« 本 「仮面ライダー響鬼の事情」 | トップページ | 「西遊記」 子供たちのなまか »

2007年7月14日 (土)

「ルネッサンス」 映像は新しいが・・・

「スキャナー・ダークリー」を観に行った時のこの映画の予告があまりにカッコ良くて、いつ公開するかと楽しみにしてましたので、雨の降りしきる中、公開初日の初回ユナイテッドシネマ豊洲に行ってきました。

全編モノクロームのアニメーションですが、白と黒の中間のグレーはあまり使っていないので、さらにハードなタッチに仕上がってします。
アニメーションといっても、日本の伝統芸手描きのアニメでもなく、アメリカの主流3Dアニメでもありません。
キャラクターの動きは、実際の役者の動きをキャプチャしたものを取り込んでいるようです。
俳優が芝居しそれを撮った映像をデジタル処理している「スキャナー・ダークリー」ともまた違う。
そういう意味では新しい印象のアニメーションでした。
予告で流れていた現在をベースに発展した未来のパリは、何かデカダンな感じがします。
モノクロというのとも相まって、何か闇夜というイメージがあるこの作品のパリは「ブレードランナー」のロスの街の感じとも共通するような夜の都市といった感じで、これは僕の好みでした。
ただそれ以外はどうもおもしろいと思えるところはなく・・・。

まずはキャラクターが肌に合わなかったですね。
主人公カラスは、とても素っ気ないキャラクターです。
「ブレードランナー」のデッカードのようなニオイも感じますが、こういうキャラクターは僕はキライじゃない。
けれどもデザインがリアルテイストなのか、ディフォルメされたものが狙いなのか(頭身比が微妙にアンバランスだったのが気になって)曖昧で微妙なキャラクターのタッチだったので、どうも最後まで馴染めなかったですね。
ストーリーにおいても、ある大企業の重役が「不老長寿」を願い世界を手中に収めようとするというプロットも、近未来SFとしては使い古された感があり、新しさを感じなかったです。

「シン・シティ」や「300<スリーハンドレッド>」は実写でありながら、ほとんどCG処理した映像で、劇画のようなタッチを出していまいた。
本作は役者の演技は活かしつつ、CGアニメで劇画のようなタッチを表現しています。
他の作品でも技術の進歩により「新しい映像」という触れ込みのものが次々と発表されます。
新しい映像というのは、やはりワクワクしますし、どんどん観たいのですが、新しいというだけでいいというわけではないと思います。
やはり映画であるかぎり、キャラクターが魅力的であり、脚本が出来がよくて、作品の世界に引きこまれるようでないといけないですよね。
この作品は見た目のインパクトという意味では新しさもあり、その試みには拍手を送りたいですが、映画としての基本的な魅力に欠けていたいう感じがしました。
技術が発達すればするほど「新しい映像」というのは出てくるわけで、いつまでも人の記憶に残る名作になるには、映画としての根本がしっかりしていないといけない気がしました。

「スキャーナー・ダークリー」の記事はこちら→

にほんブログ村 映画ブログへ

|

« 本 「仮面ライダー響鬼の事情」 | トップページ | 「西遊記」 子供たちのなまか »

コメント

紫式子さん、おはようございます。

そういえば当初の脚本は2時間半くらいの長さだったとか。
そこから削っていくうちに人間描写は薄くなったのかもしれませんね。

投稿: はらやん(管理人) | 2007年7月22日 (日) 06時20分

はらやんさん、TBありがとうございました。
確かにいまひとつ登場人物に
感情移入しにくかったところが……。
ひょっとしたら内面描写のシーンを編集で
泣く泣く削ったのかもしれませんが、
「ブレード・ランナー」にあるような厚みが
失われていたように思えます。

投稿: 紫式子 | 2007年7月21日 (土) 17時44分

hyoutan2005さん、こんにちは。

モノクロの映像は新しかったですねー。
予告で魅了されてしまい、期待度高い作品でした。
もう少しお話も新しければ、good!だったんですけれど。

投稿: はらやん(管理人) | 2007年7月21日 (土) 09時25分

ノラネコさん、こんにちは!

