「パフューム ある人殺しの物語」 生理的に受けつけなかった
井上夢人さんの小説で「オルファクトグラム」という作品があります。
視覚の代わりに、「臭いを見ることができるようになった」人物が主人公のミステリーです。
文章での表現になりますが、臭いを視覚化した表現はなかなかおもしろかったように思えました。
「臭いを見る」という荒唐無稽な設定でしたが、この能力が犯人探しにつながるおもしろく読めるミステリーでした。
臭い、香りがテーマになる「パフューム ある人殺しの物語」では、嗅覚で感じるものをどのように表現しているのかが興味を持って観に行きました。
正直、それほど香りを感じるような印象は受けませんでした。
その代わりにねっとりとした粘液質な感触は感じまして、僕はこの感覚がどうも生理的にあいませんでした。
舐めるようなカメラワーク、陰の多い映像、過度に汚らしい感じ、いい香りというよりは、腐った臭い、死臭をイメージさせられました。
冒頭の少女との絡みのシーンはまさにネクロフィリア的な倒錯感があり、このあたりから僕は拒否感が出てしまいました。
究極の香水も、良い香りというよりは、人間的なものを失わせる媚薬のようなものとして描かれています。
60年代ウッドストック風にラストの処刑台を人々が取り囲むシーンは、ドラッグでイッてしまっているヒッピーや妄信している新興宗教信者のような感じで、人間性を失ったフリーセックス状態になっていましたが、この状態が天国の状態なのかといわれると、違うんじゃないかと。
映画としてスキャンダラスさを狙った背徳的な映像なのかもしれないのですが、個人的には嫌悪感ばかりが引き起こされただけでした。
結局、キャラクターの誰にも共感できるわけでもなく、そして描きたい思想にも共感できることなく、最後まで居心地悪く過ごしてしまいました。
ラストもあまり救いがある終わり方ではなく、肌に汚物がついたままでいるような何か気持ちの悪い感じが残りつつ劇場を出ました。
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