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2007年2月14日 (水)

本 「悠久の銀河帝国」

この小説は第一部をアーサー・C・クラーク、そして第二部をグレゴリイ・ベンフォードが書いている二部構成になっています。
もともと第一部は「銀河帝国の崩壊」というアーサー・C・クラークのデビュー作。
この作品をベースに彼は「都市と星」というSF小説でも名作と言われる小説を書いています。
グレゴリイ・ベンフォードが「銀河帝国の崩壊」の続編として第二部を書き、合わせて出版されたのが「悠久の銀河帝国」になります。

読んだ印象は第一部と第二部は全く別物ですね。
第一部「銀河帝国の崩壊」は今までも何度か読みました。
僕にとって好きな作家の一人であるアーサー・C・クラークの原点とも言えるこの作品は、後々の作品にもあるように人類の進歩をポジティブにとらえている彼らしい視点がすでに入っています。
最近のSF小説は何か斜に構えたニヒルさやネガティブ感があるディストピアっぽいものが多いですが、アーサー・C・クラークはそのあたりは楽観的に見えます。
人間がさまざまなことを探求していこうとする気持ちは、何度か間違うことはあっても必ずいい方向に向かうはずだという人間に対する信頼感が感じられます。
主人公アルヴィンには、なぜか銀河鉄道999の星野鉄郎のイメージが重なります。
自分で夢を追い、実現しようと行動する若者といったところがかぶるのかもしれません。
人類には夢があると素直に思っている、そのあたりが僕がクラークの小説が好きな理由です。

けれども第二部は続編とはいえ、そんなクラーク的な考えはあまり出ていません。
当然設定などは引き継がれているのですが、テイストが変わっています。
グレゴリー・ベンフォードらしいユニークなアイデアが入っているSF的ギミックはありますが、それだけな感じがします。
クラークのような素直さはなく、最後は観念論のような話になりどうも物語に入れない。
クラークを継承するような物語でなければ、わざわざ続編とする理由が見当たりません。
映画でもえてして、ヒット作だから続編作ったという作品は大概ブーイングの嵐で失敗していますが、この作品も
そんな印象が残りました。

「悠久の銀河帝国」 アーサー・C・クラーク&グレゴリイ・ベンフォード著 早川書房 文庫 ISBN4-15-011530-3

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