「ローレライ」 福井晴敏氏の小説は映画化には向かないのでは?
福井晴敏さん原作の小説は、映画には向かないんじゃないかと最近思います。
この二三年で立て続けに映画化されていますが、これはという出来なものがない。
「戦国自衛隊1549」、「亡国のイージス」(好きな阪本順治監督だったので残念だった)、そして本作品「ローレライ」。
「ローレライ」は福井晴敏さんの「終戦のローレライ」が原作になります。
小説の企画自体は、友人であり本作品がデビュー作となる樋口真嗣監督との話の中から生まれたものであると聞きます。
映画の企画と小説は同時並行で進んでいたようですね。
福井晴敏さんの小説は読むと、映画に向いていように思えます。
なんといってもエンターテイメント性が抜群でぐいぐいと読むものを引き込んでいきます。
福井さんは30代(調べたら同い年だった)、映画やアニメーションが好きだった人のようで、小説を読んでいてもその場面がビジュアルで浮かんでくるようです。
読んでいるとこの映像を観てみたい!と思ってしまいます。
けれども「亡国のイージス」も「終戦のローレライ」も原作はかなりのボリューム。
これを2時間できれいにまとめあげるのはなかなか難しい。
どうしても原作を割愛しなくてはいけないところがでてきてしまう。
そうなると映画ですので、福井作品の大きな魅力である迫力あるビジュアル感を優先してしまいます。
削られるのは人物描写。
福井作品はボリュームがあるので、小説では登場人物の背景などについて書き込まれています。
どうしてこの人物はこう考えるのか、こう行動するのかの理由がきちんと背景としてあります。
このあたりが映画では端折られている。
なので、映画では登場人物の感情の動き、行動がどうも薄い印象がありました。
浅倉や高須なぜあのような行動をとったのか、彼らが経験した南方での悲劇の内容が映画ではよくわからない。
折笠と田口の関係は、小説版では福井作品に共通してみられる、人生を諦めている中年男が、自分と同じような若者に未来を見いだすという関係性がみられますが、映画ではこのあたりもあっさりとしている。
パウラと折笠の関係も、死に急ぐ少年が守るべき少女を得て生きようとしていくという福井作品共通のテーマも希薄ですね。
(パウラ役の香椎由宇さん、この作品がデビューだったようで、台詞が棒読みできびしかった)
映画では二人はもいつの間にか魅かれ合ってる。
どうも映画はそのあたりの人物描写の浅さが目立ち、ラストでも心が動かない。
そもそも二時間程度の尺に、ボリュームのある原作をおさめようとするのが厳しいのではないのかもしれません。
冒頭に福井作品は映画化に向かないのではと書いたのはこういう意味です。
映像化するとしたら、映画ではなく連続ものなどにした方が向いているのかもしれません。
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コメント
エクスカリバーさん、こんにちは。
最近は福井氏の映画化は減りましたね。
というより、多作な方ではないので、主要作品はだいたい映画化されつくしたという感じでしょうか。
映画化する際にはある程度キャラクターを減らすなどしなくてはわかりにくいと思うんですよね。
福井氏の作品ではないですが、「ホワイトアウト」くらいまでシンプルにすればいけそうな気もします。
TBの件、すみません。
なんだかこちらもよく対策がとれていなくて。
特に古い記事に対してうまくいかないケースがあるようです。
投稿: はらやん(管理人) | 2007年11月 3日 (土) 06時29分
福井さんの作品は、確かに単発の劇場用映画には向かないかも知れませんね。
あれだけ集中して作られたのに、その後は話が聞こえてきませんしね。
連続ドラマで1クール引っ張るとなると苦しいかも知れませんが、二夜連続とか、そういった枠ならば良いかも知れません。
でもTVドラマだと予算の面でキツイのかなぁ・・・?
ところで沢山TB送っていただいたのですが、何故かお返しが上手くいきません。
全く弾かれてしまってる時もありますが、こちらからはきちんと送ったという結果が残っている場合でも、どういう訳かそちらには反映していない様子。
うーん、困ったぞ・・・。
投稿: エクスカリバー | 2007年10月30日 (火) 22時17分
空さん>
ローレライシステムは小説の時も、ちょっと漫画っぽいなと思っていましたが、映像で観るとさらに漫画っぽかったですね。
パウラ、折笠の二人が魅かれあるところはもうちょっと深く描いてほしかったです。
福井さんの原作はボリュームあるので、映画化する時は内容の取捨選択が難しいのでしょうね。
投稿: はらやん(管理人) | 2007年3月24日 (土) 23時45分
こんばんは!TBありがとうございました(^^)
お伺いするのが遅くなってしまって、すみません。
私も同意見です!福井さんの作品は、ジックリ作って欲しかったりします。
特に、「亡国のイージス」は、原作でボロ泣きしていただけに・・・残念でした。
投稿: 空 | 2007年3月24日 (土) 21時45分