「スターダスト」 女の子にも男の子にも
仕事がとても忙しかった時に劇場公開だったため見逃していたこの作品、DVDレンタルが始まったので観てみました。
この数年、ファンタジー作品が次々と作られています。
傑作もある代わりに、そうでないのもたくさんあるので、過度な期待はせずに本作を観賞しましたが、意外にも(失礼!)おもしろい。
ファンタジーものというのは、主人公が何かを探し(LOTRは捨てにですが)にでかけ、その旅路の中で成長していくという物語が王道ですが、本作もその流れに従っています。
工夫があるのは、物語の中で探し物が二つあること。
その二つのアイテムを探す登場人物たちには、それぞれ目的があって、彼らの行動が絡み合いつつ物語は進んでいきます。
第一のアイテムは魔法の国ストームホールドの王の印であるルビー。
これを跡目を継ぐべく三王子たちが互いに争いながら探していく。
そして第二のアイテムが”流れ星”=イヴェイン。
何百年も生きているラミア(ミッシェル・ファイファー)ら魔女三姉妹が、永遠の美と命を手に入れるために”流れ星”の心臓を手に入れようとします。
主人公トリスタンも好きな女性ヴィクトリアの心を引くために”流れ星”を探しに旅立ちます。
目的別に分けると大きく3つの集団が互いに競うように探し物をしていく展開、そして女装趣味の空飛ぶ海賊(ロバート・デ・ニーロ)やトリスタンの母親、彼女を拘束している魔女など魅力あるサブのキャラクターが絡んでいく展開はワクワクしながら観れました。
細かな伏線(占い用の動物たちが復讐するところとか)なども綺麗に張っていたので、細部まで気が配られていた脚本だったように思えます。
ユニークだったのは探し物である”流れ星”が女性で生きているという設定。
金星がみつからないという場面があったので、イヴァインは金星(ヴィーナス)だったのでしょうね。
まさに女神。
魔女たちにとって”流れ星”は手に入れればいいというわけではなく、彼女自身がいきいきと輝いていなければその効果はあまり期待できない。
イヴァインの気持ちで、彼女の発する星の輝きが変わるというのはおもしろい設定。
まさに「恋は女性を輝かせる」。
脱線しますが、後輩の女性が先日結婚したのですが、久しぶりに会ったら表情が今までとまったく違う。
ほんとにキラキラとしていると言っていいくらい。
ああ、恋は女性を輝かせるのだなあと思った次第です。
イヴァリンは遠くから人の営みを見るだけで、そこにある愛に憧れはすれども、手に入れることはできなかった。
けれども不意に始まった旅路において、愛するということを知り、愛する人を手に入れることができます。
トリスタンも旅の目的はヴィクトリアという愛する女性の気持ちを得るためでしたが、旅の途中でイヴァインという本当の愛する女性を手に入れ、彼女を守るために彼自身が大人の男として成長していきます。
物語にはさまれるアクションシーンもテンポよくて見所があって楽しめました。
なかでも死体のチャンバラアクションはなかなかのアイデア。
ギクシャクした動きで、常人では考えられないアクションは見事だったと思います。
空飛ぶ海賊の海賊船などもかっこよく、男の子的にはけっこう楽しめました。
ラブロマンスとしては女の子の心をもった女性に、少年・青年の成長物語としては男の子の心を持った男性に、それぞれ楽しめるエッセンスを持った娯楽作に仕上がっていると思います。
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