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2007年1月 2日 (火)

本 「悪の読書術」

同じ著者は「悪の対話術」「悪の恋愛術」という新書を出しています。
これらは相手から自分がどう見えるか計算し、それをわかった上でどのように相手をコントロールするということを書いています。
コミュニケーション関連の本はえてして相手の気持ちをわかるということが大切だということが書いてあるものですが、これらの本では相手の気持ちをさりげなく操作するにはどうしたらいいかということを書いているので、あえて「悪」ということを書いたのでしょう。
これは無論悪いことをせよという意味ではなく、少なからずコミュニケーションは相手の気持ちを動かすこと(操作すること)を考えるものなので、それを建前をいうのではなく正面からとりあげたという意味で、おもしろい本ではありました。
新書としても売れたようで、その第三弾が本書になります。

基本的に今までのシリーズと同じで、相手からよく見られるためにはどのような本を読めば良いかというようなことが書いてあります。
人に見られるファッション等には気を配る人がいるのに、その人の内面が見える本について語るとき、無防備な人が多いと著者は書いています。
社交的によく見られるためにはこのような本を読んでいた方がいいということですね。
前二作についてはなるほどというふうに思いましたが、本書での主張はどうも僕としてはいただけません。
当然、人前で本について語るとき、相手のことやそのときの状況を考えて話題を選ばなければならないのは当然のことです。
けれどもそれは本に限らずあらゆる話題について同じように状況見て話さなければならないと思います。
人からどう思ってもらいたいから本を読むというのは、ちょっと違うかなと思います。
人と話す上で教養としてさまざまな本を読んでいた方がいいのは当たり前で、けれどもそのためだけに本を読むというのもいかがと思います(著者はそこまで言っていませんが、そう受け取る人もいるでしょう)。
人からの見栄えだけで本を選ぶということは本の消費材化を招くような気がしますね。

あと著者は文章の書き方がどうもひねている感じがします。
斜に構えているというのでしょうか。
ちょっと気に障る印象を感じました。
著者もご自分のことを扱いにくい人間と書いていますが、それもちょっと言い訳がましい印象を持ちました。

「悪の読書術」 福田和也著 講談社 新書 ISBN4-06-149684-0

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