「ナンバー23」 数字の神秘
「23」という数字に支配されているという妄想にとりつかれた男が主人公の物語。
古来から東西を問わず、数字というものに神秘的な意味があるという考え方があります。
西洋占星術へとつながる数秘術などや、名前の画数などに意味があるという考え方もそうかもしれません。
普段からなじみのあるラッキーナンバー7や、四は縁起の悪い数字などというのもそういう考え方の一つなのでしょう。
そもそもは聖書などの古典に書かれている物語が由来となっていたり、語感(四=死)などからきていたりするでしょうから、数字自体が神秘的な意味を持っているわけではないと思いますが、人間というのは不思議なものでそこに意味を見いだしたくなってしまうものなのかもしれません。
考えるに、数字というものは人間が自分の周囲の環境をとらえる尺度となるものです。
距離だったり、重さだったり、空間の広さだったり、そして時間の長ささえも。
数字があるから違うものを比較することができ、それにより人間は環境を正確に認識することができる。
数字を「発明」したからこそ人間は環境に影響を与えることができるようになったと言えるかもしれません。
そして人間が人間たる理由としての一つは時間を認識できるということ。
空間を動物は認識できても、概念上とはいえ時の流れ、距離を認識できるのは人間のみ。
1日前と今日とⅠ日後が違うと認識できるのは人間だけです。
そして人間は明日<未来>というものがわかるようになったからこそ、明日<未来>に対して不安を持つようになる。
なるべくいい未来を迎えたいと思うのは当然なわけで、そこでなるべく人間は未来を予測したくなる。
もしくはいまの行動がよい未来につながっているはずだと信じたくなる。
そこで「縁起」という考え方が発生するのではないかと思います。
ラッキーナンバーや縁起の悪い数字などというのは、そもそも科学的な根拠などあるはずもないけれども、それを信じることにより、真っ暗闇を全力疾走するような不安は薄まり、うすぼんやりとした暗さの中をすこしばかり安らかに「明日」というものを人間はむかえられるようになる。
現代人で「縁起」というものが未来予測につながることを信じている人はほとんどいないと思うが多少なりとも気にするのは、そうすることにより少しは未来を無防備で迎えることの不安が減るからだと思います。
その不安が過剰になればなるほど未来の確からしさを求めるようになって、そこに必然とか運命というものを見いだしたくなり、本来は機能的な役割しかもたない数字にそれ以上のものを期待するのが数秘術などの考え方なのでしょう。
本作の主人公ウォルターは過去の記憶がないという意味で、未来に対しての不安は普通の人よりも深いものだと思われます。
自分自身が覚えていない過去のことが、いつ自分の未来に影響をあたえてしまうかもしれないという漠然とした不安を抱えている。
だからこそ本人にとって意味があるように思われる23という数字が自分の運命を決定する(不幸な未来であっても不確かよりは受け入れやすいのかもしれない)ということを信じてしまったのかもしれません。
この物語をみるとちょっとみんな怖く感じるのは、少なからずそういうこだわる部分というか、過度になると偏執狂的なところが、自分の中にもちょっとはあると感じるからだろうと思う。
未来に対して不安な気持ちというのはみんな持っているわけで、そこには数字ではないかもしれないがなにかしらの自分なりのこだわりの「縁起物」がないと生きていけないからかもしれません。
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{/round_o/}ジュリアス・シーザー暗殺時の刺し傷23ヶ所
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{/round_o/}ラテン語の構成文字数23
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{... [続きを読む]
受信: 2007年12月 9日 (日) 21時04分
» ナンバー23 [まぁず、なにやってんだか]
妄想というのはなかなか楽しいもので、友人と妄想話で盛り上がるときは爆笑しちゃうのですが、こういった被害妄想はつらそうです。
物語の最初にネッドという犬に噛まれるシーンがあり、私の頭の中では「狂犬病では?狂犬病では・・・?狂犬病は大丈夫なのぅ?」と心配がうずまいてしまいました。物語が進むにつれて、「まさかオチは狂犬病では?・・・それとも犬の呪い?」と(狂犬病がどういう症状なのか知らないけど)なおさら思いました。
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受信: 2007年12月 9日 (日) 23時16分
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受信: 2007年12月 9日 (日) 23時45分
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『ナンバー23』
それは一冊の本からはじまった。
天地創造――紀元前4004年10月23日
ジュリアス・シーザー暗殺時の刺し傷23ヶ所
テンプル騎士団に存在した23人の早朝
ラテン語の構成文字数23
人間の性を決定付ける、第23番目遺伝子
... [続きを読む]
受信: 2007年12月10日 (月) 05時19分
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(原題:THE NUMBER 23)
【2007年・アメリカ】試写会で鑑賞(★★★☆☆)
"23"という数字の謎に取り憑かれてしまった男の数奇な運命を描いたサスペンス・ミステリ−。
動物管理局に勤めるウォルター・スパロウ(ジム・キャリー)は、自分の誕生日に古本屋で妻のアガサ(ヴァージニア・マドセン)と待ち合わせをする。そこで、アガサから『ナンバー23』という自費出版された殺人ミステリー小説をプレゼントされる。最初は殺人ミステリーなど興味がなかったウォルターだったが、その小説には自分とそっくりの生... [続きを読む]
受信: 2007年12月10日 (月) 12時49分
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【THE NUMBER 23】R-152007/11/23年公開(11/23鑑賞)製作国:アメリカ監督:ジョエル・シューマカー出演:ジム・キャリー、ヴァージニア・マドセン、ローガン・ラーマン、ダニー・ヒューストン、リン・コリンズ、ローナ・ミトラ
この世はすべて“23”に支配されている。と....... [続きを読む]
受信: 2007年12月10日 (月) 12時56分
