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2008年1月25日 (金)

本 「図書館革命」

有川浩さんの「図書館戦争」シリーズの完結篇です。
前作「図書館危機」で主人公郁と堂上教官の恋もハッピーエンドに向かいそうな展開であったので、本作ではキャラクターの恋バナよりもどちらかというとこのシリーズのバックグラウンドの設定でもあった「良化法」に関する決着がメインだったような気がします。
「良化法」、正式には「メディア良化法」は言うなれば検閲法みたいなもので、そもそも公序良俗に反し、人権侵害する表現を取り締まる法律でありましたが、その法を執行するメディア良化委員会に武力による超法規的措置も認めていたため、事実上の検閲となっていました。
それが表現の自由に反するという意見もある中、発表された著作物を保管する図書館にも武力をもってその著作物を守る権利が認められました。
それが「図書館の自由法」であり、その法律によって設立されたのが、主人公郁らが所属する図書隊です。
表現の自由や検閲に関する著者の意見は今までの作品の中で語られていたので、結末はそれほど驚くようなものではなく、落ち着くべきところに落ち着いたというところでしょうか。
前作まで図書隊の大きな相手でもあった「未来企画」についての扱いがご都合主義っぽい感じはしましたけれども。
シリーズに決着をつけるという巻であったためか、郁らキャラクターの生き生きした感じというのは今までの作品のほうがあったような気がします。
ちょっと落ち着いてしまったような感じもあって、キャラクター小説的な側面は薄かったかな。
とはいえ、サクサク読めるエンターテイメントには仕上がっていますので、万人向けの小説な気がします。
「図書館内乱」のところで映像化されるんじゃないかと書きましたが、アニメ化が決定したようですね。
I.G.が作るようなので、期待が高まります。

「図書館戦争シリーズ 図書館内乱」の記事はこちら→
「図書館戦争シリーズ 図書館危機」の記事はこちら→
図書館戦争シリーズ「別冊 図書館戦争Ⅰ」の記事はこちら→
図書館戦争シリーズ「別冊 図書館戦争Ⅱ」の記事はこちら→
アニメ版「図書館戦争」の記事はこちら→

「図書館革命」有川浩著 メディアワークス ハードカバー ISBN978-4-8402-4022-2

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