「陰日向に咲く」 縁は異なもの
現代は人の関係が薄くなったとよく言われます。
けれど一人がいいと思っている人が増えたわけではないような気がします。
というよりも、人との関係が近くなると、相手を傷つけてしまうから、そして自分が傷ついてしまうから、それが怖くて関係を薄くしてしまっているのかもしれない。
人と繋がっていたいと思うけれど、それが切れるのがとても怖い。
だから始めから人との関係から逃げてしまうのかもしれない。
ギャンブルに逃げ込むシンヤ。
何かから逃げ続け、長いことホームレスとして暮らすモーゼ。
芸人になろうとする夢を捨てる雷太。
今の生活を捨て、ホームレスになろうとするサラリーマン、リュウタロウ。
人は人を想う。
いくら人との関係を薄くしようとしても、それは止めることはできない。
人は人を想う。
それが人を動かす力になる。
恋をしてその人といっしょにいたくて、上京してくる鳴子。
初恋の少女の面影を追い、アイドルを応援するゆうすけ。
自分への応援を力にがんばるアイドルみゃーこ。
いくら一人でいようと決心しても、人と人は繋がってしまうものなのかもしれない。
縁は異なもの。
不思議に繋がり合う人の縁は、人の人生を変える。
偶然にシンヤがかけた電話が、ある女性の人生の最後の癒しを与えたように。
彼女との悲しい出合いがシンヤが自身の人生を見直すきっかけを与えたように。
縁は異なもの。
不思議に絡み合う人生。
それは実は不思議なことはではないのかもしれない。
人はそもそも繋がりを求めるものだから。
縁を求めるものなのだから。
原作は未読なので原作通りかわからないのですが、本作が脚本はとてもよくできていたと思います。
登場人物それぞれの描かれている人生が、台風のシーンのエピソードに向かい収斂していくのはなかなか見事だったと思います。
過去と現代がパラレルに描かれていますが、彼らの人生がどのように関わっているのかが明らかになっていくさまは下手なミステリーよりもおもしろかったです。
| 固定リンク
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 「陰日向に咲く」 縁は異なもの:
» 大雨、後快晴 [CINECHANの映画感想]
26「陰日向に咲く」(日本)
ギャンブルで借金まみれになったシンヤ。取立屋にも追われ、とうとうオレオレ詐欺にまで手を染める。しかし電話に出た老婆と心を通わせ始め、なかなか金が引き出せない。
そんなシンヤが街で知り合った寿子は、母鳴子が恋をした売れない芸人、雷太を探して母が働いていたストリップ小屋を訪れる。
25歳の崖っぷちアイドル、みゃーこを一途に応援するアキバ系アイドルオタクのゆうすけ。しかしみゃーこが出演するイベント会場は今日も閑古鳥。
エリートサラリーマンであるリュウ...... [続きを読む]
受信: 2008年2月12日 (火) 01時05分
» 【陰日向に咲く】 [日々のつぶやき]
監督:平川雄一朗
出演:岡田准一、宮崎あおい、三浦友和、西田敏行、塚本高史、平山あや、伊藤淳史
劇団ひとりの同名原作の記憶はかなりおぼろげ・・
細かな部分は忘れてしまっていますが、短編のような形をとりながらもちょっとずつ登場人物がリンクしているのが面白... [続きを読む]
受信: 2008年2月12日 (火) 09時57分
» 陰日向に咲く [Akira's VOICE]
ツンとくるのに,泣けない。
[続きを読む]
受信: 2008年2月12日 (火) 16時23分
» 陰日向に咲く [花ごよみ]
劇団ひとりの原作を映画化。
キャストは岡田准一(シンヤ)
宮崎あおい(鳴子・寿子)
伊藤淳史(雷太)
平山あや(みゃーこ)
緒川たまき(ジュピター)
塚本高史(ゆうすけ)
西田敏行 (モーゼ)
本の内容、記憶が薄れていましたが、
映画を観ているうちに
徐々に思い出してきました。
原作は連作になっていますが、
映画では岡田准一(シンヤ)を中心軸として
宮崎あおい(寿子)、西田敏行(モーゼ)、
三浦友和(リュウタロウ)達が
複雑に交差して物語が進行していきます。
東京... [続きを読む]
受信: 2008年2月12日 (火) 16時35分
» 2008-05『陰日向に咲く』を鑑賞しました。 [はっしぃの映画三昧!]
