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2007年12月27日 (木)

本 「シナン」

イスラムの偉大な建築家シナンを主人公にした夢枕獏氏の小説です。
イスラム建築は疎いので知りませんでしたが、シナンとはインスタンブールにあるスレイマニエ・モスク等の建物を作った建築家だそうです。
ヨーロッパの教会などのキリスト教建築は時代を経るに従い、より高くより高くと建築が巨大になっていきました。
これはキリスト教の神が天にいるとされ、そこに少しでも近づきたいという欲求の現れだと言われています。
夢枕獏氏はこの作品のなかで、イタリアのサン・マルコ寺院を訪れたシナンの口からこう言わせています。
「神に比べて人間が過剰だ」
神への過剰な祈り、それを表す過剰な装飾が、神の声を聞こえなくする。
なるほどこれは慧眼だなと思いました。
もともとキリスト教もイスラム教も根は同じくユダヤ教から発しています。
ユダヤ教ではもともと偶像崇拝を禁じているため、その流れを汲むキリスト教ももともとは偶像崇拝をしていませんでした。
けれどもいつしか神を描くことそれを崇拝することが行われるようになりました。
それが天を目指す建築、神を讃える装飾にも表れているのでしょう。

対してイスラム教は今でも偶像崇拝を厳しく禁じています。
イスラムの宗教建築物といえばモスクですが、この建物には塔もありますが特徴的なのはやはりドームでしょう。
夢枕獏氏の見解ではイスラム教徒は神を人の似姿などといった具体的なものではなく、球と光であるととらえているのではないかと書いています。
神を完全なものととらえ、それを形であらわそうとすると球というのは完全な形であるためとてもふさわしい。
その球(ドーム)の中に光り満ち静謐な空間を作る、そうすれば神の声が聞けるとイスラムの建築家たちは考えたのでしょうね。
キリスト教建築とイスラム教建築を、それぞれの神の見方から観てみるとおもしろいかもしれません。
この小説読んで、一度モスクというものを訪れてみたいと思いました。

「シナン<上>」夢枕著 中央公論新社 ハードカバー ISBN4-12-003575-1
「シナン<下>」夢枕著 中央公論新社 ハードカバー ISBN4-12-003579-4

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