本 「鯨の王」
書評などを読まず、題名を見たときにおもしろそうとインスピレーションが沸いたりして、「タイトル買い」をしてしまう時があります。
この小説もその一つです。
「鯨の王」、なんだかワクワクします。
読んでみて、自分の鼻が良かったことを実感、おもしろかったです。
現代、最大級の大きさを誇るほ乳類、鯨。
この生き物に前から魅かれていました。
この作品の巻末でも紹介されている岩手の「鯨と海の博物館」に行ったこともありますし、高知県でホエール・ウォッチングを二回ほどしたことあります(しっかり鯨に出会えました)。
この小説に出てくる鯨は未知の新種ダイマッコウ(むろんフィクションですが)。
物語の発端は、マリアナ海溝で発見された巨大な鯨の骨。
そして何者かわからぬ敵に、音波攻撃を受け乗組員が死傷したアメリカ原潜。
このダイマッコウの設定がなかなかおもしろい。
鯨が音波を使い、互いにコミュニケーションしていることは広く知られていますが、ダイマッコウはそれを攻撃の手段として使います。
潜水艦を低周波でスキャニング、中にいる人間の位置を把握すると、そのターゲットにピントをあわせるように超音波を発振する。
その超音波をあてられた人間は、血液を沸騰させられてしまうわけです。
姿の見えない相手と対するアメリカの潜水艦。
未知の生物ダイマッコウを追う日本の鯨学者。
それにバイオ企業の思惑や、イスラムのテロリストの企みなどがからみ、第一級のエンターテイメントに仕上がっています。
映画化したらなかなか迫力あっておもしろそうな小説です。
「アビス」や「ジュラシック・パーク」などのエンターテイメントが好きな方にお薦めです。
「鯨の王」 藤崎慎吾著 文藝春秋 ハードカバー ISBN978-4-16-326000-6
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