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2007年12月30日 (日)

本 「BMW物語」

デザインや商品開発に関わっていると、やはり企業や商品のブランド力とは何かと考えることが多い。
その中でいくつかやはりモデルにしたくなるような企業はあるが、BMWという会社もその一つ。
BMWで使われている広告コピーを思い浮かべると何が思いつくでしょうか。
「駆けぬける歓び」
というキャッチはどこかで聞いたことがあるかと思います。
BMWは長いことこのコピーを使っていますが、それはここに企業の理念、スタンスが込められているから。
その理念がぶれないということがBMWというブランドを他の自動車メーカーとは異なる位置づけにしているのです。
企業の規模で言ったら、トヨタやGM、またはメルセデスなどの方が大きい。
けれどもBMWはそれらとは異なるポジショニングを確立している。
トヨタ、GMはフルラインナップ戦略をとっているが故に、企業としてのブランドイメージは拡散してしまう(それをトヨタはレクサスブランドを投入することにより、解決しようとしている。日本ではうまくいっていないが)。
BMWは一貫して、走ることが好きな人へ究極のドライビングマシンを提供することを考えている。
だからBMWにはファミリー向けのバンなどはラインナップされていないのだ。
メルセデスがAクラスを出したことにより、イメージが拡散したことと好対照である。
けれどもそのBMWも危機的な状況はあった。
イギリスのローバーを買収したときである。
ローバー自体には、BMWが要求する品質を提供する力はなかったし、ブランド力としても期待しているほどのものは持ち合わせていなかった。
けれどもその危機的状況もローバーブランドは売却し、ミニだけを保有することで乗り切った。
結果的には新ミニ・クーパーという新しい自動車を生み出すことになる。
このミニ・クーパーにも「駆けぬける歓び」という理念は貫かれているのだ。

基本的なことだが、ブランド力というのは、自社のあるべき他社とは違うユニークなポジションを決めること、そして決めたことを貫き通すことが大事である。
BMWの歴史を描いたこの本を読むと、そのことを改めて再確認できる。

「BMW物語」デイビッド・キーリー著 アスペクト ハードカバー ISBN4-7572-1096-5

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