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2007年5月13日 (日)

本 「魔界都市ブルース 幻舞の章」

菊地秀行氏の「魔界都市シリーズ」の最新刊です。
僕は菊地氏の作品は高校生の頃から朝日ソノラマの「エイリアン」シリーズ、「吸血鬼ハンター」シリーズなどのファンでした。
「魔界都市」シリーズに関しては一時期HPも立ち上げてたことがありました。
「魔界都市」シリーズの魅力は主人公、秋せつらに代表されるキャラクターの魅力度、そして菊地氏によって生み出された魔界都市<新宿>の魅力です。
魔界都市には、古今東西のホラー、SF、おとぎ話、伝説などがごった煮のように詰め込まれています。
いわば「なんでもあり」の世界であって、映画好きと知られる菊地氏の趣味が全開となっているのが魅力です。

けれども作品数が多いことで有名な菊地氏ですが、多作の影響からか数年前からあまり作品が魅力的ではなくなってきているように思えました。
もともとその傾向がありましたが、特に長編は同じようなアイデアの使い回し、話の収拾がつかず破綻するようなこともしばしば感じました。

そして今回の作品は「魔界都市」シリーズの中でも久々の短編集。
最近の長編はスマッシュヒットがないのですが、短編には期待が高まります。
菊地氏もあとがきで書いていますが、主人公秋せつらが光って感じるのは、僕も短編の方だとおもいます。
「魔界都市ブルース」というシリーズ名がついているように、短編には何か悲しさを背負っている<新宿>の住民が登場してきます。
一応主人公は秋せつらではありますが、本当の主役は<新宿>という街であり、その<新宿>の住民たちなんですよね。
必ずしもハッピーエンドではない結末を迎えることもあるのですが、怪物たちが跋扈する<新宿>において住民たちになにか人間らしさを感じるシリーズです。

さて長くなりましたが、本作品の読後の感想は・・・。
正直言うと、新しさを感じなかったです。
菊地氏がもともと持っていたあふれるような想像力、そしてその暴走感を感じない。
こじんまりとまとまっている感じでしたね。
ちょっと残念な印象を持ちました。

「魔界都市ブルース 幻舞の章」 菊地秀行著 祥伝社 新書 ISBN978-4-396-20829-5

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