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2007年6月24日 (日)

「あるスキャンダルの覚え書き」 エゴと支配 

バーバラもシーバも、エゴが強いという点では同じに見えました。
自分がかわいらしく、自分の居心地のよいポジションというのを作るため、(自覚的にせよ、無自覚にせよ)人を支配するという生き方は変わりません。

バーバラ(ジュディ・ランチ)という人は、持ち前の堅さからか、あまり人に好かれるような人物ではありません。
周囲の人から見れば「うるさい人」として敬遠されてきたのでしょう。
それでも人は生きていく中で自分の立場というのを確立していかなければならない。
彼女は他人に頼りにされるということで、自分が存在することの意味を実感してきた人物なのだと思います。
しかしその相手は、自分の悩み事が解決するとバーバラから離れていったのでしょう。
多分に彼女の愛情深さが重さとなったと考えられます。
そして彼女は次第に、相手に「頼られる状況」を作りはじめ、そして相手を支配していくという術を身につけていったのでしょう。
彼女はその行為に自覚的です。
そしてその行為は自分では極めて正当だと思っている人物です。

対してシーバ(ケイト・ブランシェット)という人はどのような人物でしょう?
彼女は男性にも女性からも目をひくような美貌の持ち主。
多分、とても早くから男性などにももてはやされ、女の子の中でもかわいがられた人でしょう。
そういう人にちやほやされる環境に慣れてしまっている人物に見えます。
なにか悩みごとがあっても、誰か自然と周りの誰かが解決してくれる、そういう甘えみたいなものがあるように感じます。
言い方は悪いですが、周りの人(男女ともに)にうまく媚を売ることで、上手に生きていた人に思えます。
そのような生き方に彼女は無自覚です。
小さい頃、親をなくしたというようなことが語られていたと思いますが、彼女はそのような状況の中で、保護者を如何に見つけ、生きていくかということを無意識的に考えてきたのでしょう。
夫が学生時代に知り合った年上の人物だというのも頷けます。

人に頼られることで生きてきたバーバラ。
人に頼ることで生きてきたシーバ。
当初は互いの生き方が、うまくかみあっていた。
けれども二人とも、自分のエゴのために、自分では気づかないうちに他人を支配をしようとする生き方をしてきた人だったのです。
二人の関係の水面下で、二人の支配力争いが起こっていきます。
だから次第に二人の関係は壊れていくのです。

けれどもふと考えてみると、それほど極端ではないにせよ、自分のエゴと他人(身内など自分以外の人も含め)のエゴのせめぎ合いが起こるというのは、自分のにもあるということに気づきます。
多分どんな人も少なからずそういうところはあるのでしょうね。

ジョディ・リンチがM役で出演「007 カジノ・ロワイヤル」の記事はこちら→

ケイト・ブランシェット出演「バベル」の記事はこちら→

ケイト・ブランシェットが出演しているオムニバス「コーヒー&シガレッツ」のきじはこちら→

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コメント

kiraさん、こんばんは!

二人とも演技が上手だからこそ、なんか怖かったですよね。
他人への支配欲っていうのは暴走し始めると怖いですね。

投稿: はらやん(管理人) | 2011年8月28日 (日) 19時21分

こんにちは~。
TB,ありがとうです♪

そうでした!どちらもエゴが強い女性。
こういう役をやらせると上手いふたりでした(笑)
ラストは怖かったけど、ディンチだから、なんか笑えますよね~(^^ゞ

投稿: kira | 2011年8月28日 (日) 11時59分

ミチさん、こんにちは!

>居心地の悪い思い
これは男の人でも女の人でも感じるかもしれませんね。
自分の存在を誰かに受け入れて欲しいという思いは誰でもあると思います。
それがとても独りよがりになってしまう可能性は誰でもあるんですよね。
そこが感じられるから怖いなあとみなさん思うんでしょうね。

投稿: はらやん(管理人) | 2007年7月 7日 (土) 09時12分

シャーロットさん、こんにちは!

孤独な心というのは二人とも同じかもしれませんね。
シーバのような性格の女性は、以前の職場でいたことがありました。
美人であたりはやわらかいのですが、なにか危険な香りもあり・・・。
本人は意識せずとも男女ともにひき付けてしまう「魔性の女」風でしたね。
シーバもそんな感じに見えました。

投稿: はらやん(管理人) | 2007年7月 7日 (土) 08時57分

こんばんは♪
TBありがとうございました。
自分の中にどちらの女性にもなりうる可能性があるのを見てとって恐ろしくなりました。
女性で居心地の悪い思いをした人も多かったかもしれません。
イギリス独特の「階級」というものも表れていましたね。

投稿: ミチ | 2007年7月 2日 (月) 23時00分

こんばんは♪どうも相性がイマイチ悪くてTBが反映されたりされなかったり…ご迷惑をおかけします。
えっと、2人の女性に対する感じ方ですが、人それぞれなんだなと改めて思いました。

>人に頼られることで生きてきたバーバラ。
>人に頼ることで生きてきたシーバ

私はどちらかというと、バーバラは人に頼りかったのでは?と思いながら見てました。そしてシーバは頼れなかったのではないか?と。
いずれにせよ、2人の孤独な心が引き合ってしまった結果、幸せとはちょっとかけ離れた感じに至るのが、皮肉な運命だったな~なんて思いましたです。

投稿: シャーロット | 2007年7月 2日 (月) 21時37分

カオリさん、おはようございます!

確かにバーバラの怖さは確信犯であるところかもしれませんね。
なんでみんなが彼女から離れていくかわからない。
周りが傷つくのがわかっていない。
怖いです。
ジュディ・デンチの演技も迫力ありました。

投稿: はらやん(管理人) | 2007年6月30日 (土) 08時59分

オリーブリーさん、こんばんは。

ジュディ・デンチとケイト・ブランシェットの演技、見応えありましたね。
終盤、二人のエゴがぶつかり合うところはドキドキしました。
迫真の演技でした。
入浴シーンはびっくりしました。
ケイト・ブランシェットかと一瞬思ったら、ジュディ・デンチだったとは・・・。

投稿: はらやん(管理人) | 2007年6月29日 (金) 23時08分

こんにちは!
なるほど、シーバも依存症のようなところがありますね。
何かに属してると安心と言うような帰属意識や支配されたいと言う気持ちは、普通の人々の中にもあって、シーバはそれが極端化された気がします。この映画は、ホント深いですね・・・。

投稿: カオリ | 2007年6月27日 (水) 17時26分

こんばんは~TBありがとうございました!
こちらにもTBさせて頂きます(^^)/

>エゴが強いという点では同じに見えました

本当にそうですよね。
そのもの自体は一見違うようだけど、本質は同じ感じがしました。
女優二人の演技は素晴らしい♪
それだけでも、多くの方に観て欲しいと思いました。

また宜しくお願いしま~す(^^)

投稿: オリーブリー | 2007年6月24日 (日) 23時52分

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