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2007年12月30日 (日)

本 「陰陽師 -安倍晴明と蘆屋道満-」

陰陽師という言葉もとてもポピュラーになりました。
僕が始めて陰陽師という言葉を知ったのは、十数年前荒俣宏さんの「帝都物語」を読んだときですね。
映画化もされました。
悪の主人公加藤保憲は陰陽の術を身につけた男、対するのは平安の時より日本を守護してきた陰陽師の名家土御門家。
加藤保憲は術をかけるとき甲に五芒星の文様の入った手袋を放ちます。
この五芒星は西洋ではダビデの星、日本では古来よりドーマンセーマンと呼ばれている文様です。
ここででてくるドーマンセーマンの語源となるのが、蘆屋道満、安倍晴明、いづれも平安時代にいたと言われる陰陽師です。
安倍晴明は知っている方も多いのはないのでしょうか。
夢枕獏さんの小説「陰陽師」、こちらも映画化しましたが、こちらの物語では主人公となっていました。
小説や映画の主人公ですが、安倍晴明は実在の人物です。
ただしこれらの作品で描かれているような魔術師のような人物では無論ありません。
そもそも陰陽師というのは魔術使いではありません。
もともと平安時代では陰陽師というのは、さまざまな出来事から吉凶を読み取るという仕事をしていた人々です。
占い師と言ってもよいかもしれませんが、暦や天体の動きから占いを行っていたため相当の専門知識が必要な仕事であったようです。
安倍晴明は陰陽師と言っても貴族でありまして、言わば公的な役職についた陰陽師と言えます。
さきほどあげた蘆屋道満はモデルはあるようですが、江戸時代に安倍晴明物語で晴明の敵役となった蘆屋道満としては実在していなかったようです。
モデルになったのは円能という名の陰陽師で、彼は僧形をしており言わば民間の陰陽師だったようです。
円能は時の権力者、藤原道長を呪詛した疑いをかけられています。
これが変成して、安倍晴明の敵役となっていたと考えられるということです。
安倍晴明の師匠の陰陽師で賀茂保憲という人物がいます。
平安の当時は安倍晴明よりも格が上だった陰陽師だということです。
「帝都物語」の加藤保憲の名前はここからきているのでしょうね。

「陰陽師 -安倍晴明と蘆屋道満-」繁田信一著 中央公論新社 新書 ISBN4-12-101844-3

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