「神童」 「好き」と「才能」
先週「きみにしか聞こえない」に引き続き、成海璃子さんつながりで「神童」を観てみました。
「神童」の方が前に撮ったのかな、中学生役だというのもあって「きみにしか聞こえない」に比べてずいぶん幼く見えますね。
成瀬うた(成海璃子さん)は言葉を覚えるより前に楽譜が読めるようになったというほどに、ピアノに天賦の才能を持つ女子中学生。
亡くなった父親はピアニストで、母親はうたも一流のピアニストに育てようと懸命になっています。
母親はうたの才能を信じ、そのためにレッスンや日々の生活の中もピアノを中心にしています。
うたはそういうことが重荷になったのか、ピアノを弾くことを嫌がるようになります。
菊名和音(松山ケンイチさん)はピアノが好きで音大を目指す学生。
けれども、和音は図抜けた才能はなく、大学の受験さえおぼつかない。
ふとしたことで二人は出会い、うたは和音にピアノを教えます。
和音はピアノがほんとに好きで一生懸命。
彼は「才能」がそれほどあるわけではないけれど、ピアノが「好き」だからがんばる。
うたは彼のそういうところが眩しく見えたのかもしれません。
彼女は「才能」はありますが、自分がピアノを「好き」であるかどうか段々わからなくなってきていました。
うたは大学へ和音を訪ねに行った時、古いピアノに出会います。
何気なく弾き始めたとき、彼女はたぶん久しぶりにピアノを弾いて楽しいと思ったのでしょう。
ピアノがやっぱり「好き」だと思ったのでしょう。
けれどもそんな時、うたは自分が難聴になりかけていくことを自覚します。
せっかくピアノをまた「好き」になれたのに、今度はピアノを弾く「才能」を失っていくかもしれない。
なんとも不安だった気持ちだったでしょう。
和音もうたの微妙な変化に気づきます。
うたがいままで自ら弾こうとしなかったピアノを弾こうとしている、そのことから。
うたがドイツのピアニストから代奏を指名された時、それを受けたのは、残り少なくなるかもしれない音楽との時間を無駄にしたくなかったのかもしれません。
「あたしは音楽だから」
ようやく彼女の音楽への「好き」という気持ちと、その「才能」があった瞬間でありました。
ラストの連弾はなんとなく希望を感じさせてくれました。
根拠ないですが彼女は治る、そしてずっと音楽であり続けてくれると思いました。
上記のような心情がこと細かに説明されている脚本ではありません。
どちらかというと、無駄な台詞を極力削ぎ落としている脚本だと思います。
けれどもうたと和音の心情は伝わってきます。
成海さんと松山さんが台詞の間にある気持ちというのを表現していたからなのでしょうね。
それにしても・・・、うたの同級生の男の子はかわいそう。
一晩つき合ったのに、ね。
中学生の女の子から見ると、同級生の男の子は幼くて仕方ないよね、好きな相手が大学生だったりしたら。
踏み台にされたりして(泣)。
男はつらいよ。
成海璃子さん主演「きみにしか聞こえない」の記事はこちら→
松山ケンイチさん出演「デスノート the last name」の記事はこちら→
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コメント
シャーロットさん、こんばんは!
渋谷での単館公開だったので、僕も見逃していました。
雰囲気のいい映画でしたよね。
台詞が少なくベラベラと饒舌な感じではなかったですけれど、流れる音楽から気持ちは伝わってくる感じがしました。
投稿: はらやん(管理人) | 2008年1月24日 (木) 20時58分
こんばんは☆
男はつらいよ・・・ですかー。笑
私は本作はどうも見る気が起きなくて、随分と経ってからすすめられて見たわけですけど・・・昨年度のマイベスト邦画の2番めなんですよー。笑
なんだかとても雰囲気そのものが気に入りました。私も音楽になりたい・・・なーんて思ったのでした;
投稿: シャーロット | 2008年1月21日 (月) 23時00分