本 「ぼんくら」
宮部みゆきさんの時代ミステリーです。
読み始めたときは、短編集かと思ったのですが、実は全体が一つのミステリーとして繋がっているという仕掛け。
さすが宮部みゆきさん、鮮やかな展開です。
登場するキャラクターも魅力的です。
主人公の同心平四郎に付き添う甥の弓之助がいいですね。
弓之助は目を見張るほどの美少年ですが、なんでも計ってしまうという癖をもっている変わった子供。
ものごとをきちんきちんと論理立てて考えることができるために、次第に事件の謎に迫っていきます。
その事件自体は忌まわしい現実だったりするわけで、同じく事件の真相に気づく平四郎が甥を気遣いそれを見せまいと気遣うところは、宮部みゆきさんらしくほろりとさせてくれます。
またそのときの弓之助も健気でなんともいいんです。
それ以外にも、勝ち気だけれども情が深いお徳、なんでも記憶してしまう癖がある”おでこ”、もと女郎でお徳の手伝いをしているおくめなど魅力的なキャラクターが登場しています。
先に書いたように短編が実はひとつの謎に繋がっているという構造が秀逸。
短編のおもしろさと長編のおもしろさが味わえる作品だと思います。
「ぼんくら<上>」 宮部みゆき著 講談社 文庫 ISBN4-06-274751-0
「ぼんくら<下>」 宮部みゆき著 講談社 文庫 ISBN4-06-274752-9
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