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2008年2月11日 (月)

本 「あなたの会社の評判を守る法」

この本のタイトルにある「評判」という言葉、英語ではレピュテーション(reputation)と言います。
最近マーケティング関連の本でレピューテーションという言葉をよく聞きます。
コーポレート・レピュテーション、言わば「会社の評判」というものは、この本では「企業人の判断・行動、発言にたいして、消費者や投資家、取引先、ジャーナリズム、地域社会といったすべてのステークホルダーが下す、正または負の評価」と定義しています。
なじみのあるコーポレート・ブランドとの違いは、「企業人の判断・行動、発言にたいして」というところでしょうか。
ブランド価値というのは、基本的にはその企業が提供する商品もしくはサービスに対する評価になります。
それに対してコーポレート・レピュテーションは企業を構成する人の行動なども対象になります。
またブランド価値は「価値」というだけあって、その商品・サービスの提供するベネフィット(ファンクショナルであっても、エモーショナルであっても)、つまりそれらによって引き起こされる結果が対象になりますが、レピュテーションはプロセスも対象に含みます。
商品を開発する時、製造する時に環境への配慮があるか。
商取引の際に法令を遵守しているか。
何かしらのクレームがあった時のお客様への対応は適切か。
これらは結果ではなく、プロセスです。
業績や利益をあげるだけでは企業はもう成り立ちません。
というよりもステークホルダーは企業の活動のプロセスもしっかりと見ていて、それがおかしい場合は、コーポレート・レピューテションは負に転じ、結果として購買は控えられ、企業の目的である利益を追求することができなくなるわけです。

レピュテーションを大きく下げるのは、企業の不祥事などが発生したときです。
けれどもこのような時でも、対応を間違えなければレピュテーションをあげるまではいかなくても、下げすぎないことはできます。
昨今の様々な企業不祥事、製品クレームの発生を見てみると、うまく対応した会社、対応できなかった会社でその後の評判が大きく変わっているのがわかります。
僕が働いている会社でも製品回収などを行ったことがあります。
そういう場面は、会社にとっては緊急事態であり、通常のように悠長に時間をかけて対応を考えている時間がありません。
そのためにはまず一つ大事なのは、そのような事態を予見した対応を事前に準備することです。
製品回収などはあってはいけませんが、その可能性をゼロにすることはできません。
それが起こったときの準備をしておくことが、有事の際の対応を間違えない一つの方法です。
もう一つはやはり当たり前のことなのですが、「お客様の視点にたち、真摯に対応すること」でしょう。
不祥事が起こった際、それに対して真摯にとりくんでいるかいないか、それは相手に伝わります。
というよりそれを見ています。
ステークホルダーに向き合う局面というのは、広告や記者会見などだけではありません。
それこそ社員ひとり一人がステークホルダーに向き合う場面がすべてレピュテーションに関係してきます。
当然経営などトップの判断は重要なのですが、社員ひとり一人の応対というものも非常に大切だと認識するように思います。

「あなたの会社の評判を守る法」久新大四郎著 講談社 新書 ISBN978-4-06-287913-2

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