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2008年1月12日 (土)

本 「月に繭 地には果実」

この作品は「亡国のイージス」「終戦のローレライ」等が代表作である福井晴敏氏による、アニメーション「∀ガンダム」のノベライズです。
僕はファーストガンダムの再放送で夢中になった世代です(いわゆるガンプラ世代)。
でも「Zガンダム」「ZZガンダム」までは観ていましたが、それ以降の「ガンダム」と名がつく作品は未見です。
ちょうどアニメ離れする年頃だったのと、あまりにもファーストガンダムから離れた世界観についていけなくなったのかもしれません。
アニメーションの「∀ガンダム」についてはシド・ミードがデザインしたということ、どうもファーストガンダムと繋がった話であるということはなんとなく知っていましたが、未見です。
好きな作家である福井晴敏さんがノベライズを手がけていることも知っていましたが、どうもノベライズというものには食指が動かずずっと手を出さなかったのです。
どうもノベライズ作品というのは、映画やテレビをなぞっていくだけであってあまりおもしろくない印象があります。
特にアクション重視の作品の場合はどうしても映像にはかないませんし、もともとのオリジナルストーリーが決まっている分、書いている作家の個性は出にくいと思います(ノベライズを手がけている作家はあまり一流の方が書いているというわけではないということもありますが)。
けれども本作「月に繭 地には果実」ですが、読んでみるとノベライズにも関わらず福井氏らしい個性が出ているように思い、ちょっと驚きました。
また「∀ガンダム」という物語にはファーストガンダムにも似た臭いがします。
「∀ガンダム」はファーストガンダムの富野由悠季さんが監督しているということもあるでしょうが、よく考えてみると福井氏の作品はそもそもファーストガンダムの影響がベースにあるといっていいのかもしれないと思いました。
福井氏は1968年生まれ。
まさに僕と同じ年で、ファーストガンダムの影響を受けたのは間違いありません。
福井氏がインタビュー等でファーストガンダムの話をしていたのを読んだこともあります。
福井氏の作品には似たようなタイプのキャラクターが登場し、彼らはファーストガンダムのキャラクターの面影を感じさせます。
例えば・・・。
○理想を追い求め、けれども現実の壁にぶつかり、それを強硬手段を持ってしてでも破壊し理想を現実にしようとする青年。
 福井氏作品では「終戦のローレライ」では浅倉大佐、「亡国のイージス」ではホ・ヨンファがこれにあたります。
 これはガンダムのキャラクターではシャアの面影を感じさせる人物になります。
 「月に繭 地には果実」ではグエンに相当するのでしょう。
○通常の人間の力を越えた能力を持ち、それを体制に利用されるが、そのくびきから逃れようとする若者。
彼らは理想ではなく、身近な愛する人を助けたいという気持ちで戦います。
 「終戦のローレライ」ではパウラ(と折笠)、「亡国のイージス」では如月行でしょう。
 ガンダムでは言うまでもなく、アムロですね。
 そして「月に繭 地には果実」では主人公ロランにあたります。
(脱線ですが、「終戦のローレライ」の「ローレライシステム」は、ガンダムのサイコミュに似ていますね)
他にもファーストガンダム、福井氏の作品、そして「∀ガンダム」には共通する要素をもったキャラクターが多いような気がします。
なので先に書いた「∀ガンダム」のノベライズであるにもかかわらず「月に繭 地には果実」が福井氏らしい個性があるというのは当たり前といえば当たり前なのです。
そもそも福井氏の作品のDNAにはガンダムが流れているのですから。

福井晴敏さんは現在ファーストガンダムに続く作品を執筆中だそうですね。
同じ世代としては福井氏がどのように宇宙世紀に決着をつけるのか楽しみです。

「月に繭 地には果実<上>」福井晴敏著 幻冬舍 文庫 ISBN4-344-40152-2
「月に繭 地には果実<中>」福井晴敏著 幻冬舍 文庫 ISBN4-344-40153-0
「月に繭 地には果実<下>」福井晴敏著 幻冬舍 文庫 ISBN4-344-40154-9

福井晴敏氏原作映画「ローレライ」の記事はこちら→
福井晴敏氏原作映画「亡国のイージス」の記事はこちら→

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