「獣拳戦隊ゲキレンジャー」 計算された展開
東映の塚田英明プロデューサーが一年振りにメインとなった戦隊シリーズ。
塚田プロデューサーが手がけた作品はけっこう好きだったりします。
それらは「特捜戦隊デカレンジャー」であり「魔法戦隊マジレンジャー」だったりするのですが、彼の作品には二つの特徴があるように思われます。
一つは別のジャンルの特徴を上手に戦隊シリーズに取り入れるということ。
「デカレンジャー」の場合は「太陽に吠えろ」や「西部警察」などの「テレビの刑事もの」の特徴を取り入れていますし、「マジレンジャー」は「ハリー・ポッター」シリーズなどの「ファンタジーもの」の要素を取り込んでいます。
本作「獣拳戦隊ゲキレンジャー」ではブルース・リーやジャッキー・チェンなどの「カンフーもの」をベースにしています。
「刑事もの」「カンフーもの」のようなジャンルは、僕が子供の頃に好きだったものであって、作品の中でもそれらの作品を彷彿とさせるところがあって、クスリとさせられます。
塚田プロデューサーの年齢を見ると僕と年が近いこともあって、彼もたぶん子供の頃、これらのジャンルが好きだったのだろうなと思います。
また塚田プロデューサーの特徴の一つが1年というスパンのシリーズの大河ドラマ性というのを意識して作っているというところです。
「マジレンジャー」等はそれが顕著に表れていて1年間を大きく3部構成にして、それぞれの部ごとに物語の盛り上がりを用意し、年間を通して物語に視聴者を惹き付ける手法を展開しています。
もともと戦隊ものは一話完結が基本でしたが、この数年は「平成ライダー」シリーズの影響も受けたのか、大河ドラマ性が強くなっています。
中でも塚田プロデューサーはその傾向が強い。
本作「ゲキレンジャー」も三人の若者の成長という柱を持ちつつ、正義の拳法と悪の拳法の対立、主人公ジャンの出生の秘密などを織り交ぜ、終盤はやはりドラマとして盛り上がり見応えがあったように思えます。
これらの特徴を見るにつけ、塚田プロデューサーの作品は当初より計算されてラストまでの展開が決められているような気がします。
本作でも年間を通しての起承転結の構成と1話毎のバラエティ感、新キャラクター・新メカの投入などについても、1年を通して適切なタイミングで行われていたような気がします。
子供向けのキャラクターシリーズは、おもちゃの販売などにより放映途中で路線変更をさせられることが多い中、計算通りに最後まで通せるのはなかなかの手腕のような気がします。
(最近の「平成ライダー」は「ブレイド」にせよ、「響鬼」にせよ、途中で路線変更を余儀なくされている)
内情を知っているわけではないので計算通りにいっているかどうかはわからないですが、完成された作品を見ると、要素が収まるべきところに収まっている感じがあります。
今度の戦隊ものは塚田プロデューサーじゃないんですね。
ちょっとがっかり。
2年続けての作品作りはやはりたいへんなんでしょうね。
映画「電影版 獣拳戦隊ゲキレンジャー ネイネイ!ホウホウ!香港大決戦」の記事はこちら→
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