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2007年4月14日 (土)

本 「銃・病原菌・鉄」

タイトルは非常にとっつきにくいですが、この本はおもしろいですよ。
この本の中で著者は何故人間は五つの大陸で異なる発展を遂げたのかという謎をわかりやすく解き明かしています。
この本は著者がフィールドワークで知り合ったニューギニア人の友人の言葉から始まっています。
「白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはなぜだろうか?」
かつて言われていたように人種的に、ヨーロッパ人が優れていて、アジア人が劣っているのか。
そうではないと著者は書いています。
西洋人がものを発達させ、ニューギニア人がそうではなかったのは、たまたまそれらの民族がそうなる状況にあったからだと言っています。
具体的にはそれぞれの民族が暮らしていた環境がそれぞれの文明の発展に大きく影響を与えてきたと説明しています。
たとえば食料生産は世界でいくつかの場所で開始されていたことがわかっています。
一つはイラク付近の中東。
そこで開始した食料生産の技術は西はヨーロッパ、東はインドまで歴史的には速い速度で伝わっていきます。
また一つはメキシコ付近。
しかしここで産まれた食料生産はなかなか広がっていきません。
なぜか。
ユーラシア大陸は東西に長く、そして広い。
東西の方向は緯度が同じため気候はほぼ同じで、植物の生育条件は変わらず開発された生産技術は伝播しやすい。
そして大陸が広いということは多くの人間がいるということ。
広まった技術がさらに革新されていく確率も高くなります。
けれどもアメリカ大陸は南北に長い。
南北は同じ距離を動くとしても気候は大きく変わります。
そのため植物はなかなかその土地に馴染めず、生産技術は伝播しにくい状況になります。
また暮らしやすいエリアは限られているため人口密度も低く技術革新も起こりにくいということです。
非常に納得しやすい論旨だと思います。
このように文明の発展は、人種の差ではなく、置かれた状況によるものだということをさまざまな点から解説しています。
著者の論旨の展開は、上に書いていたように解釈が入りにくいデータから導きだされているので、非常に明確です。
整理され丁寧に解説しているため、読んでいてもいちいち納得してしまいます。
サイエンス・ノンフィクションなので難しそうと思う方もいらっしゃると思いますが、名探偵が謎解きをしてくれているようなおもしろさがあります。
ミステリーを読む感覚でみたら、楽しめると思います。

「銃・病原菌・鉄<上>」 ジャレド・ダイアモンド著 草思社 ハードカバー ISBN4-7942-1005-1
「銃・病原菌・鉄<下>」 ジャレド・ダイアモンド著 草思社 ハードカバー ISBN4-7942-1006-X

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