「茶々 天涯の貴妃」 NHK大河ドラマの総集編みたい
皆様あけましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします。
今年最初の映画の日、元旦ということで2008年初観賞は純和風で攻めてみようと「茶々 天涯の貴妃」を観てきました。
時代劇は親が好きで、子供の頃からTV時代劇をいっしょに観ていたこともあり、嫌いじゃない。
さすがにテレビは観ないですが、映画となると観に行ってしまいます。
主演の和央ようかさんは宝塚の男役のトップだったとか。
宝塚はまったく知らない(日比谷に映画を観に行くとたくさんのファンの方がいらっしゃるなーと思うくらい)のですが、男役と言ってもきれいですよね(当たり前か)。
和央さんは本作では主人公淀君を演じていますが、声の出し方が男役っぽい感じがしました。
あの武者姿はやはり宝塚のファンの方向けでしょうか、凛としてカッコ良かったですけれど。
物語は叔父織田信長に茶々の父親、浅井長政が滅ぼされるところから始まります。
茶々ら浅井三姉妹は母親お市の方(信長の妹)とともに織田家に戻り、そしてやがて茶々は信長の後に天下人となった豊臣秀吉に見初められ、側室となり淀と呼ばれるようになります。
そして秀吉の子を産み、女性として最高の栄華を極めますが、秀吉の死後征夷大将軍となった徳川家康により大阪の冬の陣・夏の陣によって大阪城は落され淀も城と命運を共にします。
幾多の歴史物、時代劇で繰り返し描かれている話なので、新鮮さはあまりない。
男が主人公で描かれることが多い戦国時代を女の視点から描くというのも、大河ドラマでもよくありました(「女太閤記」とか「功名が辻」とか)。
2時間強で戦国時代の女の一生を描くので話の展開が早く、どうもNHKの大河ドラマの総集編を観ている感じがしてしまいます。
また女性中心の描き方なので、時代劇といえども合戦シーンなどは少なめでスペクタクル感が多いわけではありません(昨年の大河ドラマの「風林火山」の方がよほど迫力あり)。
見所といえば和央さんをはじめ女優さんたちの着物姿となりますが、それだけな感じもあり。
やや和央さんの宝塚退団後の初主演映画というお披露目的要素が大きい(要はプロモ的)感じがしました。
戦国時代の女性の位置づけというのはやはり現代とは違うのだろうと思います。
女性の人権などが日本で定着したのは、ようやく戦後になってからで、まだ100年も経っていません。
そもそも戦国時代は男であっても個人などというものはそれほどの価値はなかったのだといえるでしょう。
「個人」よりも優先したのは「家」。
戦乱の世、個人が個人の力で生き抜くのは不可能な時代、自己防衛をするためにも命を守るための集団の最小単位は「家」だったのでしょう。
ただその「家」という単位も極めて脆弱なため、「個人」よりも「家」が優先する場合がある。
その犠牲になることが多かったのが、弱者であった女性なのでしょう。
現代でしたら命を守るための防衛最小単位は「国家」となり、小規模な「国家」であっても軍事力や経済力は「個人」や「家」よりも桁違いであるため(侵略をしたらそれ相応のペナルティがあるということもあるが)、よほどのことがない限り「国家」が侵されることはない。
だから「個人」というものも「個人」として尊重されることができるわけです。
劇中、秀吉が戦争をなくすために天下を統一すると言うところがありますが、ここに戦争をなくすために戦争をするという矛盾があるように感じる方もいるかと思います。
けれども強力な統一「国家」を作れなければアナーキーな状態がずっと続くわけであり、その状態では「個人」が平和に暮らすことはできない。
自己矛盾をはらみながらも、あの時代にああいう考え方を持った秀吉、そして家康は大局的なものの見方ができた人物ではあったのでしょう。
最後に子供時代の茶々を演じていた子役の女の子、和央さんにそっくりでしたね。
妹さんかと思うくらい。
よくぞ似た面影の子をキャスティングしましたね。
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監督は橋本一。
渡部篤郎の表情豊かな秀吉。
対称的にクールな表情の和央ようか。
勝ち気そうな眼差し、
宝塚の男役だっただけあって颯爽とした風情。
中村獅童、寺島しのぶの存在感。
戦国の世、時代に翻弄された女達、
あまり深く掘り下げるのではなく
歴史にはあまり則さないで
きれい事に描かれているようでした。
やっぱり和央ようかが主人公だけあって
宝塚のお芝居を見ているようでした。
茶々の子役、
和央ようかにそっくりで
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コメント
コブタさん、こんばんは!
今年もよろしくお願いします。
そうですねー、映画を観ているというより舞台を観ている感じがしました。
宝塚で男役をやっていた方は最初は仕方がないかもしれませんね。
凛とした感じありましたし、映画に慣れてくると存在感のある女優さんになるかもしれません。
投稿: はらやん(管理人) | 2008年1月11日 (金) 22時43分
あけましておめでとうございます!
昨年はお世話になりました!
今年も宜しくお願いします!
私はコチラは年末最後の映画にしてしまいました!
和央ようかさん、宝塚しゃべりが凄かったですね~(^^;
そこにちょっと違和感を感じてしまいました。
でも、、和央ようかさんのオーラの凄さは堪能できましたね(^^)
投稿: コブタです! | 2008年1月 6日 (日) 12時46分
たいむさん、こんばんは!
焦点を絞った方がよかったかなというのは、僕も同意見です。
あの時代は何度も題材になっているので、独自の視点を欲しかったですね。
それにしても子役の茶々似てました。
僕もご本人かと思いそうになりました。
投稿: はらやん(管理人) | 2008年1月 5日 (土) 00時33分
はらやんさん、こんにちは。
子役の茶々。ソックリでしたね。最初はご本人が??なんて思ってしまいました。
私も戦国時代のお話って無条件で好きです。でも、今回のはちょっと好みじゃなかったかな?
もう少し焦点を絞っても良かったのでは?なんて思いました。
投稿: たいむ | 2008年1月 4日 (金) 16時53分
ケントさん、こんばんは。
キャスティングはやはり年齢が逆転してしまって見えるところでしょうか。
大河ドラマだとよくあるんですけれどね。
城の特撮部分は、エンドロールを観てみると東映の特撮をやっているスタッフと、東映アニメーションのCG部門が関わっていたようなので、さすが迫力ある出来でした。
投稿: はらやん(管理人) | 2008年1月 3日 (木) 22時27分
はらやんさんTBありがとう
大河ドラマの総集編というのは、皆さん同じように感じていますね。
あと役者が異色なのは、良いのですが、ミスキャストも多かったですよね。
ただCGだけは迫力あると思いました。
投稿: ケント | 2008年1月 3日 (木) 21時32分
kossyさん、こんばんは!
今年もよろしくお願いします。
昨年は「大奥」があって今年は「茶々」、やはり時代劇は東映にもドル箱なんでしょうね。
戦国時代の話は今までも結構観てきていたので、やや新鮮味には欠けましたが・・・。
投稿: はらやん(管理人) | 2008年1月 3日 (木) 19時33分
あけましておめでとうございます。
正月は時代劇が似合いますよね。
といっても日本史は苦手なので、
結構新鮮に感じました。
今年もよろしくお願いいたします!
投稿: kossy | 2008年1月 3日 (木) 19時03分