「ラブデス」 欲望ギラギラ
ギラギラ、欲望ギラギラ。
出てくる出てくる登場人物がみな、自分の欲望まる出しでギラギラしている。
自分の欲望を叶えるために他人がどうなろうがおかまいなし。
女のため、金のため、地位のため・・・。
ただ殺したいだけという欲望のために動く輩も。
それぞれが自分の欲望のために動く。
それらの欲望がたがいにぶつかり合い、その衝突は次第にエスカレートしていく。
まさに狂騒。
ここまで皆が自分の欲望に忠実だと、観ていて心地よくなってくるから不思議。
北村龍平監督らしく、きつい映像やブラックなジョークなどもふんだんに入っていたけれど、それらはさほど嫌じゃない。
かえって観終わった後、スッキリしたという印象が残ります。
観ていて、普段知らず知らずのうちに抑圧している欲望が発散されたのかも。
生活していると望みや欲などを、他人(自分以外の人)や組織・社会との間で無意識に調整してしまうもの。
ある意味、この映画の登場人物たちは素直に正直に生きている人間たちなのかもしれない。
思うがままに生きている。
思うがままに生きて、運が悪けりゃそれでオシマイ。
潔いといえば潔い。
だから観ていて爽快感が残る。
欲望に忠実に生きるなんて、気弱な凡人にはそうしたくてもできないことですから。
濃いキャラが多いこの映画でしたが、やはりクロガネはなかでも最も濃い感じがしました。
2時間ドラマの帝王、船越栄一郎さんがとんがったキャラを嬉々と演じていました。
観ている人が感情移入しやすいのは大友康平さん演じるジュウモンジでしょうか。
勝手きわまりない他のキャラクターたちに振り回されたあげく、結局死んでいく。
最後の「なんで俺がこんな目に」というのはなかなか悲哀がありながら、なんだかおかしい。
北村龍平監督はこんな風に自由に撮らせると、ほんとにスタイリッシュでスピーディでカッコいいですね。
タランティーノのような、なんだかとってもアメリカンな印象を受けました。
最後の富士の裾野(たぶん)のシーンなどは、かなりライトをあてて堅い印象の画面の仕上がり。
それぞれの欲望のギラギラした感じがよく出ていたと思います。
日本の監督では珍しく自分のスタイルがある人のなのでしょうね。
「ゴジラ」とは違い、本作はとても伸び伸びと作っている感じが伝わってきます。
本作は北村監督の撮りたい映像の欲望がギラギラと出ているのかもしれません。
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コメント
睦月さん、こんばんは!
この作品、劇場で観たかったんですけれど渋谷で単館だったので、行きそびれてしまいました。
北村監督がなんにも遠慮せずにやりたいことやった感じがしますよね。
けっこう長い時間なのにまったく飽きなかったです。
なかなかやりたいことをやるってのは普段はなかなかできないですよね。
なのでこの映画の登場人物たちはなんだか爽快に見えます。
>案外・・・小心者なんですよ
睦月さんは、思い切りいい感じもありますが、けっこう内気なところあるように見えますよ(笑)。
投稿: はらやん(管理人) | 2007年12月25日 (火) 21時39分
はらやんさん、こんばんわ。
ご無沙汰しておってすみません。
いただいていたコメントにお返事できてないものも
あります・・・お許しを(涙)。
こちらの作品、TBさせていただきました。
私、北村監督の作品って好きなんです。
『あずみ』とかみたいな大手配給会社で製作された
作品ではなく、限りなくインディーズに近い感覚で
作られた本作のような作品が好き。『ヴァーサス』も
相当に面白かった。
≫欲望に忠実に生きるなんて、気弱な凡人にはそうし
たくてもできないことですから。
なんだかこの一文、凄く印象に残ります。
はためから見れば、私もギラギラ欲望の赴くままに
見えるかもしれないけれど、案外・・・小心者なんで
すよ(苦笑)。
こんなにバタバタ人が死んでいく映画なのに、
妙な爽快感と笑いがテンコ盛りで、不謹慎にも最高に
楽しんでしまった1作です。こういう作品、私、大好き♪
投稿: 睦月 | 2007年12月25日 (火) 00時55分