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2007年12月30日 (日)

本 「イリーガル・エイリアン」

著者のロバート・L・ソウヤーは好きなSF作家の一人。
毎回ユニークなプロットで楽しませてくれる作家ですのでお気に入りです。
そのソウヤー、本作では宇宙人とのファースト・コンタクトと、法廷ミステリーを組み合わせた作品に仕上げています。

地球を訪れた宇宙人、トソク人。
彼らは宇宙探検で太陽系を訪れましたが、事故により宇宙船が故障し、故郷の星に帰れなくなってしまいます。
彼らは地球人に助けを求め、そして幸運なことに平和にファースト・コンタクトがなされる。
トソク人は修理が行われている間、地球に滞在するが、その宿泊先においてあろうことか地球人が殺害されてしまう。
容疑者とされ逮捕されたのはトソク人の一人。
そしてトソク人が有罪か無罪かさばかれる裁判が開かれます。

前にも書きましたが、ミステリーというのはある前提条件があり、それらを踏まえ論理的な筋道で説明し、すべてがピースがはまるようにピタリと収まるところに読む快感があります。
その前提条件は作品の中で説明されることもあれば、人間であるが故に当たり前である条件もあります。
けれども本作では容疑者が宇宙人であるため、そういった常識的な条件は通用しない。
相手がどのように考えるか、その心理さえわからないのだ。
裁判が進むにつれ、明らかになっていく宇宙人の生態、心理がおもしろい。
そして宇宙人が地球を訪れた真の目的も事件に関係していることが明らかになります。

ミステリー好きにもSF好きにもお薦めの作品です。

ロバート・J・ソウヤー作品「ターミナル・エクスペリメント」の記事はこちら→
ロバート・J・ソウヤー作品「占星師アフサンの遠見鏡」の記事はこちら→
ロバート・J・ソウヤー作品「さよならダイノサウルス」の記事はこちら→
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「イリーガル・エイリアン」ロバート・J・ソウヤー著 早川書房 文庫 ISBN4-15-011418-8

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