスコミなどで作られたイメージを鵜呑みにしてしまう一般大衆への批判とも言えます。
マイクル・クライトンの小説は、毎回テーマにする題材に対してのリサーチが半端ではないように思えます。
彼はとことんテーマに調べた上で作品を作っている。
この態度は、自分で疑問を持つことなく、疑問を持っても追求することなく、あるセンセーショナルなるな側面からしか伝えないマスコミの報道だけを信じる大衆への批判だと感じます。
それを表面きって批判するのではなく、エンターテイメントとしての小説で読ませてしまうところがマイクル・クライトンが長く支持される理由でしょう。
とはいえ、ずっとマイクルの作品を読んでいると、このパターンというのも次第に飽きつつあり、「ジュラシック・パーク」を初めて読んだときほどの衝撃を受けなくなりました。
あの時の衝撃をもう一度受けたいと思うのは、贅沢なのかな・・・。

マイクル・クライトン作品「サンディエゴの十二時間」の記事はこちら→

「NEXT -ネクスト-<上>」マイクル・クライトン著 早川書房 ハードカバー ISBN978-4-15-208852-9
「NEXT -ネクスト-<下>」マイクル・クライトン著 早川書房 ハードカバー ISBN978-4-15-208853-6

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 2007年/アメリカ  監督/リー・タマホリ  出演/ニコラス・ケイジ      ジュリアン・ムーア      ジェシカ・ビール  2分先の自分に関する未来が見えるマジシャンのクリス。そんな彼が初めて、自分以外の人間の未来を見る。彼は彼女を運命の人だと思いこむ。そんな時、FBIがクリスの特殊な能力に目をつけ、テロを阻止するため協力させようとする・・・というストーリー。  ちょっとB級のような気もするけれど、ニコラス・ケイジなら許せる(笑)。っていうか、アクション好きとしては結構... [続きを読む]

受信: 2008年6月 8日 (日) 23時16分

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