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2007年1月 5日 (金)

本 「数学的にありえない」

この作品いろいろな書評でも評判いいですね。
僕は書店の平積みでこの本が目に入り、タイトルがユニークだったので思わず購入してしまいました。
ジャンルとしてはマイケル・クライトン系のサンスペンスといったところでしょうか。

クライトンの小説では、あるキーとなる技術をうまく小説の中に取り入れて一級のサスペンスに仕上げています。
この作品の著者、アダム・ファウアーが取り上げているのは、確率論、量子論や不確定性原理あと未来予知。
僕は高校の頃、数学の授業でも最も苦手だったのが、確率論でした。
他の数学と違って答えを出すというのではなく、可能性が確からしいことの率をだすという考えが当時はよくわからなかったのかもしれません。
それから本で量子論などの簡単な解説を読んだりするようになると、けっこうおもしろい考え方だなと思うようになりました。
でも日常生活的には違和感のある考え方なのでとっつきにくいですが、そのあたり著者は小説の中でわかりやすく説明しています。
そのあたりはクライトンっぽいでしょうか。
あと未来予知あたりは、先にあげた数学とは相容れない、オカルトチックないかがわしい感じがするものですが、そのあたりは下巻に入るあたりで見事にまとめあげています。
(このあたり下手にやると「サイン」みたいになって拍子抜けしてしまいトンデモ系になってしまう恐れがあります)

本作は読みやすさ、テクノロジーの上手な取り入れ方についてはマイケル・クライトン系と書きましたが、かと言って違う感じもあります。
下巻の訳者解説(矢口誠氏)でうまく表現されていたので、引用します。
「クライトン系のサスペンス小説は、たいていなんらかのタイムリミットが設定されていて、物語はその着地点に向かって収束していく。このため、基本となるプロット自体は、どちらかといえば直線的でシンプルだ。しかし、本書はちがう。著者のアダム・ファウアーは、巧妙なストーリーテリングで緊張感を持続させつつ、物語の着地点を最後まで明かさない。いったい物語はどこに収斂するのか?それがこの作品の大きな読みどころのひとつとなっている」
書いてある通りですね。
正直上巻を読んでいる時はそれほどおもしろいと思いませんでした。
たぶんゴールが見えない状態だったので、どうも散漫な印象を持ったのでしょう。
けれども下巻に入ったあたりから物語は収斂し始め、けれども最後までゴールは見れず、どこへいくのだろうということ自体もサスペンスでした。
最後まで読み切って、上巻のさまざまなところに仕掛けられた巧妙な伏線に気付き、この作者うまいなーと思いました。
上下巻いっしょに買って、一気に読むことをおすすめします。

「数学的にありえない<上>」 アダム・ファウアー著 文芸春秋 ハードカバー ISBN4-16-325310-6
「数学的にありえない<下>」 アダム・ファウアー著 文芸春秋 ハードカバー ISBN4-16-325320-3

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コメント

タウムさん>

高校時代は一応理系だったのですが、確率論は苦手でした。
他の数学は答えを出すのですけれど、確率論は確からしい率をだすものなので、とらえどころがなくって。
この本も読み始めはとらえどころがなかったですが、下巻に入ってからはどんどん乗れてきました。
フラッシュバックのようにいくつかの現実が重なって見えるさまは、ディックの小説の感覚にも似てましたが、それよりはライトのように感じました。
この作者は初めての作品でこのくらいの本を書いているので、行く末が楽しみです。

投稿: はらやん(管理人) | 2007年2月12日 (月) 20時54分

TBさせていただきました。

まったくの文系人間ですが、最後まで飽きずに読めました。
いろいろ教わることも多かったです。

投稿: タウム | 2007年2月12日 (月) 13時32分

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