本 「酸素男爵」
タイトルの「酸素男爵」という語感に魅かれて古本屋で購入しました。
なんかSF的センスが感じられるタイトルじゃありませんか?
読んでみると、「酸素男爵」という人物が出てくるわけではありませんでした。
いうなれば、「酸素男爵」とは酸素を取引している利権集団みたいなものです。
「機関投資家」みたいなものでしょうか(これも「家」とあると人のような感じも受けますが、ほんとは「機関」ですからね)。
この小説の背景は月や火星が地球化されようとしている時代。
地球から独立しようとする月の国家、地球の軌道上にある集団、そして地球側も先進国と発展途上国で思惑が違う状況です。
主人公ガルバーニッホはそれらの思惑に翻弄され、月から軌道上、地球へと逃亡を続けていきます。
あまりでしゃばりすぎない程度に未来のテクノロジーを描いているのは、センスを感じます。
ただ後半は、なにか話が収集つかなくなっている気がしました。
主人公の意識のコピー(意識をシミュレートしたコンピュータ)であるジイツウなどはなんででてきているのかよくわかりません。
主人公の運命の行き先も曖昧なままで、何か消化不良にも感じました。
細かなアイデアはセンスあるような気がしますが、ストーリーテリングがもうちょっとというところでしょうか。
「酸素男爵」 グレゴリイ・フューリイ著 早川書房 文庫 ISBN4-15-011032-8
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