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2007年12月30日 (日)

「ガリレオ」 冷徹な論理と、ふと見える人間らしさ

今年の秋のクールのドラマは、3本ほど最終回まで追いかけたものがありました。
いつもは大概、途中でおもしろくなくてやめてしまうので、これはけっこう自分としては珍しい。
その3本の内で最も楽しみにして毎回観ていたのが、「ガリレオ」。
原作は東野圭吾さんの小説「探偵ガリレオ」「予知夢」ですが、東野さんの作品は読んだことがないので、まったく予備知識なしでした。
予備知識ないので、まったく期待も何もしていなかったのですが、初回を観てすっかりはまってしまいました。

「ガリレオ」というのは福山雅治さんが演じる帝都大学の教授湯川学のあだ名。
彼は広範で深い物理学の知識を持つ学者であり極めて論理的なものの考え方をする人物。
それゆえに人の曖昧な感情などは余計なものと思っている節があり、それで変人=研究バカで「ガリレオ」と呼ばれているわけです。

ミステリーというのは論理的な証拠の積み重ねと動機の確認により謎を解くというものですが、中でも極めて論理的な物理の法則から事件が実行可能であったかどうかということを証明して謎を解くというのが、当たり前のようですが、今まであまりなくてとても新鮮でした。
科学者らしい極めて冷徹な論理的アプローチなのですが、人間に対して不器用なため堅物に見える湯川の人間に対する洞察とやさしさみたいなものが、ふと見えたりするのがいい匙加減。
いったん謎を解く鍵がそろったときにひらめきが起こり、周囲に関係なく数式を書き散らし答えを導きだす湯川には熱いものがあるということも感じます(このとき流れるテーマソングがカッコいい)。
いつもは無愛想で取っ付きにくい人なのに、時折垣間見えるとても人間らしいところが湯川というキャラクターの魅力なのでしょうね。
相棒の内海刑事(柴咲コウさん)でなくても、女性はキュンとくるでしょうなあ。

<ネタバレあり>
はまってしまった初回のレーザーをトリックに使う話はなかなかでした。
物理的な仕掛けもさることながら、犯人像がとてもユニーク。
レーザーによる殺人を失敗しながらも何度も何度も何度も何度も試した偏執狂的な犯人。
殺人は一回でも成功すれば成立する。
そのために何十回でもトライアルをする。
これはミステリーとしてもけっこう盲点でありました。
真実が得られるまで、さまざまなパラメータをいじりながら実験を試みる湯川が陽とすれば、陰になる犯人。
その対比がおもしろい。
二人とも偏執狂的なものがあるにせよ、陰陽を分けたのは、人間を人間として見ているかどうかというその点だけだったのでしょう。
毎回の犯人も大物をゲストで登場させていますが、印象的だったのは最終回二部作の久米宏さん。
あまりに意表をつくキャスティングだったのですが、湯川の恩師で湯川以上に論理を尊ぶ役にぴったしカンカン(古いなあ)でありました。

「ガリレオ」湯川学というキャラクターを福山雅治さんが好演。
とつとつと講義をするように、いつも事件を持ち込んでくる内海刑事を論理的に言い負かすのですが、一歩間違えば嫌みになるところをさわやかな福山雅治さんが救っていて、いいバランスのキャラクターに仕上がっていました。
福山さんって女性誌のランキングでいつも上位に上がっていますが、改めてカッコいいもんなー、女性に人気でるわけだよなあと妙に納得してしまいました。

けっこう視聴率も良かったようですので、またシリーズあるかもしれませんね。
楽しみに待っていたいと思います。

映画化作品「容疑者Xの献身」の記事はこちら→
原作小説「探偵ガリレオ」の記事はこちら→

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