#63704;映画を鑑賞しました。#63893; 2008-05『陰日向に咲く』(更新:2008/01/30) 評価:★★★★☆ 日陰に生きるダメダメな人たちを描いた、泣きたいくらい愛おしい群像劇 劇団ひとり原作の映画です。 登場人物が微妙に絡みあいなんと..... [続きを読む]
受信: 2008年2月12日 (火) 18時14分
» 陰日向に咲く [ネタバレ映画館]
『木更津キャッツアイ』の岡田准一と塚本高史、『純情きらり』の宮崎あおいと三浦友和、『釣りバカ日誌』の西田敏行と平山あや。一見、関係ありそうな彼らが微妙に繋がらない・・・ [続きを読む]
受信: 2008年2月12日 (火) 19時15分
» 陰日向に咲く [future world]
劇団ひとり氏のベストセラー小説は未読だが、
読んだ人から小説は面白かったと聞き、やや期待して観にいったが。。
3つの物語がそれぞれ進行し、最後に絡み合うような作り方で、
纏まり具合はなかなか上手いなと思ったけど、
そこに行き着くまでが、やや平坦に感じた...... [続きを読む]
受信: 2008年2月12日 (火) 23時50分
» 折れた心を治すモノ。『陰日向に咲く』 [水曜日のシネマ日記]
お笑い芸人、劇団ひとりのベストセラー小説を映画化した作品です。 [続きを読む]
受信: 2008年2月13日 (水) 12時23分
» 『陰日向に咲く』 [京の昼寝〜♪]
□作品オフィシャルサイト 「陰日向に咲く」□監督 平川雄一朗 □原作 劇団ひとり □脚本 金子ありさ □キャスト 岡田准一、宮崎あおい、伊藤淳史、西田敏行、三浦友和、平山あや、塚本高史、緒川たまき
■鑑賞日 1月27日(日)■劇場 チネチッタ■cyazの満足度 ★★★★(5★満点、☆は0.5)
<感想> 原作は読んでいないが、岡田クンが出ているということでかみさんのお供的に観たのだが、“陰日向に咲く”とはよく言ったものだ。 人のえにしとは運命の赤い糸ではないけれど、もしかしたら元々青や緑や様々... [続きを読む]
受信: 2008年2月13日 (水) 17時39分
» 「陰日向に咲く」を観る [紫@試写会マニア]
今年公開の邦画作品で観たかったモノのひとつ、「陰日向に咲く」を観てきました。
まだ映画化を知らない時期に原作本を読み、芸人としても他と一線を画している感があった劇団ひとりの才能の一端に驚いていたのです。やっぱ映画化しましたねー、しかも決まったキャストはジャニーズの岡田君!!・・・ひとりスゴいぞっ
観終わって、正直初めて原作本を読んだ時の衝撃は受けませんでした。ただストーリー全編を流れる気だるい様な「イラっ」とさは健在。
そう感じたのは、この一年余りに日本を駆け巡った昨今の嘆くべき事柄と、最... [続きを読む]
受信: 2008年2月13日 (水) 22時32分
» 陰日向に咲く [ぷち てんてん]
☆陰日向に咲く☆(2007)平川雄一朗監督劇団ひとり 原作主題歌:ケツメイシ『出会いのかけら』岡田准一宮崎あおい西田敏行三浦友和伊藤淳史平山あや塚本高史ストーリー劇団ひとり原作の小説が映画に。東京に暮すダメな人たちの人生に焦点を当てた群像劇。借金返済のため...... [続きを読む]
受信: 2008年2月15日 (金) 19時40分
» 映画「陰日向に咲く」 [happy♪ happy♪♪]
借金返済のためにオレオレ詐欺に手を染める青年、C級アイドルを
追いかけるオタク少年、家族と世間を捨てた男、夫に逃げられ
子供も亡くした孤独な老女。
