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2007年7月16日 (月)

「バーバー吉野」 大人への子供のレジスタンス

思春期というほど大人になっていない小学生の高学年の頃。
自分もああいう時、あったよなあと思い出しました。
舞台となるのはある田舎の寂れた町。
時代設定は現代だとは思いますが、何か時の流れが止まってしまったような町。
なんだか僕が子供の頃のような時代の臭いもなぜか感じます。

落ちていたエロ本を拾ってきて、興味津々でページを繰る。
女の子がブラをつけたとかつけないとかで話が盛り上がる。
とかいいながら、カブトムシに夢中になったり、大人の目が届かないところに「秘密基地」を作ったりといった子供じみたこともする。
同世代の女の子から見たら「バッカじゃないの」と言うに決まっているのですが、男子は誰しもそういう時を経るんですよね。
男だったら絶対「あった、あった」と頷くかと思いますが、驚くのはこの作品の監督・脚本は女性の方だということ。
「かもめ食堂」の荻上直子監督なんですね。
なんでこんな男子共感度が高い脚本かけるんでしょう。
男の兄弟がいらっしゃるのかな。

思春期一歩手前の男の子。
まだ「自分」などというものができる前で、親が言ったこと、先生が言ったことをまだ素直にそのまんま聞いている年頃です。
けれど人は大人になっていきます。
主人公の男の子の時は、日々楽しく仲の良い友達と遊んで、過ぎていく。
僕自身もそうでしが、将来のことなんて考えてはいない。
目の前にある世界、町はずっとそういうものであり、固定化されているものでした。
けれども、姉の失恋や、父親の失職などをなんとなく感じていく中で、大人になるということは自分が今のままではいかないということにはなんとなく気づいたのでしょう。
「大人になるってどういうこと?」
男の子は父親に聞きます。
自分の前の世界が今まで言われていたものと違うということに、少年は気づいたのです。
「もう吉野ガリはいやだ!」
たかが髪型かもしれません。
けれども男の子にとって、そう宣言することは今まで自分がいた世界(それも母親が管理していた世界)を否定することなのです。
それが大人になる瞬間。
大人への子供のレジスタンス。
これが先にあげた少年の質問の答なんですよね。

あいかわらずもたいまさこさんはいい味だしてました。
下手をするとわからずやのコワいおばさんになってしまうところを、もたいさんのキャラクターで救っていました。
5人の少年たちもへんに擦れていない感じでよかったです。
仲間たちの会話、ほんとに自分の子供の頃を思い出してしまいました。

荻上直子監督作品「めがね」の記事はこちら→

荻上直子監督作品「かもめ食堂」の記事はこちら→

荻上直子監督作品「恋は五・七・五!」の記事はこちら→

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コメント

cyazさん、こんばんは。

もたいまさこさんは荻上監督の他の作品では懐の深い役でしたが、こちらは逆に伝統に縛られている役で。
子供の頃にあんな風におばちゃんに迫られたら、いやでも吉野ガリにしてしまいますよね。

投稿: はらやん(管理人) | 2007年11月28日 (水) 22時51分

はらやんさん、TBありがとうございましたm(__)m
TB何度やっても反映しないので、コメントだけ残します。
『かもめ食堂』『めがね』とは違う、もたいまさこさんのカリスマ美容師(笑)ぶりに小笑いが続きました。なんだかあの吉野刈りに哀愁を感じてしまいました(笑)

投稿: cyaz | 2007年11月27日 (火) 08時13分

ヨメさん、こんにちは。

子供たちがほんとそこらへんにいそうな子で。
現代なんですけれど、なんだか懐かしい雰囲気もしました。
「かもめ食堂」もお薦めですよ。
こちらでももたいさんは相変わらずいい味だしてます。

投稿: はらやん(管理人) | 2007年7月29日 (日) 14時38分

こんにちは。
バーバー吉野面白かったす。
男性から見てもあの世界観にはリアリティを感じられたんですね。女性監督なのにすごいですよね~。
「かもめ食堂」はまだ見ていないのですが、評判良さそうなので見てみたいと思います!

投稿: ヨメ | 2007年7月29日 (日) 12時59分

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