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2007年12月24日 (月)

「ゴジラ FINAL WARS」 思い切った監督起用が功を奏す

「ゴジラ」の最終作と銘打ち製作されたのが本作。
公開時に、この作品を北村龍平監督が撮ると聞いて、驚いた覚えがあります。
どちらかというと最近流行のCGなどと違う、操演などでの伝統芸能のような特撮作品「ゴジラ」と、どちらかというとクセがあり、スタイリッシュな印象の北村監督のテイストが果たして合うのかなと思いました。
蓋を開けてみると、北村監督の思い切った起用は「ゴジラ」という作品においては正解だったような気がします。

「ゴジラ」という作品は世界的にも名前が轟いていて、そのためディープなファンも多いですよね、
また作品のターゲットはもともとのコアなファンであったり、怪獣大好きな子供であったりと幅も広く、絞りにくい。
特撮ファンを狙うと一般的な観客からはひかれてしまうし、かといって新しい路線を狙おうとすると昔からのファンは「こんなのゴジラじゃない」と言う。
歴史が長い分、背負い込むものも大きい作品なんですよね。
そのためか平成に入ってからの「ゴジラ」は万人向けを狙っているようで、さらに誰にもクリーンヒットしていないというピントがぼけたものになっていたように思えます。
少なくとも僕はあまり楽しめなかった(結局いつも観に行くのですが、がっかりして帰ってくることの繰り返し)。
「ガメラ」平成三部作の明確さに比べると、最近の「ゴジラ」はどうも狙いがはっきりしない。
(「ガメラ」は「ゴジラ」に比べ知名度も低かったので、財産らしきものは全くなく思い切りできたという利点はあったかと思います)。

さて本作「ゴジラ FINAL WARS」はこの作品で打ち止めという覚悟が製作サイドにあったからか、思い切った監督起用で、ラストにふさわしく華々しく華火を打ち上げていたように思えました。
惜しげもなく見せてくれる怪獣総進撃はやはりお祭り騒ぎのようで、子供の頃からの怪獣好きとしてはやはり嬉しい限り。
今の子供たちから観てもたくさん怪獣がでてくるだけで楽しいんじゃないかな。
怪獣をたくさん出すというところで、脚本も大味なところがあり、突っ込みどころも満載ですけれど、勢いで見せてしまっている感じはそれはそれでここちいい。
もともと「ゴジラ」なんて荒唐無稽ですし。
いままではのっしのっしと歩いているゴジラが走ったりジャンプしたりする映像は最初はびっくりしましたが、意外にも空中戦も交えたスピーディな怪獣バトルは新鮮。
このあたりのスピード感あるアクションは北村監督ならではの個性がでていたと思います。
怪獣アクションの中にも、笑いっぽいところ(ゴジラがゴールキーパーみたいに横っ飛びするところなど)があるのも北村監督らしい。
そういえば、北村監督作品の中で、一回転しながら振り向きざま銃を撃つというケレン味のあうシーンがよくありますが、本作でもゴジラは振り返りながら放射能光線を吐いていましたね。
人間のキャラクターはいわゆるステレオタイプな人が多かったですが、X星人役の北村一輝だけはぶっとんだキャラで気を吐いていました。
このキャラクターだけ北村龍平テイスト。
他の作品に比べると、北村監督色は薄い気はしますが、「ゴジラ」というシリーズにおいては、このくらいでも十分に新鮮に感じます。
思い切った監督起用が、作品に新しい力を与えたような気がします。

記念すべき第一作「ゴジラ(1954年)」の記事はこちら→

北村龍平監督作品「ラブデス」の記事はこちら→

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