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『それは一冊の本からはじまった』
コチラの「ナンバー23」は、ジム・キャリーが数字に執着する男をシリアスに熱演するR-15指定のスリラーで、奇しくもって言うかきっと狙ってでしょうけど、11/23に公開となったのですが、早速観て来ちゃいましたぁ〜♪
本国アメリ...... [続きを読む]
受信: 2007年12月10日 (月) 21時06分
» 「ナンバー23」 [てんびんthe LIFE]
「ナンバー23」ユナイテッドシネマ豊洲 SC5で鑑賞
久しぶりのジム・キャリー。
今回は本格ミステリーということでしたがなかなかみるチャンスがなく、映画の日の今日となりました。
本当は映画の日だから「椿三十郎」と思っていたけど諸事情により時間が合わずこちらの作品となりました。
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この本さえなければ普通の生活が営まれていたわけですもの。
たまたま時間に少し遅れた偶然というけど、ま、偶然とい... [続きを読む]
受信: 2007年12月11日 (火) 22時30分
» 「ナンバー23」 [It's a wonderful cinema]
2007年/アメリカ
監督/ジョエル・シューマカー
出演/ジム・キャリー
ヴァージニア・マドセン
動物管理局で働くウォルターは、誕生日に「ナンバー23」という本を妻からプレゼントされる。書いてある内容が自分の体験と一致することから、これは自分のための本だと思うようになるウォルター。しかし「23」の恐怖が彼を追い詰めていく、というストーリー。
うぉぉぉ~またこのオチかぁ~~~!!!
ジム・キャリーのシリアスものって「マジェスティック」とか「エターナル・サン... [続きを読む]
受信: 2007年12月12日 (水) 01時29分
» ナンバー23 The Number 23 [いい加減社長の日記]
23日、新宿で食事会のあと、大江戸線でそのまま豊島園に。
0:30からのスーパーレイトショーで「ナンバー23
」を鑑賞。
ほんとは、「23」日のうちに観たかったんですが、日を超えてしまいました^^;
「UCとしまえん
」は、さすがにこの時間になると、人は少ない... [続きを読む]
受信: 2007年12月12日 (水) 06時59分
» ナンバー23−(映画:2007年137本目)− [デコ親父はいつも減量中]
監督:ジョエル・シューマッカー
出演:ジム・キャリー、ヴァージニア・マドセン、ローガン・ラーマン、ダニー・ヒューストン、ローナ・ミトラ、リン・コリンズ
評価:80点
公式サイト
(ネタバレあります)
結構素直に映画にのめりこんでいたからだろうか、あ....... [続きを読む]
受信: 2007年12月14日 (金) 22時48分
» 感想/ナンバー23(試写) [EDITOREAL]
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ナンバー23公式サイト
まあまあ楽しめるスリラーだったわ。「23エニグマ」って知らなかったんだけど、なかなか知的好奇心をくすぐるネタなのね。「黄金比」ほど神秘... [続きを読む]
受信: 2007年12月15日 (土) 10時24分
» 「ナンバー23」 [-☆ EL JARDIN SECRETO ☆-]
運命と選択という対比はキレイだけど、まとめ方として落ちていない。どう考えてもこじつけが甚だしい「23」をめぐるおはなし。足したり引いたり・・・って、ほとんど数字のパズルの世界。電車の切符に打ってある4桁の数字を四則演算で10にする遊びを思い出しました。そこ...... [続きを読む]
受信: 2007年12月15日 (土) 12時57分
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犬とは相性のいいはずのジム・キャリーが噛まれてしまった。 [続きを読む]
受信: 2007年12月15日 (土) 15時35分
» ナンバー23 (2007) THE NUMBER 23 99分 [極私的映画論+α]
23って・・・素数です(笑)そして・・・ [続きを読む]
受信: 2007年12月16日 (日) 11時31分
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316「ナンバー23」(アメリカ)
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... [続きを読む]
受信: 2007年12月16日 (日) 20時46分
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» ナンバー23 [caramelの映画日記]
【鑑賞】丸の内TOEI
【日本公開日】2007年11月23日
【製作年/製作国】2007/アメリカ
【監督】ジョエル・シューマカー
【出演】ジム・キャリー/ヴァージニア・マドセン/ローガン・ラーマン/ダニー・ヒューストン/リン・コリンズ/ローナ・ミトラ
【原題】“THE ...... [続きを読む]
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今週の平日休みはシネコンハシゴの2本立て。
こちらは「109シネマズ川崎」で見た2本目。
ジム・キャリーのシリアス映画なんて見たことあったっけ???
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» 映画『ナンバー23』を観て [KINTYRE’SDIARY]
98.ナンバー23■原題:TheNumber23■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:99分■日本語字幕:石田泰子■鑑賞日:12月1日、渋谷東急(渋谷)■公式HP:ここをクリックしてください□監督:ジョエル・シューマッカー□脚本:ファーンリー・フィリップス□製...... [続きを読む]
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» 【映画】ナンバー23 [★紅茶屋ロンド★]
<ナンバー23 を観ました>
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ジム・キャリー主演のサスペンス・ミステリー!気になりつつも、ずっと観るタイミングを逃してしまっていましたが、やっと鑑賞です。
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