日陰でも懸命に生きる人々を温かい目線で描いている。
原作{/book/}を読んでませんが、後半うるうる{/kaeru_cry/}しっぱなしでした。
自分が知らないところで、色んな人とつながっているんだなぁーと
改めて感じながら、今まで出会った人、これから出会う人との
つながりを大切に思い{/face_zzz/}自分の進むべき道を
遠回りしなが... [続きを読む]
受信: 2008年2月16日 (土) 09時35分
» 「陰日向に咲く」 観てきました。 [よしなしごと]
忙しかった先週とは打って変わって今週はなんとか余裕が出てきました。レイトショーに間に合うように会社を出ることができる今週。ふぅ~って感じです。今週3本目は陰日向に咲くを観てきました。... [続きを読む]
受信: 2008年2月16日 (土) 21時34分
» 【陰日向に咲く】 [空の「一期一会」]
★・・・寝てしまった!シンヤがおばあさんの家に行ったあたりから。なので、後日( [続きを読む]
受信: 2008年2月17日 (日) 14時43分
» 「陰日向に咲く」観てきました♪ [りんたろうの☆きときと日記☆]
☆「陰日向に咲く」
監督:平川雄一朗
出演:岡田准一、宮崎あおい、西田敏行、緒川たまき、三浦友和、塚本高史、伊藤淳史、平山あや
東京には大型台風12号が接近していたある夏の日。
パチンコにはまり借金を繰り返すバス運転手のシンヤはサラ金の回収屋に終われる日々。
ギャンブルはもうしないと誓ったものの、どうしてもパチンコがやめられず、今日もまたボロ負け。
そんなある日、シンヤはストリップ劇場の前で母の日記に記されていた初恋相手を探している寿子と出会う。
彼女の母・鳴子は、若かりし頃、浅草のストリ... [続きを読む]
受信: 2008年2月17日 (日) 20時14分
» 「陰日向に咲く」 [大きな栗の木の下で]
2008年 日本 監督:平川雄一朗 出演:岡田准一、宮崎あおい、伊藤淳史、西田敏行、三浦友和、平山あや、塚本高史 【内容】 ギャンブル好きが高じて借金まみれになったシンヤ。上司から援助を受けるも、パチンコで使い果たしてしまった。会社から見放され、取り立てに追われ..... [続きを読む]
受信: 2008年2月18日 (月) 21時18分
» 『陰日向に咲く』 @有楽座 [映画な日々。読書な日々。]
ギャンブル好きが高じて借金まみれになったシンヤ。上司から援助を受けるも、パチンコで使い果たしてしまった。会社から見放され、取り立てに追われるシンヤは、オレオレ詐欺で金を稼ごうとする。しかし、電話に出た老婆がシンヤを自分の息子と思い込んで話し始め、二人の間... [続きを読む]
受信: 2008年2月19日 (火) 00時08分
» そこまでつながりますか。~「陰日向に咲く」~ [ペパーミントの魔術師]
実はコレは珍しく 映画化が決まる前にハードカバーでちゃんと読んでます。 エヘン♪ ブックのレビューはコチラ。 →http://cyberdoll.seesaa.net/article/26807645.html でも、もう1年以上も前でオチを覚えていなかった。(笑) ... [続きを読む]
受信: 2008年2月22日 (金) 11時47分
» 陰日向に咲く [愛猫レオンとシネマな毎日]
もう言わなくってもいいくらい有名な劇団ひとり原作の同名小説です。
小説が話題になってすぐ映画化の話を聞いてたら・・・もう公開です。
早いから雑なんじゃないかってテンションを落として見に行ったら・・・
いいじゃないですか!!!
