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2007年9月16日 (日)

「オフサイド・ガールズ」 まだまだ排他的

イランでは女性はサッカースタジアムで観戦することができないらしい。
それは女性が聞くのがはばかられるような汚い言葉を観戦している男たちが吐くかららしいです。
そんなの、汚い言葉を言わなければいいじゃんと思うのだけど、そうはならないのがイランという国のようです。
イランの現政権はイスラム教シーア派の原理主義、そのあたりの規制は厳しいのでしょうか。

そんな規制が厳しい中、どうしてもサッカーがスタジアムで観たい、母国を応援したいという女の子たちが、あの手この手でスタジアムへ侵入するというような、そんな内容の予告だったと思います。
予告を観て「ベッカムに恋して」のように、女性への偏見にがんばって立ち向かう女の子の話かと勝手に思っていました。
イランでそんな映画できるのかー、是非観なきゃということで行ってきました。

が、しかし。
女の子たちは映画開始早々、警備の兵士に確保され、結局試合は見れず。
延々と柵に入れられ(ちょろちょろと抜け出す手を考えるものの)、兵士に見張られている場面を観せられる。
そのあたりの兵士とのやりとりはユーモラスではあるものの、素人っぽい緩さがあって笑いまでにはつながりません。
映画は実際にワールドカップの予選のスタジアムで撮っていたようですが、ほとんどその場面は映りません。
その試合はイランが勝ち、勝利に沸く街の様子をまた延々と観せられます。
最初に出てくる女の子が主役かと思いきや、途中はほとんど印象的な行動を見せないなど、キャラクター作りの浅さが目につきます。
登場人物に感情移入できないんですよね。
映画的な高揚みたいなものはほぼ感じられず、僕は劇場で映画を観ていてもほとんど寝ないのですが、この映画は途中完全に落ちてました・・・。

劇中、「日本人の女性は同じスタジアムで観戦しているのに、なんで私たちはだめなの?」と女の子が兵士に聞きます。
兵士は「彼女たちは言葉(汚い言葉の意味)がわからないからだ」と答えます。
そういう問題じゃないだろう。
そういう答えをするところにイランという国が、男性中心主義で、民族中心的で排他的な考えを持っているということが窺い知れます。
いつか女の子たちがスタジアムで大声で応援できるようになるといいのですが。

「ベッカムに恋して」の記事はこちら→

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コメント

シャーロットさん、こんにちは。

スタジアムにレディースディ、いいアイデアかも。
もしくは女性専用車両とか(笑)。
女性が主張し始めたという点では、イランもいい方向に向かっているのかな?

投稿: はらやん(管理人) | 2007年9月22日 (土) 05時46分

こんばんは★
まあ日本人女性はイランの人が投げる汚い言葉がわからない…という理由でスタジアムの中に入れるわけですよね。まあ屁理屈みたいですが;裏を返せば、自国民の女性に対する手厚い守りみたいなことなんでしょう…;女性には汚いものに触れて欲しくないみたいな。女性が強くなると必然的に汚れますし(笑)
抑制とはいえ、私はお互いへの配慮がとても感じられたんですよね。なんとかしてあげたいけど、やはり野蛮な男達からは守りたい、みたいな。
女性達も抑制されながらも、チームの勝利にあれだけ喜びをみせるなんて…スタジアム観戦もレディースディとかあればいいのにね。笑

投稿: シャーロット | 2007年9月17日 (月) 22時55分

風情♪さん、こんにちは!

作品としてはちょっとかったるいところがありましたが、宗教や規制が厳しい中、イランで女性たちが意見を言うようになってきているのがわかるのは良かったです。
こういう映画が日本で公開されるようになったのも良いことかも。

サッカーの試合はずいぶんとスタジアムでは観てないのですが、テレビの前でも、ブーイングとかエキサイトして叫んでしまいます。
目の前でプレーしているのを観ていたら尚のことですよね。

投稿: はらやん(管理人) | 2007年9月17日 (月) 16時37分

こんにちは♪

ダメでしたか~残念ですな。
ボク自身サッカー好きということもあって政治的な
ものよりイランにおけるサッカーの存在だけに目が
行きがちでしたが未だ宗教上の理由で不当な扱いを
受けているイスラム圏の女性も徐々にではあるけれ
ど確実に強くなってることと因習を打ち破るような
活発な女の子たちが活躍する作品を自国で公開こそ
されないものの撮ったということはなんか意味深い
作品になったんじゃないかなと思えました♪

ボクなんかもスタジアム行くと贔屓チームが不甲斐
ないプレーしてたり、ファールを受けたり不当なジ
ャッジを喰らったりしたときは、そらもうここでは
はばかられるようなこと大声で言ってます…。r(^^;)

投稿: 風情♪ | 2007年9月17日 (月) 14時25分

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