「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」 ダイジェスト版的印象が拭えない
公開時、劇場で観ましたけれど、「不死鳥の騎士団」を観る時はすっかり内容を忘れていました。
僕の印象では今までのシリーズの中で最も印象の薄い作品。
「賢者の石」「秘密の部屋」はクリス・コロンバスが原作になるべく忠実に再現しようとし。それを実現したことが印象深かった。
「アスカバンの囚人」はアルフォンソ・キュアロンがそれまでのシリーズのらしさを引き続きつつも、自分の個性を発揮したのがおもしろかった。
「不死鳥の騎士団」は以前記事でも書きましたが、長い原作を手堅くまとめあげたという感じを受けました。
キュアロン監督ほどの個性を感じないけれども、この作品もそれでも決して面白くないわけではない。
でも「炎のゴブレット」はそれらの作品と比べるとやや劣るように思えます。
原作がボリュームがあってまとめあげるのがたいへんというのは、このシリーズについては同じで今までの監督はどのように破綻なくまとめあげ、2時間半程度の映画としても面白いものを作るというのが悩みであったと思います。
「炎のゴブレット」はそれがうまくできなかったというように見えました。
まずエピソードのぶつ切り感、突然感が各所で見られるような感じがします。
原作のエピソードのうち、どれを活かしどれを切るかという判断が間違っているような印象が拭えない。
「炎のゴブレット」は3魔法学校の対決と、ヴォルデモートの復活がストーリーの主軸になります。
これを中心に固めればいいような気がするのだが、途中ダンスパーティの話にかなりの時間を割いていました。
少年が女の子を意識する年頃という意味では重要なエピソードであるということはその通りですが、魔法学校対決の話がいつの間にかどこかへいってしまい、突然また対抗戦第二回戦に話が戻るというのはやや乱暴な感じがしました。
この作品ではずっと今まで仲が良かったハリーとロンが喧嘩をしてしまいます。
「名前を言えないあの人」との戦いから唯一生き残った特別な子であるハリーには注目がどうしても周囲の集まります。
その上、売名行為のように対抗戦に立候補した(とロンは思った)ハリーに対して、ロンはなんだかおもしろくない気分になります。
そのため距離を置こうとするロンの態度が、ハリーにとってもおもしろくない。
けれども第二回戦でハリーの大切なものとしてロンが人質にとられてしまうということになり、ハリーは友情というもの大切さを再認識する。
このあたりの二人の気持ち(加えてハーマイオニーの気持ちも)は原作ではしっかりとしつこいくらいに書かれていますが、映画はかなりさらっと流されているように見えます。
原作のエピソードを追っていくだけで、あまりキャラクターの内面が描かれていないような気がするのですね。
このあたりが2時間半という長尺を使いながらも、なんだか説明不足で、もの足りないダイジェスト版的印象をもってしまった原因なのかもしれないです。
「ハリー・ポッターと謎のプリンス」の記事はこちら→
「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」の記事はこちら→
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