9人の群像劇なんですけど、...... [続きを読む]
受信: 2008年2月23日 (土) 23時43分
» 西田敏行の役割【団塊世代のタレント 俳優編 】 [西田敏行の役割【団塊世代のタレント 俳優編 】]
釣りバカ日誌の西田敏行は団塊世代の代表人気映画シリーズ「釣りバカ日誌」で描く伝助事西田敏行はどんな役割を果たしているのかちょっと考えてみました。最新作、「ハマちゃんスーさん瀬戸の約束」では見事に団塊世代が持つ人間関係を表しているように思いまし...... [続きを読む]
受信: 2008年2月28日 (木) 18時10分
» 陰日向に咲く [ケントのたそがれ劇場]
★★★☆ いい映画だった。だがネットではそれほど評価が高くない。ことに劇団ひとりの原作を読んだ人の酷評が目立つ。 おそらくそれほど原作は素晴らしいのだろう。原作を知らない僕は、この映画を素直に誉めてやりたい。 このお話は大きく三つのパートに分かれている... [続きを読む]
受信: 2008年3月 5日 (水) 13時17分
» 陰日向に咲く [ともみの言いたい放題♪]
今日、急遽休みになったので、鑑賞してきました。 [続きを読む]
受信: 2008年6月23日 (月) 17時00分
» 「陰日向に咲く」 [★☆ひらりん的映画ブログ☆★]
お笑い芸人「劇団ひとり」の同名小説の映画化。
珍しく原作は読んでました。
家のトイレに置いてあったので・・・。 [続きを読む]
受信: 2010年11月16日 (火) 03時56分
» 陰日向に咲く [エリのささやき]
すでに上映は終わりましたよね?
[続きを読む]
受信: 2013年12月29日 (日) 11時53分
コメント
ケントさん、こんばんは!
僕も原作は未読なんです。
けっこう評判は良いようですね。
映画は登場人物がリンクしていましたが、小説はもっと独立した話のようです。
劇団ひとりさんはピンなので自分でネタとかも書かれるのかもしれませんね。
だから小説なども書ける器用さがあるのかもしれません。
投稿: はらやん(管理人) | 2008年3月 9日 (日) 19時32分
はらやんさんTBお邪魔します
原作は未読なのですが、皆さんのレビューをみていると、かなり原作は素晴らしいようですね。それに全体の構成もだいぶ異なっているみたいですね。
最初は劇団ひとりの自叙伝かと思ったのですが、違うみたいですね。自叙伝以外の小説を書ける芸能人は、かなり優秀なのでしょうか。
投稿: ケント | 2008年3月 5日 (水) 13時17分
ヨメさん、こんばんは!
登場人物の繋がりがすこしづつ明らかになっていく構成はなかなか見事でしたよね!
下手をすると予定調和的にも見えてしまうところですが、そのようなこともなく。
脚本・演出の構成がとても冴えていたと思います。
投稿: はらやん(管理人) | 2008年2月23日 (土) 21時21分
はらやんさん、こんにちは。
登場人物たちが徐々につながっていくところはワクワクドキドキして見れました。
>台風のシーンのエピソードに向かい収斂していくのはなかなか見事だったと思います。
台風が見事なアイテムになってましたね。
とっても素敵な映画でした!!
投稿: ヨメ | 2008年2月18日 (月) 21時37分
【映画情報サイト『シネトレ』公認映画ブロガー募集のお知らせ】
こんばんは。
突然のTB、コメントで失礼します。
映画情報サイト『シネトレ』です。
http://www.cine-tre.com
映画情報+試写会プレゼント『シネトレ』では、シネトレのスタッフよりも映画のことを熱く!語れる、『シネトレ』公認映画ブロガーを募集しています。
貴殿のブログを拝見させていただき、是非エントリーをお願いしたく思い、ご連絡させていただきました。
詳細は、『シネトレ』をご覧ください。宜しくお願いいたします。
シネトレクロスメディアマーケティング
blog@cinevine.jp
投稿: シネトレ | 2008年2月13日 (水) 17時54分
コブタさん、こんばんは!
先日はお疲れさまでした。
こちらこそ楽しかったです。
またよろしくお願いします。
こちらの作品、先日コブタさんがキャラクターの繋がりがよくできているとおっしゃていたので、さっそく観てきました!
別々の人生があの台風の日に収斂していく構成が良くできていて感心しました。
女性の手紙のシーンではおもわずホロリと。
僕も孝行はできていないので、たまには実家に帰らんとと思ってしまいました。
投稿: はらやん(管理人) | 2008年2月12日 (火) 22時30分
先日はお疲れさまでした!
色々お話できて楽しかったです!
コチラの作品、脚本良くできていましたよね!それが態とらしくなく心地よく感んじることができました。
原作ではもう少し関わりは薄くもっとバラバラな物語だったのですが、とりそれぞれの繫がりをつくり、さらに共通の時間で同じ天候の下におくことでより 一体感を持たせていていましたよね!
投稿: コブタです! | 2008年2月12日 (火) 14時49分