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2007年5月 6日 (日)

本 「広告会社は変われるか」

仕事はメーカーで広告関係の業務をしているので、広告代理店の方ともよく仕事をします。
広告代理店という会社は、僕たちクライアントにとって強力なパートナーであることは間違いありません。
けれども油断ができないというのも正直思うところもあります。
このあたりの事情はそもそもの日本の広告代理店の成り立ちに帰するところがあります。
欧米の広告代理店は早くからAE(アカウント・エグゼクティブ)制を取り入れ、一業種一社が基本となっています。
欧米の広告代理店の「代理」とはクライアントの「代理」ということです。
日本の広告代理店は、電通を例にとっていうと、もともとは新聞の広告スペースをいかに売るかというところがスタートになっています。
つまり日本の広告代理店は媒体サイドの「代理」であるというニュアンスが強いのです。
電通でいうと歴代社長になるのは、新聞局(枠として持っている新聞の広告スペースを売る仕事)の出身者だというところからもわかるかと思います。
上に書いたように、頼りになるパートナーでありながらも、油断ができないというのはこのあたりにあります。
日本の広告代理店の大手はほとんどがAE制をとっていますが、いざとなるとクライアントサイドではなく媒体サイドに立つという危惧がクライアント側からみるとあるのです。

この本は電通総研をされていた藤原治氏が書いています。
思い切ったタイトルからすると何か問題提起をしているという期待があり、読んでみました。
けれども読んだ感想は、このままでは日本の代理店は変われないというものでした。
インターネットなど既存のメディア概念(いわゆる「枠」という思想)ではとらえられないというのを、危機感をもって書いています。
けれどもこれはスペースを販売している広告代理店としての危機感であり、逆にメーカーからすればチャンスなんですよね。
本の中で、広告主から広告代理店に対して要望を出している、料金の透明性の問題をとりあげていますが、著者はこの論議がまったくナンセンスだと書いています。
ナンセンスと断じるこの考え方がまさに広告代理店が変われない理由だと思います。
これからはインターネットが発達すればするほど、旧来のように広告スペースを買う必要がなくなります。
もちろん旧来メディアがなくなるわけではありません。
けれども確実に広告費における比率は下がるでしょう。
メーカーにとっては、お客さんと直接やり取りができる、お客さんの望みがわかる方法がそこにあるわけです。
今までのような一方的な流れではありません。
そのときのパートナーは旧来の広告代理店である必要がありません。
元広告代理店のエグゼクティブであった方なので、これでも思い切ったことを書いているつもりなのかもしれませんが、この程度のことでは広告は変わらない。
著者は広告代理店も変わらなくてはいけないというような趣旨を書いていますが、このレベルではたぶん広告代理店も生き残れない。
まだ、広告代理店の人たちはわかっていないのだなということを痛感した本でありました。

「広告会社は変われるか」 藤原治著 ダイヤモンド社 ハードカバー ISBN978-4-478-55021-2

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