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2008年2月24日 (日)

本 「敵は海賊・A級の敵」

いろいろと小説を読みますが、とても相性が良いと言える作家さんが何人かいます。
「好き」というのとはちょっと違う、ものの考え方が似ているというか、やはり相性が良いというのが一番しっくりきます。
そのひとりが本作の著者である神林長平氏。
神林氏というのはSF作家ではありますが、その作品は哲学的でもあります。
得てして哲学的テーマのSF小説というのは読むのが(わかりづらくて)とても苦痛な作品になりがちですが、神林氏の作品は決して小説としてのエンターテイメント性は損なっていません。
そういうところが僕としては相性が良いと思うところなんですよね。
特に本作を含む「敵は海賊」シリーズは、キャラクターがたっているため、キャラクター小説としても読めるので、神林作品の入門編としてはいいのではないでしょうか(特に女性、男性には「戦闘妖精・雪風」がお薦め)。
氏の小説の題材は「情報」を扱ったものが多いように思われます。
現実世界はすべてある種の「情報」で記述できるのではないか。
それでは完璧に記述された「情報」によって構成される世界は、現実世界と果たして区別できるのか。
完璧に作られた人工生命は、知性体として人間たちと区別できないのではないか、もしかすると人よりも進化した知性体なのではないか。
氏の小説には意志をもった機械というのがよく登場します。
「情報」というものを介して、現実世界と虚構世界の境目がなくなるような感じは、フィリップ・K・ディックのものの見方にも通じるような感じもある気がしますが、ディックよりも神林氏の方が格段にとっつきやすい。
本シリーズなどは特にそうですが、基本的にトーンが明るく、ユーモアが感じられます。
彼の作品には登場人物同士の論理的なようで不条理な会話というのがあるのですが、これが独特のユーモア感があります。
この作品では地球人ラテル、猫型異星人アプロ、人工生命宇宙船ラジェンドラの会話がなかなか楽しませてくれます。
本作は「敵は海賊」シリーズの中でも特に読みやすい作品になっているかと思います。
神林長平さんにご興味がある方はまずはこのシリーズから取りかかってみてはいかがでしょうか。

神林長平作品「ライトジーンの遺産」の記事はこちら→
神林長平作品「ルナティカン」の記事はこちら→
神林長平作品「あなたの魂に安らぎあれ」の記事はこちら→

「敵は海賊・A級の敵」神林長平著 早川書房 文庫 ISBN978-4-15-030583-3

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