>このビジュアルが無ければもっと印象の薄い作品だった
僕もそんな感じを受けました。
斬新な映像だったので、物語も負けないくらい新しいものであればよかったのにと思いました。

投稿: はらやん(管理人) | 2007年7月21日 (土) 09時06分

こんにちは。
私は意外にこの世界が好きでした。
そう言われれば物語には目新しさは無かったですが、モノクロの映像に魅力を感じました。
アニメの世界も様々な形に進化していますね。

投稿: hyoutan2005 | 2007年7月18日 (水) 16時15分

確かに映像を除けば内容は普通のノワールでした。
キャラクターの顔の判別がしにくいのが気になって・・・途中でこいつ誰だっけ?と何度か混乱しました。

投稿: ノラネコ | 2007年7月18日 (水) 12時10分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「ルネッサンス」 映像は新しいが・・・:

» 『ルネッサンス』 [ラムの大通り]
(原題:Renaissance) 「さて、今日は苦手の近未来アニメ…。 チャチャッとやってしまうかな」 ----あらあら(笑)。 でも確かに、えいの苦手そうなアニメだね。 退屈したんじゃないの? 「うん。絵は白黒でグラフィックだし、 こりゃダメかもと覚悟していたんだけど、 最後の方は前のめりだったね。 その凝ったアングルのおかげもあって、 カーチェイスやフィジカル・アクションが まるで実写映画を観ているかのように興奮させられる。 それがガラスによって何層にも分かれている レトロフューチャーなパリ... [続きを読む]

受信: 2007年7月16日 (月) 22時59分

» ルネッサンス(クリスチャン・ヴォルクマン:監督) [ブログで情報収集!Blog-Headline/enjoy]
「ルネッサンス(クリスチャン・ヴォルクマン:監督)」に関連するブログ記事から興味深いものを選んでみました。ぜひ、読み比べてみてください。 =2007... [続きを読む]

受信: 2007年7月17日 (火) 00時15分

» ルネッサンス・・・・・評価額1300円 [ノラネコの呑んで観るシネマ]
近未来のパリを舞台にしたSFフィルムノワール。 全編にわたって、殆ど白と黒だけの極端なハイコントラスト画面で表現され、演出上のキーとなる一部分を除いて色が存在しない。 リアルに作りこまれたキャラクターと美術は、... [続きを読む]

受信: 2007年7月18日 (水) 12時06分

» モノクロの世界に陶酔〜ルネッサンス [ひょうたんからこまッ!]
『ルネッサンス』RENAISSANCE(2006年・フランス・イギリス・ルクセンブルク/106分)公式サイトアヌシー国際アニメーション映画祭2006長編部門グランプリ受賞近未来のパリを舞台にしたハードボイルド・SFアクション。モノクロのスクリーンに広がる鮮烈な映像。ノスタルジックな旋律に乗せ、なめらかに映像が移動する。深みのある「Black」と、「Black」から「White」に限りなく続く「Gray」。モノクロの世界に微かに見えるのは、時に「寒々しいBlue」、時に「謎めいたPurple」。無彩色... [続きを読む]

受信: 2007年7月18日 (水) 16時12分

» ルネッサンス [江戸っ子風情♪の蹴球二日制に映画道楽]
 フランス&イギリス&ルクセンブルグ  アニメ&SF&サスペンス&犯罪  監督:クリスチャン・ヴォルクマン  出演:(声の出演)      ダニエル・クレイグ      ロモーラ・ガライ      キャサリン・マコーマック 【物語】 2054年のパリ。医療関連...... [続きを読む]

受信: 2007年7月19日 (木) 09時58分

» ルネッサンス [B級パラダイス]
今回は黒のみの画像をアップしてますが、パンフレットは白表紙と黒表紙の2冊セットになっております。豪華ですね〜。でもって値段もちょいお高めです(笑) [続きを読む]

受信: 2007年7月21日 (土) 16時13分

» ルネッサンス [そーれりぽーと]
この週末、面白そうな実写映画の公開が少ない代わりに、関西では大人向けアニメ映画の封切りが4つも重なりました。 『ジーニアス・パーティ』『ルネッサンス』『ピアノの森』『河童のクゥの川流れ』{/kaeru_yodare2/} 来週水曜からの『レミのオイシイ簡単レシピ(平野的な意味で)』も含めると5本も! そんな中、絶対観たいを思えるのは『レミーの…』だけだったりして、とりあえず4つの中からは先に書いた『ピアノの森』と、『ルネッサンス』をチョイス。 『ルネッサンス』は、『300』に続く“映像革命”と銘打っ... [続きを読む]

受信: 2007年7月22日 (日) 09時31分

» 映画:ルネッサンス 試写会 [駒吉の日記]
ルネッサンス 試写会(銀座テアトルシネマ) 「健康 美しさ 若さ アヴァロン あなたのそばに 永遠に」 白と黒の世界。日本のアニメよりはアメコミっぽい画風なのですが、なんだか本物の俳優さんで撮影したフィルムをモノクロアニメ加工したかのような映像でした。人の... [続きを読む]

受信: 2007年7月22日 (日) 10時10分

» 47年後のパリ [パリノルール blog]
2054年のパリを舞台にしたフレンチ・アニメ映画「ルネッサンス」が7月14日か... [続きを読む]

受信: 2007年7月23日 (月) 13時21分

» ルネッサンス [knockin' on heaven's door]
Renaissance 2054年。光と影が交錯するモノクロームのパリを舞台に、独創的な映像世界で描く近未来のフィルム・ノワール。 リアルとアンリアルが融合する、揺らめくように美しく不思議な映像体験。寂寥感が支配するワンダーランドで、人類の未来を動かす誘拐事件が...... [続きを読む]

受信: 2007年7月29日 (日) 18時02分

» ルネッサンス★★★★劇場44本目・スタイリッシュな映像の近未... [kaoritalyたる所以]
3/20に【フランス映画祭】で観た映画の感想です。配給先も決まっていて、7月からシネセゾン渋谷などで始まるそうなので、大阪はもう少し遅いかもしれませんね。オフィシャルサイトはありますが、まだ予告編が観れるのみです。全編白黒のアニメなのですが、声優は新ボ...... [続きを読む]

受信: 2007年8月 2日 (木) 00時30分

» ルネッサンス [映画鑑賞★日記・・・]
【RENAISSANCE】2007/07/14公開(10/03鑑賞)製作国:フランス監督:クリスチャン・ヴォルクマン声の出演:ダニエル・クレイグ、ロモーラ・ガライ、キャサリン・マコーマック、イアン・ホルム、ジョナサン・プライス、ケヴォルク・マリキャン2054年のパリ。医療関連の世界的複....... [続きを読む]

受信: 2007年11月 5日 (月) 11時28分

» 年老いた子供 [CINECHANの映画感想]
183「ルネッサンス」(フランス・イギリス・ルクセンブルク)  2054年、パリ。一人の女性研究者イレーナが何者かに誘拐される。誘拐事件のスペシャリストであるカラス警部がこの事件を担当することになる。  彼は調べを進めていくうちに、イレーナが勤めていた医療関連の複合企業体のアヴァロン社がこの事件の背後に関わっていると判断する。  カラスは地下組織に通じているイレーナの姉、ビスレインの協力を得、捜査を進めていく。そして、かつて有名な研究者として名をはせていた医者、ムーラとイレーナの関係...... [続きを読む]

受信: 2008年5月26日 (月) 00時53分

» ルネッサンス(DVD) [ひるめし。]
一つの誘拐事件が、人類の未来を変える。 [続きを読む]

受信: 2008年5月26日 (月) 09時46分

« 本 「仮面ライダー響鬼の事情」 | トップページ | 「西遊記」 子供たちのなまか »